
株式会社ニット代表取締役 秋沢崇夫氏
そもそも前職で数十人の部下と共にプロジェクトを行っていた秋沢代表だったが、その時も仕事の割り振りや雇用の仕方に疑問を感じることが多かったという。
「仕事を頼もうとしても、適任の人や時間が空いている人がいなくて、しょうがないから自分でやるか、となることが何度もあって。大抵は雑務なんですが、そういう仕事を頼める人が『毎日いる必要はないけど、欲しい時にいてくれればいいのに』なんていう経験が自分にもあった。だからそれを頼める人がネットの向こうにいるんじゃないか、と考えたんです」
こうしたきっかけからスタートしたHELP YOU だったが、秋沢代表が注意しているのは企業から求められるクオリティを維持することだ。「どうしても依頼する側が気になるのは仕事のレベルだと思います。現在は面談や能力テストなどを行い、徹底的にアシスタントを選別しています。
100人の応募から採用されるのは5名程度ですね。特に仕事をしていく上で大事なのはコミュニケーション力ですので、そういうのに長けた人材を選んでいます」
そのような厳正な採用をしていく上で気付かされたのは、優秀な人材が様々な状況下でその能力を活かせずに燻っているという現実だった。
「現在アシスタントとして採用・登録している方は300名ほどです。その内90%は女性が占めていて、また全体の70%は主婦の方です。そしてほとんどが地方在住。これは言い換えれば、そういう人たちほど仕事をしたがっている、ということです。例えば宇治川紗由里さんという方は元々大手人材採用企業に勤めていたキャリアウーマンですが、現在はご主人の仕事の都合でスウェーデンに住まれています。
ご主人が転勤族なので、ご自身は仕事を諦めざるを得なかった。しかしやっぱりもっと仕事をしたい、という希望からHELP YOU に登録していただいたんです」
他にも田舎で暮らしたいけど仕事がない、とか、子育て中だからフルタイムで働くことができない、という方から好評を得ているという。
今後は団塊世代の引退に伴い、介護退職する人たちも増えているだろう、そういう人にもHELP YOU を使えば能力を活かせる場を提供できる、と秋沢代表は語る。
「個人が抱える事情に合わせて仕事の仕方を変えられる、そんな環境を作ることができれば、それは社会への還元になると思います。これから益々進んでいく少子高齢化の中で、働き方の細分化も進んでいく。その手助けになる、そう思っています」
「それだけニーズがあるんだと思います。ただ、HELPYOU が主にクライアントとして注目しているのは中小企業。中小企業では、派遣社員を雇うほどでもないと思われて正社員がサービスでやらなければならない仕事が沢山ある。それはムダです。
また製造業などは職人さんがそういう雑務もやっていることがありますが、そんなことより職人さんにしかできない仕事に集中してもらいたい」
そうすれば中小企業はもっと伸びることができる。「経理の計算など、様々な仕事を頼めるあなたの部下がPCの先にいると思ってもらいたい」と秋沢代表は話す。
「現在、170社ほどから仕事の依頼を受けています。今後はクライアントもアシスタントも増やしていき、2020年までに1万人の雇用を目指しています。そうすれば社会に対して大きなインパクトになる。
仕事の仕方の1つとして、社会に認知していただけると思います」
「人生の時間の三分の一は仕事をしている。だから、それを充実させなければならない」と話す秋沢代表。地方に、そして家庭に眠っている人材を掘り起こすことができれば、日本経済を再び活性化させる大きな起爆剤となるのではないだろうか。
秋沢崇夫(あきさわ・たかお)氏
1981年東京生まれ。青山学院大学在学中からIT企業で働き、退職。
退職後一年間のアメリカ放浪の旅の最中、ネットを使ってオンラインで仕事をした経験から、
仕事はどこにいてもできると確信。
「働き方に制限を設けず、選択できる未来を作りたい」という経営理念のもと
2015年にHELP YOUを立ち上げる。
株式会社ニット
〒141-0001 東京都品川区北品川5-5-15大崎ブライトコア4階「SHIP」
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