コラム

くじらリアルエステートテック 既存宅配ボックスをIoT化。アナログ鍵をスマートロックに

2026.02.25
既存宅配ボックスの鍵をスマートロック化

不動産テック分野でソリューション開発を手掛けるくじらリアルエステートテックは24日、既設の機械式アナログ宅配ボックスをクラウド管理対応型へと刷新する「くじらスマート宅配ボックス リプレイスパッケージ」において、従来の鍵自体をスマートロック化するための追加開発を開始したと発表した。筐体を交換せずに機能のみをアップデートする手法で、コストを抑えつつ管理の効率化を図る狙いだ。

アナログ管理の限界と「捨てない」選択肢

マンション管理の現場において、宅配ボックスをめぐるトラブルは後を絶たない。多くの集合住宅で稼働しているダイヤル錠やプッシュボタン錠式のアナログ宅配ボックスは、「暗証番号の失念」や、いつまでも荷物が取り出されない「長期滞留」といった課題を抱えている。管理会社やオーナーにとって、これらの対応コストは無視できない負担となっているのが実情だ。

こうした課題の解決策として、管理のクラウド化(IoT化)が挙げられるが、導入にはハードルがあった。既存の設備を撤去し、新たな電気式宅配ボックスを設置するには多額の費用と工事負担が伴うためだ。

同社によると、今回のソリューション開発は、堅牢な既存の筐体を廃棄することなく、機能面だけを最新のIoT設備へと引き上げることを目的としているという。スクラップ・アンド・ビルドではなく、既存資産の有効活用により、環境負荷と経済的コストの双方を低減させるアプローチと言える。

汎用スマートロック「TTLock」と独自システムを融合

新たに開発が開始されたシステムは、ユーザー側で用意する汎用スマートロック(TTLock)と同社の制御システムを組み合わせる仕組みだ。

導入形態は、現場の環境に合わせて2つのパターンが用意される。一つは「既存ユニット活用型」で、既存のボックスの1ユニットを操作専用に転用し、タブレットやリーダー類を埋め込む方式。もう一つは「操作ユニット増設型」で、既存ボックスはすべて収納用として維持し、新たに壁付けの操作パネルを設置する方式だ。

いずれの方式も、ボックス内部に通信用ゲートウェイとLTEルーターを設置し、各扉のスマートロックをネットワーク化することで、スマートフォンアプリやICカードでの解錠、およびクラウド上でのリアルタイム管理を実現する。これにより、管理者は現地に赴くことなく暗証番号トラブルの対応や滞留荷物の確認が可能となる。

資産価値向上と管理業務DXへの期待

今回の開発について特筆すべきは、主要メーカーの機械式宅配ボックスに幅広く対応できる点だ。既存の錠前を撤去して穴埋め加工を施し、電池駆動のスマートロックへ交換するため、大掛かりな電気配線工事を最小限に抑えられるメリットがある。

不動産市場において、IoT設備の有無は物件の資産価値や入居者満足度を左右する重要なファクターとなりつつある。大規模な修繕予算を組まずとも、既存設備を活かして物件のデジタルトランスフォーメーション(DX)を図れる本ソリューションは、築年数を経た物件のオーナーにとって有力な選択肢となるだろう。

同社は、現地調査から施工、システム設定までを一括して対応するとしており、今後の展開が注目される。
(文責:綿引亮介)

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