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株式会社ワイ・デー・ケー ‐ 改革なくして進化なし、改革こそ我が進む道

◆取材:綿抜幹夫 /撮影:寺尾公郊

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株式会社YDK 八巻信男株式会社ワイ・デー・ケー/取締役副社長(ワイ・デー・ケーグループ総括担当)八巻信男氏 (やまき・のぶお)氏…1946年生まれ。法政大学卒業。大学在学時より日本電気で働き56歳で退職後はNEC子会社でその手腕を発揮する。2008年、YDKコミュニケーションズ4代目社長に就任。2012年、株式会社ワイ・デー・ケー専務取締役昇進。2014年同副社長に就任し、ワイ・デー・ケーグループ総括を担当する。

今年初め、YDKコミュニケーションズの敏腕社長として本誌に二度目の登場をはたしていただいた八巻信男氏。その後4月からは本丸、株式会社ワイ・デー・ケーにおいて、実質的なリーダーともいうべき副社長に就任した。社内カンパニー制を布くワイ・デー・ケーグループの統括を任されて舵取りをする、その視線の先に見え隠れする未来像とは?

目標に向かって一丸となれ!

IT分野におけるモノづくりのトータルソリューションを提供する株式会社ワイ・デー・ケーは、メカトロニクスとコミュニケーションズ、テクノロジーズの3つの柱で成り立っている企業だ。

そのうち、メカトロニクスカンパニーというのは、社内カンパニーのひとつで精密切削加工に加え、半導体製造装置、あるいはFPD(フラットパネルディスプレイ)などの大型装置を製造している。コミュニケーションズカンパニー(以下、コム)では、ネットワーク通信機器、制御機器、無線機器など、製品企画から製造委託まで行う。各種デザインサービス・電子機器の設計開発から、システム構築、監視アプリケーション開発までトータルにサポートするテクノロジーズカンパニーは、この4月、YDKコミュニケーションズに統合し技術本部としてスタートした。

「僕はコムで6年間社長として改革を実行してきました。その核となったのが、2013年4月から掲げた『YCV(ワイデーケー・コミュニケーションズ・ビジョン)─50』です。2016年3月までには営業部門で50億の売上を目指し、製造部門ではリードタイムを、購買管理部門ではコストを、それぞれ50%削減を目標とします」

 

八巻氏がコムの社長に就任した当時、年間12億5000万円だった売上が今や30億円。ハードルが高いと思われていたYCV─50の売上目標ももはや射程距離に入った。

「最悪の事態は脱しました。この6年間で見違えるように改善して、黒字を5年以上維持しています」

しかし、これまでになるにはいろんな変遷をたどっている。たとえば取引先は5年ぐらい前まではNECが8割も占めていた。それが今ではがらりと変わって、NEC依存が10%を切っている。

「やはりコスト面も含め競争力をつけて、他社に負けない優位性を保つことが大事。いわゆる差別化を図ることで、これまではあまり目を向けていなかった多方面での顧客を新規獲得できた。同じベクトルで社員全員が働けるようなモチベーションをしっかり植え付けられたことも大きな要因です」

 

現在いちばん採算の取れる事業として、全社の中の大きな柱となってきているコムは、改革を断行したからこそ、奇跡的なV字回復を実現できたのだ。この4月から副社長となりワイ・デー・ケーグループ総括の担当に任命されたのは、やはりコムでの業績回復を成し遂げたその手腕を見込まれてのことと推察する。

「コムでYCV─50を掲げたように、メカトロニクスではYMV(ワイデーケー・メカトロニクス・ビジョン)─50、コーポレートはYCOV(ワイデーケー・コーポレート・ビジョン)─50、というようにカンパニーごとにビジョンを明確にさせて、ワイ・デー・ケーとしての総合力を発揮できるようにと、考えています」

 

日本回帰の波に乗れ!

