オビ 企業物語1 (2)

グローイング・アカデミー ‐ 日本初! サービス業に特化した 「定額制研修システム」で人財育成を

◆取材:綿抜幹夫 /文:渡辺友樹

オビ ヒューマンドキュメント

「人が変われば、未来が変わる」

日本初の「サービス業に特化した定額制研修システム」を展開するグローイング・アカデミー。月額5万円で100種類以上の講座が受け放題という気軽さが好評で、開校からわずか3年の間に700社から延べ7000人以上が受講した。運営会社である株式会社ホスピタリティ&グローイング・ジャパンの有本均社長に聞いた。

グローイング・アカデミー01株式会社ホスピタリティ&グローイング・ジャパン代表取締役社長 グローイング・アカデミー学長 有本均(ありもと・ひとし)氏…昭和31年(1956年)、愛知県名古屋市出身。早稲田大学政治経済学部卒業。昭和54年(1979年)、日本マクドナルド株式会社入社。店長、スーパーバイザー、統括マネージャーを歴任後、『ハンバーガー大学』学長に就任。平成15年(2003年)、『ユニクロ大学』部長に就任。その他、株式会社バーガーキング・ジャパン代表取締役など外食・サービス業の代表・役員を歴任。平成24年(2012年)、株式会社ホスピタリティ&グローイング・ジャパン設立。代表取締役社長。

■サービス業のプロフェッショナル

 昭和31年(1956年)生まれの同氏は現在58歳。早稲田大学政経学部の1年生の時にマクドナルドでアルバイトを始め、卒業後そのまま日本マクドナルド株式会社に入社したという経歴の持ち主だ。日本マクドナルド株式会社で店長、スーパーバイザー、統括マネージャーを歴任後、社員教育機関『ハンバーガー大学』の学長を務めた同氏は、やがて平成15年(2003年)に、UNIQLOを運営する株式会社ファーストリテイリングから招かれ、社員教育機関『ユニクロ大学』の部長に就任。その後も株式会社バーガーキング・ジャパンの代表取締役など、大手・中小問わず様々な外食・サービス業の代表や役員を歴任してきた、人材育成のエキスパートだ。

 「私はとにかく店舗などサービス業の現場が好きで、本当は社員教育を仕事にする気はありませんでした」という同氏だが、自らの現場や社員教育の経験から「特定の企業ではなく、もっと広くサービス業全体の発展に貢献できるのではないか」との思いが同社立ち上げのきっかけとなった。

 

「人で困っていない会社はない」

 同社が設立された平成24年(2012年)は、東日本大震災の翌年だ。リーマンショックによる不況が尾を引いているところに、震災によってさらに元気を失ってしまったサービス業の力になりたいという使命感があったという同氏。また同氏個人としても、このとき55歳。「年齢を考えると、(前線で社会人としてのキャリアを積めるのは)残り10年ぐらいだな」との思いもあっての一念発起だった。

 多くの企業を見てきた経験から「社員教育で困っていない会社はない、人で困っていない会社はない」と語る同氏は、「教育に困っているサービス業の救世主になりたい」と続ける。企業にとってスタッフの教育は不可欠だが、「やり方が分からない、やる人もいない、お金もない、時間もない、と手を付けられずにいる企業はとても多い」という。この傾向は特に中小企業に強いため、余裕のない中小企業でも手の届く価格や仕組みにすべく、同社では『定額制研修システム』を導入している。月額5万円で、1社あたり50名までのスタッフが、100種類を越える全ての講座を何度でも受け放題であるほか、受講資格は経営者から非正規雇用のアルバイトまで役職を問わない。グローイング・アカデミーの『サービス業に特化した定額制研修システム』は、日本初のビジネスモデルだ。

 

■講師は全員がサービス業経験者

 「当社が目指しているのは、とにかく現場で役に立つこと。今日、講座を終えて店に帰ってすぐに行動が変わることです。難しい内容ではなく、様々な場面や役職ごとに、サービス業に必要な基本的なスキルをお伝えしています」と語る同氏。一番の強みとして挙げるのは、同氏を含む10数名の講師全員が、サービス業の現場を経験していることだ。現場で叩き上げてきた経験者が教壇に立つことにより、自らの体験談など実際の事例を話すことができ、説得力が生まれる。たとえば人材開発の技法のひとつである『コーチング』など、人材育成に関する理論自体は変わらない。その意味では、どこで研修を受けても同じと言うこともできてしまう。しかし、重要なのは同氏も言うように「何を教えるかよりも、誰が教えるか」だ。受講生と同じ視線から、共感できる実体験による説得力が付加されることで、受講生が得られる学びは格段に変わってくる。

 

