クオンタムリープ株式会社の出井伸之会長(ソニー元会長)は8月26日、M&A仲介大手のストライクのM&Aセミナーで講演し、新型コロナウイルスの感染拡大について「日本が変われるチャンスだ」と指摘した。同氏は「改革には技術革新やパラダイムシフトが必要で、日本はまだモノづくり(だけが得意な国)から脱することができていない」とも述べ、経済・社会の改革の必要性を訴えた。

 

日本の3つの敗戦

 

出井氏は講演で、近代日本は、1945年の第二次世界大戦での敗戦、1985年のプラザ合意による円高と対外競争力の低下、2000年のインターネットビジネスでの出遅れという3つの敗戦を経験したと説明。改革が進まなければ、「新型コロナショックは4回目の敗戦になりかねない。今こそ日本は変わらなければならない」と強調した。

 

競争優位の源泉は独自に収集したデータ

 

そのうえで、出井氏は「改革への脅威はpassive-aggression(面従腹背)だ。表面上は賛成するが、実際は変革に反対する人たちがいる」とも指摘。無形の情報資産の重要性も強調し、「独特なデータを集めてくる企業が成長していく」との見方を示した。