今後の関心事は〝コムでの実績をグループ全体にどのように反映させていくのか〟ということになるだろう。たとえばメカトロニクス分野でいえば将来的に成長産業といえるのかどうか、その辺りの見極めも聞いてみた。

「半導体については、半導体製造自体が2015年がピークで2016年もその状態が続くであろうというデータがあります。そういう意味ではまだまだ生き残れる状況ではあるなと」

ただし問題もあるという。

「何もメカトロニクスだけではありませんが、当社ではまだQCD(Qは品質=Quality、Cはコスト=Cost、Dは納期=Delivery)が、まだきちっとできていない。品質や納期の問題もある。お客様からコストが高いと言われれば、それはお客様第一ではない。だからQCDがしっかり実行できれば自然とお客様はついてくると確信しています」

 

平成元年にバブルがはじけて、中堅大手の企業の多くはアジアに進出した。それまで大手の傘下に入って多少の融通をきかせてもらっていた中小企業を中心とした日本のモノづくりは、海外進出の影響をもろに受け、疲弊したまま、現在までに至っている。

「実はいまアジア、特に中国に生産拠点を設けた企業の中には日本へ回帰する現象が見られます。海外ではカントリーリスクがあって、それらを回避する手立てを考えなければなりません。仕入れや品質の維持に問題があったりして『中国で作っていたけれど、YDKにお願いしたい』というお客様も目立ってきました」

その最大の理由は?

「日本では納期を守ることと技術の精度が高い。ところが中国では思わしくない。諸事情はあると思いますが、ここにきて『技術を伴わない中国で製品を作っても不良品が多くて、結果的に高くつく』こと。それを実感している企業が増えてきているのでしょう。だから日本のモノづくりは、逆にいま真価を発揮する時期がやってきた。大きなチャンスです」

 

出よ!  改革の旗手たちよ!

ワイ・デー・ケーでの経営戦略は整備されつつある。社員教育についてはどうなのだろうか。

「中小企業に就職した人を、大企業に入った人たちに対抗できるようにするには、特に社員教育が重要です。要は仕事に対する目標や動機づけをしっかり持たせるようにして磨きをかける。いくら大企業でエリートコースに乗った人でも能天気でいたら、中小で頑張っている人にはかなわないと思いますよ」

たとえば、コムでは国家資格取得を推奨している。特級から2級まで国家資格の電子機器組立て技能士試験に合格した社員は、年々増えてすでに62人にものぼる。この事実は、社員のモチベーションを上げるための大きな役割を果たしている証になる。

 

株式会社YDK (1)コムでは国家資格取得を推奨。電子機器組立て技能士試験の合格者は現在60人を超え、高品質な製品づくりを支えている。

「僕はこの6年間で今後柱となる管理職を育ててきたつもりです。毎月幹部会議を開いたり、毎日朝礼で話したり。徹底的に、そして継続すること。それが成長につながる。僕の考え方や会社に対するビジョンも浸透してきているし、モチベーションもいい方に変わってきています」

改革を押し進めて他社との差別化を図り、世界を見据えて社内カンパニーを御する今。

「中小企業のモノづくりというのは、『高い目標を持ち、心をひとつにしてお客様に信頼を得る会社にしていく』という思いを持つこと。そのためにも、まだまだ時代の流れを見越した改革を考えています。特に我々のような中小企業は改革を進めることが、この世の中に生き残る術だと思っていますから」

ワイ・デー・ケー八巻副社長の改革魂は常に現在進行形。次代へのバトンタッチも考えつつ、5年先10年先を見据えている。

 

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株式会社ワイ・デー・ケー
〈本社〉

〒206-0811 東京都稲城市押立1705

TEL 042-377-3831

http://www.ydkinc.co.jp

資本金 1億円(2014年4月1日現在)
売上高 61億円(2014年3月期) <連結> 89億円

〈社内カンパニー〉

YDKコミュニケーションズ

本社

〒028-0541 岩手県遠野市松崎町白岩20-35

TEL 0198-62-6711

東京事務所

〒206-0811 東京都稲城市押立1705

TEL 042-377-2814

YDKメカトロニクス

本社

〒028-0541 岩手県遠野市松崎町白岩20-40

TEL 0198-62-5850

東京(黒川工場)

〒215-0033 神奈川県川崎市麻生区栗木2-7-5

TEL 044-981-6315

YDKテクノロジーズ

〒206-0811 東京都稲城市押立1288

TEL 042-378-8111

〈関連会社〉

株式会社ワイ・デー・ケー九州

〒841-0201 佐賀県三養基郡基山町大字小倉34-4

TEL 0492-92-7811

旺天凱精密機器(昆山)有限公司

〒215300 江蘇省昆山市周市鎮陸楊友誼北路136号

TEL +86-512-5764-7572

 

2014年12月号の記事より
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