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中小企業が海外進出に成功するための10のポイント 前編

◆文:冨田和成(株式会社ZUU 代表取締役社長)

 

空港 (3)

今回から2回に渡り、「中堅・中小企業の海外展開における国際連携動向調査」を参考に、中小企業が海外進出する上で必要なポイントを10個紹介していきます。  

1.海外を自ら体験する事 

海外展開において、技術や製品を含め、その事業内容や従業員の能力、また資金が不可欠である事は言うまでもありませんが、事業展開する経営者が進出対象国・都市にコミットメントを持つ事は重要になります。愛着と言っても良いですが、そのためには「進出対象国の社会、人、文化を、身をもって体験する」必要があります。

その上で進出すべきか判断し、進出対象国に愛着を持てなければ事業に情熱を持つ事も難しくなります。事業に専心出来なければ、海外事業が人任せになったりして成功する確率が下がる可能性が高いです。

 

2.進出先国・地域特有の事情の把握

前節の「海外を自ら体験する事」とも関係しますが、進出先の国・都市の文化や慣習を知る事で、地域特有の事業リスクを把握しておく事が重要になります。「現地の人々の生活習慣に根付いた消費性向や事業環境」などは実際に行って体験してみないと分からない事があるので、文献や人伝のアドバイスだけでなく、実地調査も重要になります。

 

3.周到な事前準備

当然ながら、進出先の国や地域の文化・慣習などを知るだけでは意味がありません。進出先の状況に応じた準備をしておかなければなりません。本調査でも「特定の取引先の海外展開に追従した進出では、その取引先からの受注が無くなった時に事業が立ち行かなくなってしまう」といったリスクが指摘されており、「現地で他にも受注が見込めるか」、「現地企業を対象にビジネスを行えるか」、「自社が当地で発揮できる強みは何か」という点の調査が必要であると述べられています。

例えば、中国に進出する際に、現地のローカル企業と取引をしている場合に、反日活動などで取引をストップされるリスクといったものが考えられますが、それを回避する為に現地の日本企業との取引体制も作っておくといったリスクヘッジの姿勢は重要になるでしょう。

 

4.高い技術力や独自性とそれらの恒常的な追求

製造業・非製造業を問わず、その技術やビジネスモデルの独自性と優位性を維持する事は重要ですが、製品・ビジネスモデルの模倣や技術の流出などのリスクは常にあります。

知的財産保護を問題視している中小企業は多く、それについての対策は極めて重要になります。法的な手続きによる知的財産保護は当然重要ですが、「技術や製品を磨き続ける事で、技術供与先に真似されたとしても優位性を保てるような差をつけておく」事が必要となります。

 

5.連携先企業に勝るポイントを確保する

「技術供与先に真似されたとしても優位性を保てるような差をつけておく」為には、自社企業と取引先企業の技術力や市場でのポジションなどを明確に整理した上で、「相手企業を上回る点を見出し、それらを保護すること」が重要になります。

何が上回っているかが明確でないと、知的財産の保護策も打てないので、特に技術供与は諸刃の剣(ライバル企業を育てることにもなりかねない)でもあるので、開示する技術の見極めなど慎重な対策が必要になります。

 

 

成功条件は必要条件

次回紹介する5ポイントも含めて、紹介している「成功する為の10ポイント」(成功条件)はあくまでも必要条件である事に注意してください。「成功する為の10ポイントを実行している企業が成功する傾向がある」のではなく、「成功している企業は10ポイントを実行している傾向がある」わけであり、これを実行すれば必ず成功する十分条件なのではありません。

但し、「成功する為の10ポイントを実行していない企業は失敗しやすい」というのはあるわけで、失敗しやすい要件を一つ一つ潰していき、成功に近づけていくというのは重要な取り組みになるでしょう。

後編はこちら

 

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富田

【プロフィール】

冨田和成(とみた・かずまさ)…株式会社ZUU 代表取締役社長兼CEO。大学在学中にソーシャルマーケティングにて起業。2006年に一橋大学を卒業後、野村證券株式会社に入社。支店営業にて同年代のトップセールスや会社史上最年少記録を樹立し、最年少で本社の超富裕層向けプライベートバンク部門に異動。その後シンガポールへの駐在とビジネススクールへの留学やタイへの駐在を経て、本店ウェルスマネジメント部で金融資産10億円以上の企業オーナー等への事業承継や資産運用・管理などのコンサルティングを担当。2013年3月に野村證券を退職し、2013年4月株式会社ZUUを設立、現在に至る。

【お問い合わせ先】 株式会社ZUU

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◆2014年10月号の記事より◆

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