スマートロック業界に新風を起こす

3月14日、日比谷ミッドタウンのBASEにて、ビットキーのイベントが開催された。

「先人の知恵とブレイクスルーを兼ね備えた究極のカギ。これは暮らしの『安心』と『便利さ』を変えるプロダクトになります」。

 

株式会社ビットキー代表取締役CEOの江尻祐樹氏は今回発表した新製品「スマートロックライト」についてそう話してくれた。

昨年2018年に設立された株式会社ビットキーが世に問うのは「スマートロック」というシステムだ。スマートロックは、近年進むIoT化の中で注目されているスマートフォンや電子キー等を介してカギの開閉を行うシステム。特に2015年はスマートロック元年と言われ、AkerunやQrioといった幾つかの企業がスマートロックを商品化・販売を開始しており、現在は世界的にも普及が始まっている。

 

そもそもカギは数千年の間、人の命や財産を守る役割を果たしてきた。と同時に「人はあの手この手でそのカギをこじ開け、利益を得ようと画策してきた歴史がある」(江尻CEO)。その中でカギはシリンダー錠からカードキー、そして指紋や声紋、静脈や顔認証へと進化し、複製の防止、セキュリティが強化されてきた。

しかしそれによって不便さが大きくなってきたのも事実だ。個人の認証が必要なカギではもちろん他人が使うことはできないし、合いカギも作れない。カギを貸し借りしたり、人に開けておいてもらうといった融通が利かないのだ。

 

そこで江尻CEOはカギを概念からもう一度捉え直す。

「カギには3つの役割があります。『安全やセキュリティ』『個人IDの証明』そして『特定の扉を開ける権利の付与』です。この3つの役割とbitkey Technologyを兼ね合わせて安全のレベル向上を図りつつ、同時にそれに反する便利さも共存させることができる。それが弊社の生み出したビットロックライトです」

 

キーをシェアすることで広がる可能性

ビットロックライトは工事不要で簡単に取り付けられる。購入した製品をドアのサムターンに被せるようにして粘着シールで貼り付け、固定するだけで完了だ。

そして自分のスマホにアプリをインストールすると、もう利用をスタートすることができる。

 

「今まで他社の製品では鍵の交換工事などが必要な場合もありましたが、ビットロックライトでは不要です。またこれまでのスマートロックは2万円から5万円という製品の価格がネックになり普及が進んでいませんでしたが、弊社では初期費用を無くし、月額300円から利用できるようにしました。これによりオフィスなど法人向けに偏ってしまっているスマートロックを、個人向け住宅へも普及させていきたいと考えています」

現在、主に法人向けの市場で争っているスマートロック各社から、その低価格と利便性によって抜きん出ようとしている株式会社ビットキーだが、各家庭にスマートロックが浸透することには大きなメリットと可能性が眠っていると江尻CEOは話す。

 

「一言で言えば、それは『カギをシェアすることができる』ようになるということです。スマートロックにはワンタイムチケットという機能があります。時間や回数といった利用条件に制限を付けたキーを別の人とシェアすることができる。これによって用途が様々に広がります」

例えば働くママが子供を幼稚園に迎えに行くことができない時、友人に頼んで迎えに行ってもらい、ワンタイムチケットで家に入れるようにする。他にもホームパーティをする時に友人に送って先に家で待っていてもらう。

配達物が不在で受け取れない時には配達員にカギを付与したり、クリーニング物を届けておいてもらったり。使い道は多様だ。

 

もちろんセキュリティについては万全の注意を払っている。他者にキーを送ってもその人が用いている端末と連動させているので、それ以外では使用できない。ゆえに仮にキーをコピーされても更に別人がそれを悪用し、侵入することはできない。また開錠された時間・利用者の履歴はチェックすることができる。今後は防犯カメラとの連動なども計画されているという。

「ゲストがキーを利用できるようになることで、カギの常識は大きく変わる」と話す江尻CEO。

株式会社ビットキーの生み出すパラダイムシフトへの可能性。これに注目している協賛会社も既に続々と現れている。

 

協賛企業の声

株式会社ジェネシスホールディングス代表取締役社長 藤岡淳一氏

「今回、ビットロックライトの設計開発・製造に携わり、今後は保守などでもサポートしていきたいと考えています。日本発のプラットフォーマー企業として株式会社ビットキーには世界で活躍していってもらいたいと期待しています」

 

株式会社CaSy代表取締役CEO 加茂雄一氏

「現在弊社では家事代行サービスを行っており6000人のキャスト(スタッフ)が働いています。家事代行サービスは今、伸びている業界ですが、不在時の家事代行ニーズが2年前から17%増えているにも関わらず、合鍵作成のコストや、鍵を預けること自体の心理的負担を感じているお客様がいる状況です。このワンタイムチケットを用いればお客様が不在の時でも作業ができる。またお客様のストレスにもなるカギの貸し借りをすることなく、シームレスにサービスを提供することができるのも大きな魅力と考えています」

 

株式会社SYLA営業部取締役営業部長 国本隆宣氏

「弊社は都心を中心に『自分たちが本当に欲しいマンションを作ろう』という経営理念の下に不動産事業を展開しています。現在は駅から徒歩7分以内という立地条件の他、エアコン・照明をスマホでコントロールしたり、デザイン性やWiFi環境などにこだわった物件を提供しています。今後は更に株式会社ビットキーのスマートロックを付加することで、入居者の皆さまによりプレミアムな価値と快適に過ごせる生活をご案内することができると思います」