企業記事

株式会社アッドラスト – 学生に秘められたパワーを活用する!

2017.06.06
オビ 企業物語1 (2)

◇文:菰田将司

オビ ヒューマンドキュメント
株式会社アッドラスト 坂本悠貴氏

オフィスに電話が並び、そこに若いスタッフが取り付きコールし続けている。

一人一人のその顔は、生き生きと輝いている。

なぜ、彼らはそんな表情で電話をかけられるのだろうか?

「私たちの会社は単なるテレアポ代行会社ではありません。私たちの仕事は『HEROを創出すること』です」

そう話すアッドラスト人事責任者の坂本悠貴さんにその秘密を伺った。 

モチベーションを生み出す「目標」と「憧れ」

アッドラストは、顧客に依頼され、顧客に代わってテレアポをする代行会社だ。

しかし、その事を確認すると営業も兼任している坂本さんは即座にそれを否定した。

「私たちの行っていることは、『テレアポ』ではありません。テレアポは、単なるアポ取りですが、私たちがやっていることは『テレマ』。テレフォンマーケティングです」

アッドラストで働くスタッフは、社員以外全て大学生のアルバイトスタッフだ。

日本の大学生の70%以上がアルバイトの経験があり、しかもそのほとんどがコンビニ店員などのサービス業に従事しているが(日本学生支援機構「平成28年度学生生活調査」より)、その雇用者がだれも頭を悩ませているのは「遅刻・欠勤が多い」「すぐに辞める」といった、学生のモチベーションに関わる問題だ。

しかし坂本さんは、そんな問題はこの会社には無い、と話す。

実際に働いている大学生スタッフからも、お金のために・嫌々ながら、という様子は窺えない。

「スタッフはほとんど卒業するまで働いてくれます。就職の内定が出てからも働き続けてくれる。どうしてモチベーションの維持ができるのか。それは彼らに目標意識を与え、働きながら自分の成長が実感できるようにしているからです」

学生スタッフは、数人ごとのチームに分けられ、自分たちで作成したリストに電話する。

しかしそこでは、アポイントを取得するだけではなく、寧ろ率先して提案することを求められている。

先方の電話受付から決定権者に代わってもらい、顧客の用意している商品やサービスを紹介する。

それは「営業」の仕事そのものだ。

しかも学生スタッフは顧客と直接、チャットワークを使ってリアルタイムで連絡を取り合い、先方と話した実感を伝える。

そこに、アッドラストの社員を交えることはほとんどない。

「電話で提案までするために、学生は、顧客としっかりとコミュニケーションを取って、商品説明や紹介の仕方を学んでいます。顧客としては、そうすることで自社の社員を養うより遥かに低コストで営業スタッフを増強することができる。実際にそれで業績が上がっているので、好評です。私も『御社専用の学生チームを作りますよ』と顧客に話しています(笑い)」

また、そうやって成果を挙げた学生スタッフたちへの称賛もモチベーションアップの大事なポイントだ。 

「3カ月に一度、表彰式をしています。それも盛大に。多くの学生が称賛されるよう、30項目ほどに細かく設けています。最優秀受付突破率賞や最多アポイント賞、最多資料送付賞など。一番名誉なのは最優秀コンバージョン率賞といって、アポイント率が最も高いチームに送られます。率を評価することで、ただひたすら電話をかけることが良い、とは考えなくなる。どうやったら相手が自分の話を聞いてくれるのか、を考えるようになる」

目標は、チョット手を伸ばせば届きそうなところに置く。
それによって学生自身がやろう・頑張ろうと発奮してくれる。

自分たちのチームがどうしたら成果を出せるようになるのか考え結束を強める。

また、自分が仕事をしている隣りで、優秀賞をもらった人が仕事をしている。

それを見て自分の仕事を見直すこともできる。

そういう「目標」と「憧れ」を身近に置くことで、仕事へのモチベーションを上げている。

「だから学生たちはとても意欲的で、また仲がいい。バイトも募集をかけないでも、友人の誘いで、ドンドン入って来ます」と、坂本さんは微笑んだ。 

同社で働く大学生のアルバイトスタッフたち

「だったらあなたがやってよ」

こんなに学生が熱心になれる仕組みを作り出したアッドラストとはどうして生まれたのだろうか。

それを伺うと、坂本さんは創設者である代表の奇妙な経歴について話してくれた。 

「当社代表は元々銀行員でした。しかしある時、何を思ったか3年後にベンチャー企業へ転職したんです(笑い)。就業規則、教育環境が既に整っている環境と、新たに開拓をせず、既存のクライアントまで用意された環境だけで実力を試すことに意味を感じなかったようです」