■業種や職種を超えた受講生間の交流

グローイング・アカデミー03経営者からアルバイトまで受講生たちは様々だが、講座を通じ、役職を越えた交流を次第に深めていく。

 また、同氏が「創業時に考えていた以上の効果」と語るのが、受講生間の交流だ。サービス業という枠の中で様々な企業から受講生が集まるため、講座の中心である『グループディスカッション』や『ロールプレイング』が、それぞれの社内で行うよりもはるかに活性化する。さらに、受講生は前述の通り、経営者からアルバイトまで役職も様々だ。階層別の区切りは設けてはいるが、役職を越えた交流が充分に図れるといい、役職も、業種も、職種もバラバラであることが受講生にとって大きな刺激になる。初対面の受講生たちは、はじめは緊張していても、1講座3時間の中で自然に打ち解ける。名刺を交換して終わってしまうことも多い異業種交流会とは密度の異なる交流が生まれるのだ。研修を終えて、この点に喜びの声を寄せる受講生は多いという。

 

■設立3年で全国に5校を展開、延べ700社・7000名以上が受講

 これらの強みを持つ同社は、設立から3年で新宿・大阪・福岡・名古屋・横浜と既に全国に5校を展開しており、これまでの受講企業は700社以上、受講生の数は延べ7000名を超える。

 加えて、特筆すべき実績として受講生の離職率が低い点が挙げられる。サービス業全体として人が集まらず、採用や離職率に苦しむ企業が多い中で、大きな特長だ。同氏はその理由について、「講座の内容はもちろんですが、自分の会社が当社のような研修に通わせてくれることで、会社から大切にされていると感じられることや、他社からの受講生との交流といった点もモチベーションにつながり、人材の定着率を上げる効果を生んでいます」と語る。

 経営者層の受講生に向けては社内の労働環境を整備するように促しているという同氏は、「入ってきた社員を絶対に退職させないで育てていくというマインドを持たない企業は、この先、生き残れないと思います」と語るように、これからは退職を抑えることが企業の存続の鍵と考えている。

 

■営業はテレアポで

 順調に業績を伸ばしている同社だが、その営業スタイルは「営業マンが毎日電話をかけまくっています」という泥臭い『テレアポ』だ。企業のリストを購入し、ダイレクトメールを送り、後追いの電話をかけるという営業の正攻法を選択している同氏は、「説得のハードルがそれほど高いビジネスではないと思っています」と語る。

 月額5万円で、アルバイトも含めて受け放題だと営業を掛けても、受講のために現場から従業員を不在にできない、定期的な通学が難しいなど様々な理由で断られるというが、「そうした経営者さまに対して、信念を持って『当社と契約していただければ必ずプラスになります』と、全社員がそう信じて説得にあたっています」と語る同氏。その結果が3年で700社、7000人という実績である。付け加えるならば、この実績の内訳は、予算や人員に余裕のない中小企業がその大半だという。同氏以下、各拠点に散らばる同社40名の信念が間違っていないことの証と言えるだろう。

 

■受講企業の7割が中小企業

グローイング・アカデミー04 『サービス業に特化した定額制研修システム』は、日本初のビジネスモデル。有本氏を含む10数名の講師全員が、サービス業の現場を経験していることが同社の強みだ。

 同社の受講企業は、10店舗前後を運営する中小企業が7割以上を占め、その経営者の大半は30代~40代だ。同氏から見て、そうした経営者たちはみな熱心で、従業員たちと共に自身が講座に通う例も少なくないという。同氏は「10年、20年前であれば、当社のようなビジネスは成り立たなかったと思います。殆どの経営者が、『良い商品を持っていれば大丈夫』と思っていましたから」と前置いた上で、「社員教育を重視する企業は確実に増えています」と語る。

 同氏がそうした経営者たちと接する中で感じているのは、人の扱い方、特に「ゆとり世代」と呼ばれる20代の従業員の扱い方に関する相談が多いことだ。30代~40代のサービス業経営者は「ゆとり世代」に対して、我慢ができない、すぐ諦めてしまう、上を目指す気持ちがない、ハングリー精神がない、などと感じている。理解力や思考力といった能力の不足ではなく、精神面の問題である点が特徴的に思えるが、そういった相談に対して同氏は「それはどこの会社でも同じ」と答えるのだという。

「自分の会社にだけ、そういう人たちが入って来ているわけではないですよね。であれば、それを踏まえてどうするかを考えていかないと、会社の将来がダメになってしまいますよ、と話しています」

グローイング・アカデミー05

「本当にそういった若者が増えているのだとしたら、それはどこの会社でも同じなはずです。その中でいかに会社を運営していくかを問われるのが経営者だと、私は思います」と語る同氏。政治のせい、教育のせい、社会のせい、時代のせいと憂いているだけではなく、現在ある戦力を鍛えていかなければ、それぞれの企業はおろか、日本という国が崩壊してしまう。
「人口は減っていきますから、今いる人をどうするかが勝負なんです」

名だたる大企業から中小企業まで、サービス業の最前線を知るベテランの視線は鋭い。

オビ ヒューマンドキュメント

グローイング・アカデミー02

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◉グローイング・アカデミー http://g-aca.com

2015年3月号の記事より

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