ビッグブランドと低価格帯製品の挟み撃ち

かつては3兆円近くもあった国内のジュエリー市場が、今や推定で8千億円規模にまでシュリンクしているという。良くも悪くも消費者心理がもっとも顕著に映し出される市場だけに、あのバブル崩壊から金融不安、消費税アップ、世界同時株安、リーマンショック、東日本大震災まで、何か事が起きるごとに大きく売り上げを落とさざるをえず、一方で反転攻勢のきっかけすら掴めないできたことの結果である。

そこへきて昨今は、超円高を背景にした海外製品の洪水だ。それも欧米のビッグブランドと、新興国の低価格帯製品による挟み撃ちである。もはや絶体絶命といっていい。果たしてこの国のジュエリーは、このまま沈んでいくしかないのか……。

 

 

エリーという新たな概念

そんな中で、とあるジュエリー工房を訪ねて話を聞いてみた。場所は東京・御徒町。大阪の南船場と並び、日本を代表する宝石・宝飾品のメッカだ。訪ねた理由は、これまでの業界の常識を打ち破る「リ(再生)・ジュエリー」という概念の下に打ち立てられた、新たなビジネスモデルの川上を担う意欲的な工房のひとつと聞いたからである。「所有者にとって宝飾品には二つの顔があります。

一つは何かの記念とかスタート時のシンボル的な顔で、今一つは昔の思い出をいつでも蘇らせてくれる、アルバムというかビデオレコーダー的な顔です。これまでは前者にばかりスポットが当てられていましたが、リ・ジュエリーという概念は、後者に着目した新たな発想といえます。元々がけっして安価なものではありませんから、潜在的には大きなニーズがある筈です。その意味で、市場規模は着実に拡大していくと思いますよ」(業界に詳しいアナリスト)。

ちなみにこの工房では、顧客の要望に応じて古い型のペンダントを最先端のシャープな指輪に生まれ変わらせたり、二つの古い宝石を組み合わせて一つのエレガントなブローチにつくり替えたりと、バリエーションは無限大にあるという。しかしその分、写真でも想像がつくように、作業は極めて複雑で精緻を要する。

 

 

「神経を使いますねって? アハハ。それはそうですよ。だってどれもこれも、お客さまの

大切な思い出と掛け替えのない宝物が、ギッシリと詰まっているんですから」(同工房の職人氏)。

日本のジュエリー業界にも、ようやく一筋の光が射してきたようだ。

 

 

株式会社フェイム

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