◆聞き手:藤村雄志(100年経営研究機構)/文:近藤智子 /撮影:唐牛航

ビジョンを明確にし、跡継ぎを支えてくれるチームづくりで100年企業に

先ごろ、著書『大事業承継時代の羅針盤』(小林将也氏との共著)を上梓し、事業承継専門税理士として活躍中のワイズ・パートナーズ税理士法人 代表社員の小西孝幸氏。明治28(1895)年の創業以来、長寿企業、ファミリービジネス企業として確固たる地位を築いている、人形町今半の取締役副社長・髙岡哲郎氏。事業承継に深く携わる二人の対談がこのほど実現し、100年経営を目指す企業のあり方について熱い議論が交わされました。

 

(写真左)髙岡哲郎(たかおか・てつろう)氏 ……1961年東京生まれ。株式会社人形町今半取締役副社長。玉川大学文学部児童専修卒業後、1985年株式会社人形町今半入社、観光旅館日光東観荘、米国コーネル大学PDPプログラムへの留学、人形町今半飲食店新店店長、本店店長、副社長兼飲食部総支配人、副社長兼経営企画室室長・本部長をへて現職。

(写真右)小西孝幸(こにし・たかゆき)氏……1978年福岡県北九州市生まれ。学習院大学法学部法学科卒業後、都内会計事務所へ入社。オーナー系企業を中心に合併・分割などの組織再編業務に数多く携わったのち、2013年ワイズ・パートナーズ税理士法人代表社員に就任。2015年からは一般社団法人100年経営研究機構の監事も務める。

 

長男は「若旦那」、次男は「てっちゃん」として育てられた 

小西孝幸(以下、小西氏)今後10年以内に約半数の企業が事業承継を迎えると言われており、このままですと「大事業承継時代」が「大廃業時代」になる危険性があります。私自身は、顧問契約はせず「事業承継の専門税理士」として活動をしておりますが、日々の業務の中で中小企業の事業承継の準備不足を痛感しています。

経営者の皆さまに事業承継の準備を進めていただくような情報発信や啓蒙活動を行う必要性を感じていましたので、今回の対談はとても楽しみにしていました。

特に、長く続いている老舗企業は次世代へ上手くバトンタッチするためのノウハウをお持ちだと感じていますが、これから初めて事業承継をむかえる企業へのヒントになるようなことはありますか?

 

髙岡哲郎(以下、髙岡氏) 戦略的な事業承継が重要だとはとても納得できるお話です。ただ、ヒントと言われるとそういったものはないのです。実は、私としても100年経営研究機構の企画や講座にかかわらせていただいて、初めて事業を承継することの在り方を深く戦略的に考えるようになったというのが本当のところなのです。企業を存続させるための智慧という文脈で考えてみるに思い当たることと言えば、先代、先々代については、事業を承継する人間を定めて使命感や意識を持たせることに注力していました。そしていま、私自身も戦略的な情報収集や相談のためのネットワークづくりを心がけています。

 

小西氏 「老舗」では「事業承継・虎の巻」をお持ちなのだと思っていました。いま「親族内承継」の割合はどんどん下がっており、羅針盤が必要な状況にあります。

 

髙岡氏 事業承継ではまず「跡継ぎ」が必要ですよね。ただ、自分が跡継ぎにふさわしいのかどうか、子どもとしては案外悩むものなのです。私も兄(長男・髙岡慎一郎社長)と父の展開した事業を発展させていくべきなのか、自分たちの代では新しい事業をするべきなのか、確認し合ってきました。それ以前に、わたしが跡継ぎに選ばれる人間なのかどうかも心配していたものです

 

ただ、兄は幼少時から周囲の人に「若旦那」と呼ばれて、自覚を持つように育てられていました。わたしは次男ですから、番頭さんからも職人さんからも「てっちゃん」と呼ばれておりまして。そのため、兄はストレスを抱えていたと思います。一方で私はストレスフリーで育ちました(笑)。そんな兄は成長するために、横川竟(きわむ)さん(すかいらーくを創業した「横川4兄弟」)が立ち上げた「ジョナサン」に二期生で就職を決めました。しかし、第一回アメリカ研修で横川さんと一緒だった父が「御社に入社したら楽しくなって、人形町今半に帰ってこなくなるだろうから、内定を取り消してくれ」と頼んで、勝手にやめさせたのです。この時、父が我々のことを次代の「人材として」信じてくれていたことがわかりました。

