オビ 企業物語1 (2)ジャンプ株式会社 – 『カンパニーフラッグ』で企業成長を!

◆取材:綿抜幹夫 /文:渡辺友樹

オビ ヒューマンドキュメント

〈この経営者に注目〉人生も経営も、目標達成の繰り返し。

顧客企業の旗印『カンパニーフラッグ』を定め、組織づくりやブランドづくりによる成長支援を行うジャンプ株式会社。『100年100人採用』、かけもち歓迎、出社自由、個人評価無しなど、ユニークな社内環境も特徴だ。増渕知行社長は、高校3年生の夏に思い立った大学受験を転機に、自らも目標設定と達成を繰り返す人生を歩んできた。

 

◆「カンパニーフラッグ」で成長を

ジャンプ株式会社 代表取締役 増渕知行氏ジャンプ株式会社 代表取締役 増渕知行氏

企業成長の「全体最適」

同氏は前職であるリクルート系の代理店で、12年間に渡って求人広告の営業に関わっていた。しかし、企業を成長させるための手段のひとつである人材採用、さらにその手段のひとつである求人広告は、いわゆる「部分最適」。
「本当にその企業を応援したい、社長さんの役に立ちたいと思ったときに、採用という形でしか関われないこと、その採用を成功させるための求人広告でしかお金をもらえないことが、だんだん物足りなく、もどかしくなってきたんです」
採用や広告に限らず、研修やウェブ制作など、部分だけを最適化するサービスを手がける企業は多い。これに対して、同社は「全体最適」。対外的なブランディングも含めて、企業の成長を総合的に支援する。近い考え方で、大企業向けにサービスを提供し、成功している競合会社もある。これに対して、同社は10人程度から数万人規模まで、中小・ベンチャーも含めて1社1社に向けて手作りの支援を行っている。

 

登録商標『カンパニーフラッグ』

同社の事業は「フラッグマネジメント」を軸とした企業の成長支援。まず、「VISION(どこをめざし)」「VALUE(なにを強みに)」「STANCE(いかに実行するか)」をテーマに『カンパニーフラッグ』と呼ぶその企業の旗印を決め、この旗の下に「構成変革」「業務変革」「風土変革」「マーケティング変革」「ブランド変革」という5つの変革を実行していく。『カンパニーフラッグ』として目標やテーマを明確に定め、それを常に中心に据えることで、個別の施策の方向性がバラバラにならず、常に連動性と一貫性のある手を打てる。

 

ご縁のあったクライアントのために

競合や差別化は、特に意識していない。縁のあった人、期待を寄せてくれる人・会社に応えていくことを第一に心がけている。
「世の中を良くしていこうとか、そういう大それたことはあんまり考えていなくて。ご縁があった人に喜んでもらうことを続けていけば、結果的に世の中のお役に立てるんじゃないかと思うんです」
経営者は孤独だとよく言われる。何でも相談できるナンバーツーや、人事のプロ、広報のプロといった人材が潤沢に存在する企業は多くない。かといって、そうした人材を採用できるかといえば、それも難しい。
「でも、そういうことを社長さんが独りで行う必要もないし、プロを採用する必要もないんです。うちと組んで一緒にやりましょうよって、わかりやすく言うとこういうことです」

 

◆すてきな仲間と苦楽をともにしたい

ジャンプ株式会社 業務の様子 写真上/未来を語る全社会議「ジャンプSummit」の様子

写真下/各自のよい仕事を共有して審査する、年に一度の「ベスプロ(ベストプロジェクト・コンテスト)」の様子

『100年100人採用』

営業畑を歩んできた同氏と、人事出身の辻隆斗氏、クリエイティブや制作を専門とする安井省人氏という、畑違いの3名で2008年に立ち上げた同社。設立7周年を迎えた現在は総勢12名、その全員が人脈によって入社し、かつ現在まで退職者が一人もいない。採用理念は『100年100人採用』だ。
「毎年一人ずつ、ご縁があって増えていくとうれしいよね、増えた人間が一人も辞めずに100年続く会社を作れたらうれしいよね、という考え方です」
事業計画ありきの採用ではなく、縁があって人が増えればそれに合わせて事業を広げ、経営予算を上げていく。
「計画に合わせて増やしているわけではないので、採用も全然焦っていません。もともとの知り合いや、紹介された人、出会った人と『一緒にやろうよ』『一緒にやりましょうよ』って意気投合した、そういう仲間が一人ずつ増えていったんです」

 

かけもち歓迎、出社自由

自由な社風も大きな特徴だ。たとえば、「かけもち歓迎」。他社の役員をしている社員や、フリーランスとして他所で働いている社員もいる。かつては兼業禁止・副業禁止という企業が多かったが、「パラレルワーク」なる言葉も聞かれるように、複数の収入源を持つ働き方は徐々に広まっている。同社はいち早く「かけもち歓迎」を打ち出してきたが、それだけでなく、出退社時間も自由、出社の有無も自由など、ユニークな制度が目立つ。
「働きやすさ、自由さはあると思います。何時に来て何時に帰ってもいいですし、そもそも来ても来なくても別にいいので。あくまでも、クライアントに対するプロジェクトの成功にコミットする、その考えの下に各自で動いているわけですから」

