コラム

全国初 都心型脱炭素モデル 千代田区で始動 “テナントの壁”突破へ

2026.02.10
都心型・地域連携モデル
画像出典:一般社団法人 千代田エコシステム推進協議会 プレスリリース

千代田区と一般社団法人千代田エコシステム推進協議会は9日、全国初となる「都心型・地域連携モデル(千代田モデル)」の発足を宣言した。テナントビルへの入居が多く、単独での再エネ導入や設備投資が困難な都心部の中小企業に対し、地域ぐるみの連携で脱炭素経営(GX)を支援する新たな枠組みだ。
これに伴い、来る3月2日(月)には大手町「3×3Lab Future」にて、支援サービス・製品の第1弾および参加企業の削減目標が発表される。本モデルは環境省の「地域ぐるみでの脱炭素経営支援体制構築モデル事業」において、都心型として唯一採択されており、日本の都市部におけるGXの試金石として注目が集まる。

「テナントだから出来ない」を終わらせる

都心部、特に千代田区のようなオフィス街における脱炭素の最大の障壁は「テナントの壁」である。同協議会の発表によると、区内のCO₂排出量の約8割は業務部門が占め、その大部分が電力由来だという。しかし、多くの中小企業はテナントビルの一室に入居しており、自社の一存で電力会社を切り替えたり、省エネ設備を導入したりすることが構造的に難しい。加えて、昨今のコスト増により、環境対策への投資余力が削がれている現実もある。

一方で、千代田区には約3万6000の事業所が集積し、そこには脱炭素ソリューションを持つ大企業や金融機関も含まれる。「千代田モデル」はこの“都市の集積力”をテコにする。具体的には、東京海上日動火災保険株式会社や東京商工会議所、三菱UFJ銀行などが支援組織として参画。ノウハウや資金調達、リスク管理の面で中小企業をバックアップし、企業同士が互いに支え合う「地域アライアンス」を形成する狙いだ。

精神論ではなく「儲かるサステナビリティ」へ

本プロジェクトの特筆すべき点は、脱炭素を単なる「社会貢献」や「コスト」としてではなく、「経営改善の手段」と位置づけていることだろう。協議会関係者は「負荷を増やすのではなく、無駄をなくした『儲かるサステナビリティ経営』を目指す」としており、コスト削減はもとより、ブランディングや人材獲得といったビジネスメリットの創出を主眼に置く。

実際、2025年度から実施されている伴走型講座「ちよエコ未来企業スクール」には、すでに区内企業が参加している。3月2日の発表会では、スクールに参加した株式会社日比谷花壇(金森央匡 執行役員)や、リサイクル事業を手掛ける株式会社リーテム(浦出陽子 取締役)が登壇し、具体的な削減目標や取り組みを発表する予定だ。

また、支援サイドからは、東京海上日動火災保険の渡部光明・東京中央支店長が登壇し、千代田区独自の地域連携モデルについて、川又孝太郎・千代田区ゼロカーボン推進技監と共に詳細を語る。

都市型GXのロールモデルになれるか

今回の「千代田モデル」は、単独では限界のある中小企業の脱炭素を、地域金融機関や大手企業が「面」で支えるエコシステムと言える。この仕組みが機能すれば、同様の課題を抱える大阪や名古屋、福岡といった他の大都市圏にとっても有力なロールモデルとなり得るだろう。3月2日、その具体的な「支援の武器(サービス・製品)」がどこまで実効性のあるものとして提示されるか。その真価が問われることになる。
(文責:綿引 亮介)

CEO Collection 2025

ACCESS RANKING
アクセスランキング