 

父はわたしに対しても会社に対する愛を持つよう育てていたので、必ず貢献してくれると自信を持っていたようです。もっともそれはしくみや戦略ではなく、「刷り込み」といった類のものです。たとえば先祖のお墓参りの時に父は必ず口に出して「若旦那の慎一郎と次男の哲郎を連れてまいりました。これからも今半の発展を常に見守りください。ここに家族三人そろって参りましたので、引き続きよろしくお願い申し上げます」と、心の言葉をあえて口に出して、隣にいるわたしたちにも聴こえるようにする。子どもとしては、これをされると、否応なく連綿と紡いできた歴史が自分にも繋がっていることを感じますし、心に触れるものがあるんですよね。ですので、わたしもこの手を使っています(笑)

 

「ビーガンになりたい!」 すき焼きの老舗の跡継ぎが突然目覚めたワケとは

髙岡氏 ただ、その同じ手を使って育てたはずの息子が、先日、突如として「ビーガン(絶対菜食主義者)になる!」と言い出しました。びっくりしながら「おまえの身体と血は、精魂込めて作り続けていただいた肉、番頭さんや役員たちの情熱、従業員さんの汗と涙でできあがっているんだぞ」と言い聞かせると「わかっている。だからこそ、ビーガンをいまのうちに一度経験して、その理論が地球のためになるのかを知っておきたい」と答えました。それでわたしのほうでも納得して好きにさせました。話し合いをしている時の目は真剣だったので、感じ入るものがありましたね。

 

小西氏 信頼と家業に対する愛があるということですね。

 

髙岡氏 「いざ鎌倉」でもありませんが、彼がどんな仕事に就いたとしても、人形町今半に何かあった時には必ず戻って来てくれるだろうと思います。兄には子どもが3人、わたしには1人います。将来的にはその内の1人が継いで、3人が色々な側面から支えることになるでしょう。会社愛の形成に関してはうまく行っていると思います。

 

父と部下の話を聞いて経営を知った子ども時代

小西氏 事業承継が必要な企業で、「子どもが継いでくれるかどうかわからない」と悩んでいる経営者もいます。親が「継ぐのがあたりまえ」と強要すると、子どものほうはプレッシャーを感じて逃げてしまう傾向があるようです。ある時神社の息子さんがキリスト教系の大学に進学されてロックバンドを組まれていることを耳にしたので、「大丈夫なんですか?」と伺ったら「俺もそうだったよ」と笑って仰られて。このように、お子さんを信じる余裕が必要なのでしょうね。

 

髙岡氏 たしかにそうですね。祖父や父は苦しい時であっても楽しそうにふるまっている様子を見せていました。「大変だ」と口にしても、乗り越える熱量を持って格好よく見せる工夫をしていたようです。「こんなの続けてられない」などの否定的な言葉は聞いたことがありません。「家業を継ぐのが嫌だ」という話は周りでよく聞きましたが、祖父や父の様子を見て「こんなに素敵な商売をしているのに、継ぐのがいやだとは不思議だな」と自分は思っていました。

 

小西氏 お祖父様、お父様の行動一つ一つがまさに事業承継の準備だと感じます。お子さまに事業を継いでもらえるかわからないと悩む経営者の多くは、いざという時まできちんと話合いをしたことがないという方ばかりです。人形町今半さんの場合は、話し合いはせずとも、小さいころから会社の話を聞かせたり、自分がイキイキと働く姿を見せたりすることで、無意識のうちに会社に対する愛情を養ってきた。その積み重ねが結果としてスムーズな事業承継につながっているということですね。

人形町今半さんにはお子さまが全部で4名とのことですが、1人しかいない場合にも「おまえには事業を継がせないかもしれない」雰囲気を出したほうがよいのでしょうか。

 

