コラム

会社のロゴマークへの理解度は、社員とお客様の理解度に比例する

2016.09.09
オビ コラム

Business Column イマドキのビジネスはだいたいそんな感じだ! その27

会社のロゴマークへの理解度は、社員とお客様の理解度に比例する

  「カッコいいロゴがいいですね。名刺にかっこいいロゴがあると社員も嬉しいじゃないですか」   就任4年目という老舗百貨店のテナントに入る中堅会社社長に、ホームページを刷新するとのことで呼ばれたワタシだったが、打ち合わせを始めると、「ついでに会社のロゴマークを刷新したい」と言い出した(自慢するわけではないが、ワタシは業務として時々こうした企業のロゴマークを含めたCI=コーポレートアイデンティティのコンサルっぽいことを依頼されたりする)。   「ほう…」と明らかに面食らいながらも、ビジネスお年頃であるワタシは、まるで電通とか博報堂の部長クラスの懐の深げな対応を示してみた。   「で、コンセプトか何かすでにお決まりですか?」 「いや、つくるならカッコいいのがいいと思っただけです」と社長。 「ロゴマークを刷新するとなると、CIに基づいて行うことになりますが、御社ではCI委員会などでその方向性やコンセプトはまだ出ていないということでしょうか?」とワタシ。 「いや…何ですか、そういったCI委員会とか、つくるもんなんですか?」   明らかに社長は面食らって動揺している。それ以上にワタシの方が面食らって動揺していた。   「はぁ、だいたいの会社様はつくります。失礼ながらCIというのはご存知でしょうか?」 「CIの意味は知っていますが、それがロゴマークのデザインと関係あるのでしょうか??」   ワタシは思わずのけぞりそうになったが、長年、この手の素っ頓狂な社長に接してきたオトナの編集者であるので鷹揚に受けた。 「あります。ロゴマークはそのCI、すなわち会社のアイデンティティ、つまり自分たちが何を大切にして日々仕事に取り組んでいるのか。会社はその社員とともにどこに向かおうとしているのか。 いわゆるビジョンを描いて見せてですね、社員と社会に対して示すのが会社のロゴマーク、シンボルマークの役割です。 通常、広告制作会社などでは、企業様から出された、あるいは一緒に考えたCIコンセプトに基づいて、ロゴマークやキャッチフレーズなどを考案していくことになります。 ただ日本におけるCIは誤解があり、そういった目に見えるものをつくって終わり、言葉化して終わりの感がありましたが、本来は10年後、20年後、50年後を想定してコンセプトを含めて管理しつづけ、PDCAを回しながら社会環境の変化に合わせて見直していく、企業活動と捉えるのが本来的なあり方です」   そしてこう付け加えた。   「だから、もし社員のみなさんの総意を受けたCI委員会の結論が、いまあるロゴマークで十分。ここに会社の未来と今が凝縮されていると思えるのであれば、変える必要はないと思います」   偉いぞワタシ。「クゥ〜〜!」 そうなのである。ロゴマークはそこから社員がどんな価値を大切にし、ビジョンを共有しうると考えるのであれば、つくり変える必要はない。もちろん時代に合わせてデザイン的にリファインする必要はある。   あのソニーのロゴ「SONY」は、5回は変わっている。資生堂の花椿マークは4回変わっている。巨費をかけて。 見た目がそれほど変わらないのに、そこまでこだわるのは、ロゴマークが会社の大きな資産であり、価値の象徴だからだ。その価値の源泉はどこから来ているか──。そう社員である。その社員が接するお客様からである。   創業以来ずっと変わっていないロゴマークもある。コカ・コーラがそうだ。アップルやマイクロソフトにブランド価値総資額で抜かれる前までずっとトップだった企業だ。 もちろん、変えようという議論は幾度となく起こっているはずだ。だがそれをしなかったのは、社員にもお客様にも不幸が起こると判断したからだろう。   CI_themeブランド論では、「ブランドはお客様と社員でつくられる」のが基本だ。その象徴となるロゴマークは、社員のものであり、お客様のものである。社員とお客様がもっとも大切にしている価値と未来の表象がロゴマークなのだ。   だから「名刺にあったらかっこいい」程度でつくり変えてはいけないのだ。中小企業はもっとロゴマークを大切にしたほうがいい。CIとロゴマークへの理解は、社員とお客様の理解力に比例する。   イマドキのビジネスはだいたいそんな感じだ。     オビ コラム
2016年7月号の記事より
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