誰がどう見ても、実力を認めてもらえるような環境で「1位になる」経験を積みたいと思い、当時銀行でトップ成績を収めた翌年に、ベンチャー企業に飛び込んだという。

そのベンチャー企業が、新卒採用のコンサルティング業をメイン事業とし、その後テレアポ代行事業を始める事になった。

しかし仕事を始めると、代表は、このテレアポ代行会社という仕組みに不満を感じるようになった。

「まず、アポ1件獲得につき料金が発生する、という報酬契約なので、取り敢えず会うだけ、という質の低いアポが多く、商談に繋がらない。またスタッフも主婦だったりフリーターだったりと方向性がバラバラ。顧客はそのことを知りながら、自社社員にさせることもできないので仕方なく雇っている。

そんな『代行をする事』に価値を見出すことが出来ず、やはり社内教育をして、『クライアント自身の力を伸ばす』事を支援出来る会社を作ろう、と思って立ち上げたのが今の会社です。社名は『addict=やみつきにする』と『trust=信頼する』を合わせた造語。だから、最初は学生と一緒にテレマをするなんて考えていなかった」

こうして新会社アッドラストを立ち上げたが、相談内容は前職のやっていた「テレアポ」に関することばかり。

「それが嫌で新会社を作ったのだから、最初は拒否していた。相手に『テレアポを代行会社にやらせるくらいなら、学生を雇ってやらせるほうがいいですよ』と言っていたら、ある人から『だったらあなたがやってよ』と。それで、ああ、そうだな、と(笑い)」

こうしてスタートしたアッドラストだったが、この特徴的な方針と高い実績のクチコミが広がり、次々に依頼が舞い込んでくるようになった。

現在では大手上場企業を中心に、単に「低コスト」の部分だけに惹かれるのではなく、アッドラスト「メンバーのパフォーマンス」に期待しての問い合わせが日に日に増えてきているという。 

学生がHEROになる

「学生たちのやる気・熱意に火を点けることだけを考えています。彼らの胸の内には、本当は将来こんなことをやってやりたいんだ!という思いが隠れている。けれど、それをどうしたらいいか分からないまま学校とバイト先の往復だけして学生時代を終え、望まない就職をする。だから、仕事への意欲もないし、すぐ辞める」

そんな学生が、アッドラストで仕事を任されると、眠っていた思いを爆発させ、仕事に取り組んでいく。

学生からは「楽しい、これまで経験したことがない」という感想が返ってくるそうだ。ここで働いた学生は、次々に大手企業に就職しているという。

「ここで得た経験が、自信になって現れているんでしょうね。いつも電話先の会社管理職と話をしているので、面接で人事担当と相対しても全く物怖じしないそうです。弊社の目標である、『学生のHERO創出』というのが、そこでも形になっている」

今後について尋ねた。

「これからは学生に参加してもらう部門を増やしていきたいです。今は、学生向けのメディアJobby(http://jobhobby.jp/)の運営を学生に任せています。大学生が、大学生の目線でコンテンツを考え、情報を発信する。他にも、弊社の財務状況を全て学生にも見えるようにしていますから、学生が経営に参画してくる、という部分も弊社の面白いところだと思います」

全て、学生が自主的に。学生自身が考え、拡大していく。
それができる環境を用意する。

「時には学生の恋愛相談の相手になることもありますよ」といって笑う坂本さんの姿に、会社全体の持つフレッシュさが垣間見えた。 

オビ ヒューマンドキュメント

●プロフィール
坂本悠貴氏…1992年生まれ。北海道出身。中央大学在学中は長期インターンシップを最大3つ掛け持ちするなど他業種の会社に携わる。大学卒業後は在学中からインターンシップをしていた株式会社アッドラストに入社し、1年目から、メディア事業部部長と営業本部プロジェクトマネージャー・人事責任者を兼任。 

●株式会社アッドラスト Addrust Co., Ltd.(2010年10月13日設立)
〒153-0033 東京都渋谷区猿楽町2-3 CORPO AMAGI 3F
代表者:代表取締役社長 飯島三厳
〈事業内容〉
・アウトバウンド型マーケティング支援事業
・採用支援コンサルティング事業 (1)新卒採用支援事業 (2)中途採用支援事業
・大学生情報発信型オウンドメディア事業 デキる学生のためのニュースメディアJobby(http://jobhobby.jp/)の運営

「営業価値」と「雇用価値」の底上げこそ、弊社が掲げるビジョンです。上場企業様から、ベンチャー企業様まで、多くの企業様の「営業」「マーケティング」「マネジメント」「プロモーション」「人材採用」など、会社に関わる全ての事に携わっています。

◆2017年4月号の記事より◆

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