髙岡氏 それはうちの父がよくやっていましたね。仕事のあとに幹部を店から自宅に連れてきて飲ませて、夢を語り合い、誰が社長になるかといった話をしていました。優秀な幹部がいれば、その方が社長になればいいと本気で思っていたようです。兄とわたしはその様子を見て「幹部のお兄さんたちは、あんなにかわいがってもらえていいな」と感じていました。父は仕事ばかりで、たまの休みに下手なキャッチボールをしてくれる程度でしたから。朝は早くから河岸に行ってしまいますし。

 

だから、玄関に布団を敷いて、夜遅くまで帰りを待ったこともありました。でも、玄関に長靴が置いてあるのを見て、「明日も朝一番で河岸にいっちゃうんだろうな」と残念に思っていたら、若い子たち(今の役員たち)を連れてきて、飲んで夢を語り「企業とは」「経営とは」と語り合っていました。「経営とは整理整頓だ!」と言っているのを聞いて「整理整頓ができなくて、いつも叱られているな」と子ども心に感じました。今にして思うと第三極で経営を教えられている気分でしたね。

 

若い跡継ぎに番頭たちが仕掛けた論戦も糧に

髙岡氏 父は事業を発展させることに貪欲で、効果が最大限になる方法を模索していました。その姿はとても格好よかったですね。家に帰るとどんなに疲れていても「今日もおもしろかった!」というオーラを出していました。「こんな売り場で、こんな方法で、こんなに評判が良かったたんだよ」と話してくれました。それを聞いて「商売っておもしろそうだな」とわくわくしたものです。

 

小西氏 「早く社会に出たい」という学生たちの多くは、自分の親が楽しく働いている姿を目にして刺激を受けているようです。人が社会に出て働くことの意味や志を知ることはとても重要ですね。先代を見ていて、自分が継いだあとの具体的なイメージを抱いたことはありますか?

 

髙岡氏 前の役員たちはわたしが社会人になると、「てっちゃんのビジョンを語ってよ」とことあるごとに論戦をしてくるようになりました。わたしが「専門店だから他の店にはない価値を作りたい。店の数をどんどん増やすよりも最高のものにしたい」と自分の意見を言っても、よく論破されました。

 

小西氏 論戦が繰り広げられていたことを、お父様はご存じだったのですか?

 

髙岡氏 知っていたかもしれませんが、あまり父とはその話はしなかったですね。24歳の時に初めて旅館を任された時も、余計な口出しはされませんでした。ただ「目上の人を使うのは大変だから気をつけろ」「社員さんたちを困らせないようにしろ」とは言っていました。わたしも色々な改革を行う過程で、年上の部下から父にクレームがあったかもしれませんが、そのことをはっきりと批判されることはありませんでした。

 

数値よりもビジョンに方向転換

小西氏 人形町今半さんは、後継者育成をチームでやっている印象を受けましたが、社員教育はどのようにされているのですか。

 

髙岡氏 最近は意図的にビジョンを語り合う機会を増やしています。事業所ごとにPDCAを回すためのチームがあり、チームで問題解決をするための会議を経営企画室がアレンジします。今年は全チームの会議の1日目にビジョンの話を徹底してやりました。一人ひとりがビジョンを語り合い、会社のビジョンを勉強しなおしてアクションプランを作ります。これまでは目の前の問題解決だけを考えていましたが、今年は会社のビジョンと個人のビジョンを最重要と位置づけています。

 

小西氏 なぜ今年はそうされようと思ったのですか?

 

髙岡氏 毎年少しずつ変革は進めていますが、数字だけをいたずらに追い求めるKPI(Key Performance Indicator 、主要業績評価指標)やKGI(Key Goal Indicator、経営目標達成指標)にこだわるのが偏っているのではと感じたからです。ビジョンを実現することには価値があるし、やりがいや働きがいなどパワーになると肌身で感じているからです。ゴール=数字は二の次にして、ビジョンを徹底することに集中したんです。

 

小西氏 数字からビジョンに変えたことで、社員の変化を感じることはありますか?

