ドンキのレジに貼られた青いステッカー

コンビニやスーパーなどのレジで、現金以外で支払うことはもう珍しくありません。クレジットカードやSuicaなどの電子マネーのみならず、最近ではApple Payで支払っている人も多いでしょう。

 

こうした中、最近はドン・キホーテのレジで青い「支付宝(ALIPAY)」のステッカーが貼られているのを見たことはないでしょうか。

 

これは中国、アントフィナンシャル・サービスグループ(蟻金融服務集団)が提供する、世界最大規模のモバイルおよびオンライン決済サービス「アリペイ」に対応している証です。

ちなみにドン・キホーテはテンセント(腾讯)の「微信支付(WeChat Pay)」にも対応しています(こちらは緑色のステッカーです)。

 

ご存じのとおり、数年前から日本では中国人観光客による「爆買い」の額が一気に大きくなりました。そこで多くの小売店はこぞって「銀聯カード」(クレジットカード、キャッシュカード)に対応、3色の「UnionPay(銀聯)」ステッカーをはって対応をアピールしていました。しかし最近は、中国発のこうした新しい決済サービスへの対応も求められつつあるのです。

 

アントフィナンシャルは、アリペイのほかにも世界最大のMMF「ユエバオ(余額宝)」や中小企業向けオンライン融資「マイバンク(My Bank)」も提供。保険、信用評価など、積極的に事業領域を拡大しています。同社は中国最大の電子商取引企業アリババグループ(阿里巴巴集団)の金融子会社として2014年に設立されました(前身は04年設立)。

 

アリペイは2017年12月現在、世界中で5億人以上から利用されている電子決済です。スマートフォンにアプリをダウンロードしておけば、銀行振り込みや個人間送金、レストランや小売店での支払いまで、スマホから簡単に決済が行えます。

 

消費者はインターネットで購入した商品の代金を、販売者にではなく、アリペイに支払います。注文を受けた販売者は、アリペイから支払い通知を受けた時点で、商品を消費者に発送します。最後に、消費者から商品到着の通知を受けたアリペイが販売者に支払いを行います。

 

ネットショッピングでは「代金を支払ったのに商品が届かない」「偽物が送られてきた」といったトラブルが珍しくありませんが、第三者が決済プロセスに介入することで、こうしたトラブルを未然に防ぐことが可能になります。この辺りの仕組みは、電子決済サービスの先駆けとなった米国の「ペイパル(PayPal)」と共通です。店舗や自動販売機などでの支払いには、中国でも広く普及している「QRコード」をスマホで読み取るだけです。

 

アリペイが日本でサービス提供を始めたのは2015年10月。日本での加盟店は17年8月時点で2.5万件に達しているそうです。東京にも支社を開設し、NTTデータやオリコ、オリックス、リクルート、JTB、セブンネットなどの企業と提携関係を結び、さらなる加盟店の拡大に挑戦しています。

 

「爆買い」は一時ほど騒がれなくなりましたが、日本の在留外国人は増えており、その中でも中国人の割合が最も大きいことは変わりません。彼・彼女らにとって本国では欠かせない生活インフラになっている決済サービスへの対応は、日本の小売店にも今以上に求められることになるでしょう。

 

筆者プロフィール/一村 明博
東京都出身。成蹊大学法学部卒業。1993年、大和証券入社。富裕層や中小企業オーナーを主な顧客とする個人営業に従事し、常に全国トップクラスの営業成績を残す。入社3年目には全国NO.1を獲得。

その後、2001年に松井証券入社。2004年、最年少(当時)で同社営業推進部長、そして2006年には同社取締役に就任。高度かつ専門的な知識が必要とされる金融業界において20年以上にわたり500人以上の部下を育てた人材育成のプロフェッショナル。

 

株式会社ZUU (英語名 ZUU Co.,Ltd.)
〒153-0042東京都目黒区青葉台3-6-28 住友不動産青葉台タワー9F
従業員数:66名 (パート・アルバイト・インターン・海外支社社員含む、2017年12月時点)

https://zuu.co.jp/