昨今、異業種交流会が花盛りだ。一方で参加者の多くが名刺入れをパンパンに膨らませるだけで、そこからビジネスに繋げられないという現実がある。もらった名刺をただの紙切れで終わらせないためには、どうすればいいのだろうか。
そこで日本最大級の異業種交流会「フレンドリンク」を運営する、株式会社アクセルメディア代表取締役・諏訪功氏に話を伺った。これを読めば、異業種交流会への挑み方が180度変わること間違いない。
2月某日。都内御茶ノ水の貸会議室にて、異業種交流会が開かれていた。会場は参加者達の熱気で、人いきれに包まれていた。皆一様に名刺を交換し合い、会話を交わしている。会場の至る所で話が弾み、笑い声が零れていた。ここにいる誰もが、ビジネスチャンスを探していた。人脈を築こうとしていた……。
今日このような風景は一般的だ。日々至る所で数えきれない程、交流会は開かれている。こうした出会いの場がこれほどの隆盛を見るようになった背景には何があるのか。人脈づくりの極意の話に移る前に、諏訪社長がフレンドリンクを設立した経緯と絡めてこの点に触れておこう。
一因としてFacebookやTwitterなどのSNSサービスの普及が挙げられる。これらネット上で人と人とを繋げるサービスが、ネットに留まらず、実生活上の繋がり方まで変えていった速度には驚くべきものがある。十数年前、この展開を予想できていた人間は殆どいない。数少ない例外が諏訪社長だ。
「当時のビジネスシーンには、リアルな関係よりもネット上のヴァーチャルな結びつきで何ができるかを重要視している風潮がありました。しかし私は、ネットで構築された繋がりの可能性が試し尽くされたその先に、再度リアルな人と人との結びつきを求める、ネットとリアルを絡めた新しいステージがやってくる、そう考えていました」
そこで諏訪社長は異業種交流会に目を付けた。その頃の交流会は商工会議所や一部の経営層が行っているものが主流だった。多くが会食パーティーなどの形式をとり、高いお金を払いながら、それでも話を交わせるのは数人程度。限られた時間でより多くの人脈を築くには、あまり効率的とは言えなかった。
「あの頃の交流会は“合コン”みたいなもの」と諏訪社長は言う。
「合コンは女の子に会った瞬間に、当たりか外れかわかりますよね。それで外れとわかっても、社交上その場はお愛想を言い付き合わなければならない。交流会も同じでした」
人脈作りのため参加するのだから、多人数と話せる方が良い。そこで閃いたのが、かつてテレビでやっていた〝ねるとんパーティー〟の形式だった。多人数のお見合いさながら、人を総当たりさせていくシステムである。これを交流会に当てはめれば面白くなると直感したのだ。
その確信をもとに2001年2月、第1回の交流会を開いた。多くの人が集まると思った。意気揚々と会場のエントランスで待ち続けた。しかし待てど暮らせど誰も来ない。会場は閑散を極めた。結局、その日の参加者は1名。諏訪社長の顔は歪み通しだった。
その失敗を教訓として、大々的にメルマガやネットを利用して広告を行った。その甲斐もあり、やがて回を重ねるごとに人が列をなすようになった。しかしフレンドリンクがここまでの規模になった最大の理由は、他の点にある。その答えを紐解く為にも、そろそろ人脈形成の極意の話に移ろう。
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諏訪社長と会った後、筆者は勢いそのまま交流会に足を運んだ。そこで目にしたのが、冒頭の交流会でのシーンだ。参加者達の真剣さは、本当に新しいビジネスチャンスを生もうとする熱気を孕んでいた。そういった参加者達の高揚を見て、諏訪社長は破顔していた。今宵も数多くの人脈が築かれていることに満足げだった……。
諏訪功(すわ・いさお)氏…昭和48年7月24日、東京都生まれ。明治大学卒業。大学卒業後、UCC上島珈琲株式会社に入社。平成13年に株式会社アクセルメディアを設立。JEENs(日本企業家協議会)理事。現在に至る。著書に『仕事もお金も情報もみんな「人」からやってくる!-普通のサラリーマンが、経営者・出資者・ビジネスパートナーと知り合う方法』(こう書房)がある。
株式会社アクセルメディア
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