 

髙岡氏 直近の成果発表会でチームごとの問題解決力や実行力レベルが上がっていることが見えてきて、社長をはじめ、役員や部門長たちが「すごいね」と言っていましたので、きっと雰囲気が良くなって2、3年後に成果が出来てくると期待しています。

 

小西氏 老舗企業は、会社全体に「次世代へつなげていこう」という思いがある印象です。会社全体が後継者を求めて育成し、後継者だけでなく次世代のスタッフも同様に育てていく。そのような意識があるのではないでしょうか。多くの中小企業は後継者を探すのに必死で、次世代の幹部候補生も一緒に教育しているかと言えば、できていない企業がほとんどです。

 

髙岡氏 会社全体が後継者を探し求めていると考えると、全然違う視座が出てきますね。

 

小西氏 自分があたためた社長の椅子をそのまま息子に譲る意識でいても、社長専用の椅子は、社長とは年齢、経験などすべてが違う後継者にとって座り心地のよい椅子ではありません。事業承継の成功のためには、後継者が座りやすい椅子を作ってあげることが大切で、それこそが会社の発展につながっていくと思います。ただ、社長は自分の温めた椅子に座らせるだけでいいという感覚を持ちがちで、これが承継を難しくする要因になっています。

 

髙岡氏 なるほどですね。ただ、弊社には「椅子」という社長然としたものはなかったです。立ち位置と担当が決まっているイメージですね。わたしとしてもその方がよかった。椅子に座ると全体を見づらいので立って見ていて気付いたことがあればアラートを鳴らします。椅子はあまり座り心地がよさそうではないですし、「甘えの構造」につながりそうですね。

 

チームで承継することの大切さを知る

小西孝幸先生の著書『大事業承継時代の羅針盤』(同友館)本書は専門家に任せておけばいい専門的なところはなるべく省き、経営者が事業承継を考えていくにあたって、経営者自身に知ってほしい事業承継の基礎の部分を中心に解説した内容になっている

 

小西氏 後継者がスムーズに事業承継をするためには、幹部後継者も一緒に育てていかなければならないと思います。そのようなチーム作りに関して、アドバイスはありますか?

 

髙岡氏 「チーム」の言葉は5年くらい前から使っています。意識はしていませんでしたが、事業承継の下地作りに役立っているかもしれません。今年はビジョンにフォーカスすることにしたのは、「巻き込み力」がある人が引っ張るべきだとも考えていたからです。質のいいビジョンからは新しく価値あるアクションが生まれやすいので、チームで語り合うようにしています。4人の子どもたちがなにかしら会社に対して価値ある役割を担ってくれたらうれしいですし、チームにとって大切な人材になってほしいですね。

 

小西氏 お子さまたちに事業を承継したら支えてくれる存在だという視点から、幹部の方を見たりしますか。

 

髙岡氏 そういう意識はありません。子どもたちは会社にアルバイトで参加していますが、息子からは「もう少し自由があるといいね」と言われます。「現場では決まりごとが多すぎる」「枝葉末節まで決められていてやりづらい」「トレーニングもハードで精度を要求されすぎる」と聞きます。反対に、息子がいるチームの社員から話を聞くと「息子は頭でっかちなので、理不尽さも勉強したほうがいい」と言われます。息子がやがて入社していいポジションに就くのがわかっているので、彼らもよりよくなるためにどうすればいいかを考えてくれていると感じました。感謝しています。

 

小西氏 息子さんは後継者のひとりですから、言及することで立場が悪くなってしまう可能性があるのに、苦言を呈してくださる、伝えてくれる人がいる企業風土があることは素晴らしいですね。細かい決まりごとがあるのは伝統を守るためですか?

 

髙岡氏 一概には言えませんが、クオリティを上げようとするあまりに増えてしまったものだと思います。顧客に対する満足度のブレ幅を小さくするために積み上げていくうちに、「伝統」という言葉にすり変わって、決まりごとが増えたのです。現場を見て、うっかり「こんなことまでやってるの!?」と言ってしまうことさえあります。

 

時には担当者を変えることも必要だと思います。トップも承継しつつ業務担当を変えていったほうが成長につながるでしょう。

 

小西氏 ご自身では感じていらっしゃらなくても、さまざまな面から次世代へつなげるための戦略的なしくみやしかけが見られますね。

 

髙岡氏 事業承継のためではなく、3年後のためにと考えています。変化の連続である100年のことを考えても意味がないと思っているからです。ただ、10年後にはこんな会社になっていたらいいなという強い思いはあります。

 

小西氏 数字の設定より生きがい、社員の働き方改革に重点を置くのは時代の流れに沿っていますし、すごいと思います。

 