 

個人評価無し

同社は給与体系に年棒制を導入している。個人評価をすると、誰がどれだけ貢献したかを数値化しなくてはならない。
同社ではひとつのプロジェクトを必ず二人以上で行うが、あるプロジェクトに対してA氏は何%貢献した、B氏は何%貢献した、という考え方をしたくないのだという。
「毎年一回、『来期はお給料いくらにしようか』って相談して決めるんです。現時点での活躍に対してお金を払う感覚が一般的ですが、『一緒にやろう』って意気投合して仲間になったからには、長くずっと一緒にやりたい。その年活躍した人の給料を上げて他の人は下げるというような、上がったり下がったりするやり方は嫌だなと。ずっと一緒にやるなら、毎年少しずつ上がっていくのがいいかなと思って。私自身もまだ独立前に追いつかないのですが、でも、みんな毎年少しずつ上げるようにしています」
設立以来、毎年黒字を続ける同社の生命線は、何といっても少数精鋭の社員の人選だ。採用情報にもユニークな文言が並んでいる。しかし、インタビューや面接を綿密に行うわけではないという。
「飲みに行くんです。僕だけじゃなくて何人かで飲みに行って、そうすれば、ウマが合うかどうか分かる。それに、人相を見ると大体分かるじゃないですか。悪い人は悪い顔をしていますよね。サイトにもメンバー紹介を載せていますが、うちのメンバーはみんないい顔をしていますよ」

 

◆目標設定・達成を繰り返してきた半生

ジャンプ株式会社 イベントの様子 5周年では記念ソングを作成し(写真上)、6周年ではフットサルチームをつくる(写真下)など、イベントには「魂こめています。人生かけています」と増渕社長は語る

大学受験

教師の多い家系に生まれた同氏。進学校に通い、中学までは成績が良かったというが、高校に進むと勉強をしなくなり、料理人を志すようになったという。しかし、高3の夏に「やっぱり大学に行こう」と決め、半年間の猛勉強で日本大学文理学部社会学科に合格する。今から大学に受かるにはどうすればいいか、どこなら入れるかを考え、日大1本に決め打ち。国語・英語・社会のマークシート問題集をひたすら解いたという。
「ああなるほど、人生って本気で頑張ると面白いんだな、こうやって目標を決めて達成することは気持ちいいんだなって。今の自分につながる大きな転機になりました」

 

新聞奨学生

大学に入ると「新聞奨学生」として産経新聞の新宿の販売所に配属。歌舞伎町や大久保、新宿二丁目といった地域に朝晩配達していたという。配達・集金・勧誘と4年間打ち込み、店長補佐の立場を任された。
「楽しかったですが、辛かったは辛かったですよ。同級生がサークルだ、コンパだって遊んでいるときに、早朝から配達して。でも、あの経験があったから、社会人になってからもそんなに辛くなかったですね。この4年間が人生のベースになっていると思います」

 

目標設定と努力、達成の繰り返し

やがて就職し、求人広告の営業職に就いてからも、大学受験や新聞奨学生で培われた生き方は変わらなかった。まずは「一番売れる営業になること」を目標と定め、そのために何をどうすればいいかを考え、徹底的に取り組んだ。これを達成すると、次の目標は「お客様にとって一番価値のある営業になること」だった。次は、プレイヤーではなくマネージャーとして、そうした営業職を育てることを目指した。やがて、今いる会社をもっと良くしたい、そして経営をやってみたい、と目標を進めていき、独立起業し今日に至る。
常に目標に向かって、何が必要で、日々どう取り組めばいいのかを考え、徹底的に取り組む。クリアしたら次の目標を決める。それを繰り返してきた同氏。この考え方を企業の成長に当てはめ、その支援を行うのが同社というわけだ。

 

 

「当社の在り方は、客観的に見ればユニークなんだと思います。当社がロールモデルになって、当社のような組織の在り方やビジネスのやり方が、スタンダードになってほしい…とまで言うとおこがましいですが、少しでも世の中に浸透したらうれしいですね」
小さな目標への努力を繰り返すうちに、いつしか想像もしなかった成長を遂げていることに気づく。そんな風に、社会の在り方も、小さなところから変わっていく。

 

オビ ヒューマンドキュメント
増渕知行(ますぶち・ともゆき)氏
1974年、栃木県生まれ。日本大学文理学部社会学科卒業。株式会社林企画への就職を経て、2008年にジャンプ株式会社を設立。代表取締役。

 

ジャンプ株式会社
〒107-0061 東京都港区北青山2-7-26 フジビル28
TEL: 03-6863-6958
http://jumpers.jp

 

2015年6月号の記事より
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