新型コロナ感染拡大以降、2021年に入り医療サービス業種を買収対象としたM&Aが約2倍に増加~M&A総合研究所
2019年2月から2022年1月の3年間において、上場企業によるM&A(買収)案件のうち、医療機関向け業務支援や臨床検査などを展開する「医療サービス業」を対象としたM&A件数を調査した結果、2019年2月から2020年1月は12件、2020年から2021年の同期間で4件、2021年から2022年にかけては8件でした。新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年から2021年では、医療サービス業を対象にしたM&A件数が三分の一程度に減少したものの、2021年から2022年では再び増加していることがわかりました。
「医療サービス業」を買収した企業の業種を調査した結果、2021年では87.5%が同業である「医療サービス業」、次いで12.5%が医薬品・材料分析の各領域に関連した「その他サービス業」であることがわかりました。
2020年の新型コロナ蔓延以降、病院や一般診療所などの医療施設では、新型コロナ感染者の対応に追われたことや、患者が病院での感染を恐れ受診を控える動きが増加したことから、医療業界全体で経営状態が悪化した企業が数多く存在しました。新型コロナの感染者が増加し、買収対象企業の業績の先行き不透明感から、予定していたM&A(買収)取引を中止・延期した企業が増えた可能性が高いと考えられます。2021年に入ってからは、医療従事者の人手不足をはじめ、医療体制の維持という課題に直面した医療サービス業種の企業が数多く存在したことや、医療技術の急速な発展への対応を目的にM&A件数が増加したことが考えられます。
また、2025年問題※1は医療サービス業種に大きな影響を及ぼすと考えられています。今後医療ニーズが急増することは確実ですが、増えたニーズに対応しきれない可能性が懸念されています。スマートヘルスケアサービスの普及やICT技術の向上など、時代の変化に応じて適切に対処することが今後の重要ポイントです。2025年問題に向け、医療サービス業界ではさらにM&Aが活発になることが予想されます。
※1:2025年までに団塊の世代約800万人が75歳以上の後期高齢者となり、国民の4人に1人が75歳以上となるタイミングの前後で引き起こされる、様々な問題の総称。
【株式会社M&A総合研究所について】
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