コラム

元保護猫が広報担当 ネコ不動産が描く、空き家対策と動物愛護をつなぐ熊本の未来

2026.03.22
ネコ不動産 広報いぐさ
画像出典:株式会社ネコ不動産 プレスリリース

株式会社ネコ不動産(熊本市南区)が22日、熊本県動物愛護センターの公式ホームページに協賛広告の掲載を開始した。

同社が22日未明に発表したプレスリリースによると、この取り組みは単なる広告宣伝にとどまらず、地域の空き家対策と保護猫の受け皿拡大という、一見異なる二つの社会課題を同時に解決しようとする意欲的な試みであるという。

深刻化する空き家問題とネコ可物件の潜在的ニーズ

近年、全国的な課題として重くのしかかる空き家の増加は、熊本県においても例外ではない。一方で、ライフスタイルの変化や動物愛護精神の高まりから「猫と共に暮らしたい」と願う層は着実に増えているものの、条件に見合うペット可(特に猫可)の賃貸物件は依然として市場に不足しているのが現状だ。

ネコ不動産によると、こうした放置された空き家や入居者のつかない空室をネコ可物件として再生・活用することは、家主にとって賃貸経営の選択肢を広げる有効な手立てとなる。そして何より、それが地域における空き家対策となり、ひいては行き場を失った保護猫たちが温かい家庭に迎えられるための新たな受け皿づくりに直結するという。

今回の熊本県動物愛護センターへの協賛広告掲載は、県の動物愛護の取り組みを資金面で応援すると同時に、人と猫が共に暮らせる住環境づくりの重要性を広く社会に啓発する目的がある。同社はこれを、寄付に近い“応援の意思表示”であると位置づけており、企業活動を通じて地域と動物福祉の好循環を生み出そうとする姿勢が見て取れる。

広報担当は八代市出身の元保護猫「いぐさ」

同社のこうした理念の根底には、確かな実体験が存在する。ネコ不動産で広報担当を務めているのは、「いぐさ」と名付けられた1匹の猫だ。

同社の発表によると、いぐさは2025年1月に熊本県動物愛護センターから引き取られた元保護猫であるという。熊本県八代市で保護された経緯から、同市の名産品にちなんで名付けられた。「人懐っこいですが、人見知りです。喉をごろごろと鳴らしながら撫でられるのが得意で、ネコ不動産の広報として宣伝活動を頑張ってもらっています」と、同社のリリースには愛情にあふれた描写が綴られている。

自らがセンターから保護猫を迎え入れ、共に働くという実践そのものが、同社が掲げる事業理念に強い説得力を与えていると言えよう。

不動産業界から発信する、新しい動物福祉の形

鶴上万里生代表が率いるネコ不動産は、不動産仲介(売買・賃貸)や賃貸管理にとどまらず、ペットの終活支援といった独自の事業も展開している。

今後の展望について同社は、ネコ可物件の普及を通じて、「空き家問題」「動物愛護」「人と動物の共生」という三つのテーマを統合的に考える取り組みを継続していくとしている。

住まいという生活の基盤を扱う不動産事業の立場から、社会課題の解決にアプローチする同社の動きは、地方都市における新たなビジネスモデルの萌芽を感じさせる。「人と動物が共生できる熊本」の実現に向け、今後のさらなる展開に注目したい。
(文責:綿引亮介)

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