髙岡氏 結局、私たちが頼るべきものは「人」です。人形町今半には強烈なビジネスモデルや特異性はありませんが、信頼をうまく醸成させながら目の前のお客様に満足していただけるという確かな強みがあります。その強みをさらなる武器にするために、コツコツやっていくのが大切なのだと思います。

 

事業承継の専門家とよい関係を築くためには

小西氏 事業承継を進めていくうえで、税理士や弁護士といった専門家とのかかわりも重要になってきますが、人形町今半さんの専門家とのかかわりについてはいかがしょうか。

 

髙岡氏 専門家の方からご提案いただいたのをきっかけに、検討、実行プランが始まりました。最初は金融機関の方々、次に会計事務所の方々です。

 

小西氏 事業承継は、必要な知識が多岐にわたりますし、法律がどんどん改正されていくなかで、その役割や持っている専門知識も専門家ごとに様々です。。相談する専門家はどのようにして決めるべきだと思われますか?

 

髙岡氏 相談しに行く前に、事業承継の期待と成果をはっきりさせておく必要があります。それによって、どなたに相談していくべきかがはっきりします。

 

小西氏 まさにそのとおりですね。税理士の場合ですと、経営者に「こうしたい」というビジョンがあれば、そのビジョンに基づいて、後継者が安心して経営を引き継げる体制を作るためのいちばん税負担が少ない方法をご提案することはできます。ただ「事業承継をどうしたらよいでしょうか」と漠然とした質問を投げられてしまうと困惑します。「事業承継」という一つのカテゴリの中にも、税金、法律などいろいろな専門分野があるので、ある程度はゴールを明示していただきたいですね。

 

髙岡氏 なにをしたいのかをクライアント自身が掘り下げていかねばならないということですね。

 

小西氏 はい、特に二代目から三代目への事業承継時には、株が分散してしまっており、事業承継が難しくなるケースが多いです。しかしこれは、半分は専門家の責任と言えます。このような形になってしまったのは、専門家が提案したからなのです。つまり専門家も場当たり的に目の前の事業承継をこなすのではなく、長期的視点で経営リスクを減らす最善の事業承継を提案する必要があります。長期的に考えたときに、今、支払う税金が増えたとしてもそれをしっかりと勧められるかどうかが専門家の力量だと感じます。また、長期的な提案をするためには、経営者のビジョンをしっかりとヒアリングする必要があります。

専門家に相談された際に、ギャップを感じたことはありますか?

 

髙岡氏 ありますね。まさにいま先生がおっしゃったことと同じです。専門家の皆さまには、3年後、10年後の会社のあり方をヒアリングすることに徹底して時間を割いていただきたいと思います。そうすれば経営者にも株主にも気づきがあると思います。経営者は株主に利回りと、社員にはやりがいを生み出し続けるための布石を打ち続けねばなりません。多くの中小企業においては株主と経営者が同じですので混乱しがちです。これをしっかり分けて考えることが大切なのでしょうね。

 

小西氏 経営者自身がやらねばならない事業承継と、専門家に任せねばならない事業承継の領域があります。それをつなぐものが「将来のビジョン」ですので、専門家はまず徹底的にヒアリングするところから始めなければならないと思います。事業承継を数多く経験している専門家は、多くの経験から様々な選択肢を持っています。しっかりとビジョンを共有することができれば、その会社に合った具体的な選択肢を提示できると私自身日々の業務の中で実感しています。是非専門家を賢く活用していただきたいですね。今日のお話を伺って、私も更に身が引き締まりました。

 

髙岡氏 弊社ではありませんが、「思っていたこととはちょっと違うけど、専門家に言われたからそうしようか」とやってみて、うまくいかなかった例を聞いたこともあります。先生のように視野の広い専門家が増えることを期待しています。

 

小西氏 100年経営研究機構でさまざまな老舗企業の方にお話を伺い、私自身も現在形で学んでいる最中だともいえます。すき焼き業界の横の連携もあるそうですので、老舗や文化を支えるためにもチームを組んでお手伝いしていければと考えています。

 

髙岡氏 事業承継とともに、すき焼きの力も知っていただければうれしいですね(笑)