M&A(合併・買収)仲介サービス大手のストライクは11日、インターネット上にM&Aを希望する企業を対象とした仮想市場を創設した。同業の仲介会社から参加を募り、同社が運営するサイト上に売却を希望する企業の情報を集約する。当初は同業の30社程度が参加し、100件程度の売り案件を掲載する見通し。5年以内に売り案件1,000件を集約することを目指す。M&A仲介大手がこうしたサービスに乗り出すのは初めて。情報を集約することで、売却を希望する企業と買収を希望する企業とのマッチングをしやすくすることが狙いだ。

 

サービスの名称は「M&A online Market」(https://maonline.jp/market)。ストライクは運営サイトにM&A仲介業者が抱えている売却希望の企業情報を匿名で掲載する。掲載するM&A仲介業者にとっては、顧客企業に対して、より多くの買い手企業を紹介できる。買い手企業にとっては、より多くの譲渡企業の情報に触れる機会になる。

 

少子・高齢化による中小企業の後継者不在の問題を背景に、M&A業界には多くの企業が参入している。だが買収を希望する企業にとっては売却を希望する企業の情報が拡散し、買収したい企業を見つけづらい面があった。M&Aの仲介業者が協力して情報を集めれば、売却を希望する企業にとっても取引が成立しやすくなる利点がある。

 

第一次ベビーブームの時期に生まれた「団塊の世代」の大量退職が今後本格化することもあり、中小企業では事業をどう次世代に伝えていくかが深刻な課題となっている。一方でスタートアップ企業の間では、株式公開よりもM&Aにより、投資回収や利益獲得を目指す経営者が増えており、M&Aはこうした問題を解決する有力な手段となっている。今回のストライクのサービスは、買収、売却を希望する企業経営者のこうした需要に応えるものだ。