ノッティングガム城 ロビンフッド像 pixabay

 

振り込みなどお金のやり取りを、銀行の支店に行くことなく、パソコンやスマホを使い、インターネットで済ませることは珍しくなくなってきました。最近では、お金のやり取りだけでなく、株式の売買など投資・資産運用もスマホでできるようになっています。

こうした中、米国では「無料で株の取引ができるトレーディングアプリ」が若者を中心に人気を集めています。それが「ロビンフッド」です。

 

2013年、米国スタンフォード大学でルームメイトだった2人、バイジュ・バット氏とブラド・テネヴ氏によってカリフォルニアで設立されました。そのロビンフッドが主なターゲットにしているのは、1980年から2000年頃に生まれた「ミレニアル世代」と呼ばれる2000年代に社会人になる世代です。

ユーザー数は既に400万人を超えているといいます。人気の秘密は、なんといっても手数料無料で米国株やETFが売買できること、そして非常にシンプルで分かりやすい操作感を実現していることでしょう。共同創業者の一人は「インスタグラム(写真や動画を共有するSNS)の投稿と同じくらいシンプルにしたかった」と言っているほどです。

ロビンフッドがターゲットにしているミレニアル世代は、いわゆるデジタルネイティブ。物心つくころにはパソコンやインターネットが当たり前のようにあり、あらゆることをスマホで簡単に済ませる世代です。

ロビンフッドが、投資に興味がない人や消極的だった人に、投資に触れる機会を生み出していることは間違いなさそうです。同社の15年のブログによると、ユーザーの25%が初めて投資をした初心者だったそうです。

 

米国でも以前は株取引に数ドルかかるのが常識でした。「手数料無料で利益が出せるのか」という疑問は誰もが抱くのではないでしょうか。同社の説明によると、毎月6ドル払えば立会外取引に参加できるなど優遇のある有料口座「ロビンフッド ゴールド」があるほか、会員の口座から各種の情報を収集して収益につなげているそうです。

 

そんなロビンフッドですが、18年2月からは米国の一部の州で仮想通貨取引サービス「ロビンフッドクリプト」も始めました。売買対象はビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)のみですが、ビットコイン・キャッシュ(BCH)やリップル(XRP)などの価格のチェックはできるそうです。サービス開始発表からわずか5日間で、100万人以上がサービス利用登録をしたというから驚きです。

同社はこれまでに何度か資金調達しており、ラッパーのスヌープ・ドッグや俳優のジャレット・レトなどのセレブも参加して話題になったことがあります。

ロビンフッドは中世のイングランドで活躍したとされる伝説上の人物。私腹を肥やす貴族などから財を奪って貧乏な人に分け与えたという、いわゆる義賊です。その名前を社名、そしてサービス名に冠しているところに、この会社なりの考えが見て取れそうです。

 

筆者プロフィール/一村 明博
東京都出身。成蹊大学法学部卒業。1993年、大和証券入社。富裕層や中小企業オーナーを主な顧客とする個人営業に従事し、常に全国トップクラスの営業成績を残す。入社3年目には全国NO.1を獲得。

その後、2001年に松井証券入社。2004年、最年少(当時)で同社営業推進部長、そして2006年には同社取締役に就任。高度かつ専門的な知識が必要とされる金融業界において20年以上にわたり500人以上の部下を育てた人材育成のプロフェッショナル。

 

株式会社ZUU (英語名 ZUU Co.,Ltd.)
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従業員数:66名 (パート・アルバイト・インターン・海外支社社員含む、2017年12月時点)

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