
日本企業のインド人IT人材の人気が続いている。Zenkenが9月に実施した日本の中小企業経営者の調査によると、海外のIT人材について、米国かインドの人材を採用したいとの回答が最も多かった。回答の比率はそれぞれ47.8%を占めた(複数回答)。ベトナムや欧州との回答も4割前後に達した。移民政策の厳格化などトランプ米大統領による政策で日本企業が海外の有能な人材を獲得するチャンスが増えると回答した経営者は1割強にとどまった。

調査はZenkenが日本の中小企業を対象に9月5~7日に実施し、200件の回答を得た。海外のIT人材を採用する可能性があると回答した経営者に対して、どの国・地域のIT人材を採用したいか聞いたところ、米国とインドがそれぞれ半数近くを占めた。米国やインドはIT大国として知られ、経営者が有能な人材を求めていることがわかる。次に多かったのはベトナムで43.5%、欧州が34.8%で続いた。ベトナム人は勤勉で真面目、親しみやすく礼儀正しいとされ、日本企業の経営者に人気がある。日本人と比べて自国の平均年収が安く、日本企業が採用しやすい面もある。

一方で地域的に近い中国は26.1%、韓国は21.7%にとどまった。平均賃金が上昇し続けており、同じアジアでもインドやベトナムに比べると採用の可能性は低いようだ。このほか、インドネシアと南アフリカはともに13%だった。ブラジル(8.7%)との回答もあった。
経済産業省の試算によれば、日本でIT人材は2030年に最大で79万人が不足する。特に今後市場拡大が予想される「ビッグデータ」、「IoT」、「AI(人工知能)」を担う人材については急速に不足数が拡大する。不正アクセスやマルウエア(悪意のあるプログラム)の被害増に伴い需要が高まっている情報セキュリティ対策を担う人材も、大幅に不足している。一方で日本では少子化に伴い、生産年齢人口が急減するとみられており、日本人だけで需要を満たすのは難しい状況だ。
インド政府は1970年代以降にソフトウェア開発や輸出に注力し、工学系大学のレベルも高い。インドは平均年齢が若い上に同国内の平均年収も日本に比べて低く、日本企業の採用意欲が高い。今後は人口が多いインドネシアなどアジア諸国でもIT人材が育っていけば、インドのIT人材と同様、日本企業の採用が増える可能性がある。