「新たな漁場を探せ!」

中小企業金融円滑化センター 山本邦義氏

 

今月4日(日曜日)日本経済新聞朝刊一面に、「トヨタ、中国で基幹部品環境車向け初の海外生産」の記事が掲載された。トヨタ自動車が、前日、天津市で開催された自動車の国際会議において、ハイブリッド車の基幹部品であるモーターや電池などを現地生産する方針を公表したのである。

 

ついに来たかというのが正直な感想である。

 

国内雇用の維持や知的財産権の保護といった観点から、ノウハウの詰まった基幹部品は日本でつくるという従来路線を転換せざるを得ない状況にまでなってきている。そもそも我が国経済は、グローバル展開を果たしている国際競争力の高い特定の製造業(特定グローバル製造業)、なかんずく輸送機械・電機・鉄鋼・一般機械の業種に依存してきた。加えてここ数年、GDP全体の伸びに対する自動車関連産業の貢献が約半分を占めるほど依存していたのである。今日まで稼ぎ頭である自動車関連産業の一本足打法を転換するためには、今後稼げる産業に軸足を移さねばいけない。潮目が変わってきたのである。

 

現在、日本が抱えている課題として環境問題、エネルギー資源の逼迫、少子高齢化社会への対応等があげられる。今一度自らの経営資源を見直し、環境・エネルギー課題解決分野に進出することできないかとか、有望な先端分野であるロボット産業・航空機産業・宇宙産業への参入の可能性にトライするとか、待ちの姿勢では一向に解決しない。製造業においても二極化が進んでおり、稼げる産業の仕事をしている企業は概して元気がいい。製造業全てが、業績が厳しいのではない。トップランナーとして自負してきた日本の産業構造そのものが、企業活動のグローバル化、世界的なグローバル化の時代にて変革せざるを得ないことは必然的な趨勢である。

 

この現象は、製造業だけに限らない。ありとあらゆる業種が同じ悩みを抱えているのである。モノづくりが、日本企業の強みであることに変わりはない。製造業は、「良い現場を国内に残す」ためにはどうするのか。いつまでも魚のいない魚場に釣り糸垂れてても釣れない。そうであれば、新たな魚場に釣り糸を垂れるか、網を仕掛けていくことである。まずは具体的に行動を起すことで新たな道が拓けていくのである。

 

「最も強い者や賢い者が生き残るのではない。最も変化に敏感な者が生き残る」(ダーウィン)至極名言、といまこそ思う。

 

山本邦義(やまもと くによし)

1954年11月11日、愛知県出身(56歳)。1978年神戸商科大学(現兵庫県立大学)卒業。同年東海銀行入行、淵野辺・岐阜駅前各支店長及びUFJ銀行四ツ谷法人営業部長兼支店長などを歴任。2004年退職、2010年中小企業金融円滑化センター⑭社長就任。東京商工会議所エキスパートバンク登録、事業再生研究機構正会員(JABR)ほか。

 

企業再生の実績

1997年、東海興業株式会社(戦後8番目の大型倒産負債総額5,100億円)の更生管財人代理就任、再生・再建。2003年RCC(整理回収機構)の第1号企業再編ファンドスキーム活用により、大手メーカーを再生・再建。東京商工会議所および東京税理士会にて講演多数。