株式会社プロフィット(prophet) 代表取締役 久世文夫氏
ワンストップでIT業務を受注できることが特徴の株式会社プロフィット。久世文夫社長は、前職の大手IT企業でOS開発からスーパーコンピューター、金融機関の第三次オンラインまで手がけた実績を持つ。
外資系からのヘッドハンティングを断って独立開業してから20年弱、「コンピューターは嫌いだと思った」「IT業界に来たいとは思っていなかった」と語る同氏の哲学とは?
「就職したとき、ITの会社って、なんだか無口で暗い人たちが大勢いて。友達もできず、独りでご飯食べて、中庭の芝生に寝っ転がって『これでいいのかな』って。
それに、売り手市場で就職して、社会を舐めてました。入れてもらったんじゃなくて、来てくれっていうから来たんだよみたいな生意気な新人でしたが、ある上司と巡り合えたのが大きかったですね。
何も言わずに休日出勤に付き合ってくれたり、夜遅くなると家に泊めてくれたり。お互いに憎まれ口を聞きながらも、ほとんど毎日一緒にいました。彼はいま、ある大手企業の常務になっていて、この6月にリタイアしたばかり。ケンカばっかりしてたけど、今でも付き合いがあるんですよ」
自分たちの商品やサービスがどんなマーケットに求められているかを、売り手側がわかっていないことは多い。商品・サービス自体のアピールはできても、誰がそれを欲しているかをわかろうとしていない。同社が得意とするのはその部分、つまりマーケティングだ。 前職では天気予報のシステムを手がけたこともあった同氏は、「マーケティングと天気予報は共通する部分が多い」と語る。つまり、過去から現在のデータを分析する以外に手がない。 天気予報は、世界じゅうの気象情報のデータベースを持ち、それを日々更新していくことで近未来の天気を予報する。この作業を怠れば予報の精度は落ちるが、これはマーケティングも同様だ。ある商品が売れたときに、売れたことを喜んで終わりではなく、いつどこで誰に、なぜ売れたのか。さまざまな要素を分析することで、次の売り上げにつなげるのだ。 「マーケティングは分析力。しかし、それをヒューマンパワーで行うと、その人がいなくなったらダメになっちゃう。だから、それをすべてシステムにやらせるんです。そのサービスがどういう企業に受けるかをすべてデータベース化して、7億円の企業を46億円まで、受注率10%弱から40%台まで成長させたこともあります」![]()
毎年恒例の全体会議の様子(写真上・下)
生き馬の目を抜く業界で、同社が20年弱の間、生き残っている理由は、価格の競争力ではない。実際に、そう安い見積りは出していない。同氏が「ワンストップでできることが一番の強み」と語るように、同氏の前職での経験を活かし、サーバーからミドルソフト、アプリケーションまで、IT業務の全域に対応できることが最大の特長だ。 専門化・細分化の進むIT業界で、全域対応ができる企業は多くない。とはいえ、今はひとつのビジネスモデルが何十年というスパンで通用する時代ではない。「10年計画」などという言葉を発した時点で信頼に疑問符が付くほど、IT化社会は目まぐるしく変化していく。加速する時代に遅れず付いていくためには、新しい技術を吸収し、次のムーブメントを予測することが必須だ。 「弊社がいま進めているのは、チケットの電子化です。コンサートやイベントのチケットを、購入から入場までスマートフォンで『ピッ』で済むようにするんです。発券やモギリの人件費を削減できますし、紙の節約にもなります。さらに、電子化によってデータを蓄積し、マーケティングにつなげられるのが大きなメリットです。紙のチケットだと、お金だけが入ってきて、マーケティングはできないんです」2013年の夏に引っ越してきた赤坂オフィス
少子高齢化社会を持ち出すまでもなく、ITが人間に取って代わることへのニーズは絶対的にある。業界が衰退していくことはないというのが同氏の考えだが、そうは言っても、胡座をかいていては生き残れない。クライアントからの要望に応えることは当然として、クライアントが気付いていないニーズを開拓していくことが必須だ。 「それをしないことは自分たちの怠慢」とまで言い切る同氏の言葉通り、現在の同社は潜在ニーズの掘り起こしによる売り上げが7割に上る。 「他力本願」という言葉が嫌いだという同氏は、本来仏教用語には無い「自力本願」という言葉をその対義語として愛用している。職場のせい、お客さんのせい、社会のせい、時代のせい……なにごとも人任せにしてしまうことを嫌い、すべて自分の責任と捉える。その上で人のために生きる人生こそが崇高であり、その結果として自分も幸せになればなお良い、そこに自分の喜びもあるという考え方が同氏の「自力本願」だ。 「生きていればいっぱいあるじゃないですか。家族が問題を起こしたり、社員が問題を起こしたり、不景気になってクライアントに問題が起きたり。でも、それをすべて相手のせいにしていたら、自分は成長できない。すべて自分のことと捉えて、正面から受け止め解決を考える。解決できないこともあるかも知れないけど、向き合ってなんとかしようとするのがぼくの基本姿勢です。社員にもそう教えていますよ」こちらも毎年恒例、暑気払いのうなぎ!
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自分の力で世の中を幸せにしたい。バンド活動に明け暮れた学生時代から、その想いは一貫している。それを実現できるのは音楽だけではない。ギターからITへとツールを持ち替え、同氏はポジティブを奏でていく。
久世文夫(くせ・ふみお)氏…1961年、東京都新宿区出身。東洋大学工学部情報工学科卒業。IT企業への就職を経て、1997年に株式会社prophetを設立。代表取締役。
株式会社プロフィット(prophet)
〒107-0052 東京都港区赤坂5-4-15 ARA赤坂ビル
TEL:03-5575-3525
FAX:03-5575-3524
http://www.prophet.jp/
従業員数:32名(2015年9月現在)