オビ 企業物語1 (2)

SOMEATTが演出する、国境を超える新体験

◆取材:加藤俊 /文:菰田将司

オビ ヒューマンドキュメント

SOMEATT シナジーネットワークス株式会社 川村謙

シナジーネットワークス株式会社 川村謙

 

世界中で、様々な出会いとイベントを企画できるサイト「SOMEATT」を運営するシナジーネットワークス株式会社 川村謙代表。格闘家という別の顔も持つ川村さんが、この「SOMEATT」をどんな気持ちで立ち上げ、また可能性を感じているのか伺った。

 

出会い、思い出を演出したい

someatt

「自分が元々システムエンジニア(SE)でした。だから、今のシナジーネットワークス株式会社の売上のほとんどはSEの派遣業務です。ですが、私は派遣業務で会社を大きくしようとは考えていない。やっぱり、自社ウェブサービスを運営することが目的ですね」

 

そう話す川村代表が「SOMEATT(サムアット)」というサイトを立ち上げたのは2015年9月のことだった。

 

「皆さんは旅行に行った時、ガイドブックや旅行サイトなどを見てレストランやホテルを選ぶと思います。それだと、多くの場合ハズレのない、『良い』旅ができると思います。

ですが、現地の人と話したことやハプニング、思いもよらない出来事が起こったり、なんて体験が、意外と大切な思い出になることって多いでしょ?だから、そういう思い出作りをお手伝いするサイトを作りたいと思ったんです」

 

自分も旅行が好きなんですよ、と川村代表は笑う。

様々な国を長期旅行するバックパッカーたちが、よく利用するゲストハウスやユース・ホステルなどに必ずと言っていいほどあるのが交流板だ。「(モノを)売ります・買います」「パーティーに参加しませんか」などといったメモ書きが壁いっぱいにズラリと貼られている。以前、旅人はそれを見て情報を収集していたのだが、ネットが発達した今では、各種のソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)がその役目を担っているだろう。

 

『SOMEATT』は、そういった交流板・プラットフォームとして活用してもらいたいんです。海外旅行をしている日本人は勿論ですが、特に日本国内に来ている外国人にも利用してもらいたい。

現在、日本に来る外国人観光客が、非常に高い伸び率を示していることは、周知の通りです。2013年にやっと1000万人を超えたのが、翌2014年には1300万人、そして2015年には2000万人近くに。今年(2016年)も、5月の段階で1000万人を超えています。

来日する彼らの目的は、観光地を回ることもそうですが、中でも長期滞在する人たちは、それ以上に出会いや特別な体験を求めている」

 

そんな体験のサポートをする、という意図をもってスタートしたのだが、当初はシステムに不備も多く、実際に稼働し始めたのは今年に入ってからだという。

 

「まだ付けたい機能が沢山あって、どんどんアップデートしています。特に急務なのは使い勝手をよくすること。サイトでもユーザーの皆様から欲しい機能を募集したりしています。

現在、よく利用されているのは、来日外国人観光客のアテンド。ツアーでもない限り、アテンドは付かないことが多い。旅行中にふと時間が空くことって、あるでしょ?

この時間を有効に、意義ある体験をしたい、という旅行者に、彼らの興味に合ったアテンドを紹介することができるんです。

あるフランス人の女性がアテンド登録をしているのですが、彼女はもう半年ほど日本に滞在していて、観光地をだいたい回ってしまっている。なので、新しい出会い・発見を求めて、今度は自分が日本の案内役をしたい、と手を挙げてくれる。そんな人とアテンドを希望する人を繋げることができる。

他にもパーティしよう・スポーツしようとか、企画したイベントに人を呼ぶこともできます。利用する用途は自由にしていい。ただし、宗教・風俗・ネットワークビジネスなどはダメ。そのへんはガイドラインにしてあります」

 

現在、アテンドの登録人数は50人を超え、検索地によっては10人ほども挙がってくるようになってきており、やっと利用し易くなってきた、と川村代表は言う。

 

今後、2020年の東京オリンピックに向けて、海外からの観光客は増え続けるだろう。そうなれば、彼らの案内をするツアーコンダクターが不足することは間違いない。

国は認定ツアーガイドの資格を作っているが、観光客の増加に全く追いついていないのが現状だ。民泊の問題と同様、法の整備が間に合っていない今の状態に、アテンドを繋げることができる「SOMEATT」は、ガイド不足を補うという効果も期待できるだろう。

 

だが、気になる利益のほうは?と問うと、川村代表は苦笑した。

「だからあまり収益性も考えていないし、マネタイズのことも今のところは考えていないんです。自分が旅が好きなので『旅先での出会いやガイドブックだけでは体験できない思い出をたくさん作りたい』という旅行者のニーズは必ずある、と思ったのが、そもそものきっかけ。

だから目的が先行していてそれ以外は何も考えていない(笑い)。今のところ、このサイトで出会った人々の体験や、イベントを追っかけてもいません。あまりキチキチにやって自由度がなくなっても面白くないので。ですが、今後は使い方の指標として、幾つか体験談なんかを載せてもイイかもしれませんね。

自由に使ってもらって、利用者がそれぞれに活用の仕方を考えてくれる、そういうサイトにしたいんです」

 

 

趣味を仕事に活かす。そんな人に使ってもらいたい

シナジーネットワークス SOMEATT 川村謙

「起業する、なんて気が最初からあったわけじゃありません。自分は18歳からフリーターをしばらくやってたんですが、このままじゃいけないと思って20歳のときにIT専門学校に入りました。

学校で二年間勉強したら22歳なので、他の新卒と同じラインに立てる、とそう思ったんです。でそのままIT業界に入りました」

 

最初に就職したのはSEの派遣会社。そこから三年ほどソフトバンクに派遣されていた。その後、派遣元が子会社を設立することになり、そこで社長としてマネジメントを経験する。しかし、派遣元の会社と折り合いが悪くなり、そこを辞することに。

 

「で、マネジメントの経験を活かせるかなと思って、ソフトハウス会社に入ってプレイングマネージャーみたいなことをしていたんです。しかし、そういう会社はどうしても下請けの仕事ばかりで。自分たちで仕事を創造していくことは難しい。

ある時、会社のSEたちと将来不安だね、仕事がなくなったらどうしよう、なんて話をしていた時に、だったら自分たちで会社を立ち上げよう、となったのが発端ですね」

 

新卒以来、IT業界ひと筋の川村代表だが、意外な趣味を一つ持っている。

「格闘技、身体を鍛えることが趣味ですね。ブログでもほぼ毎日、格闘技やトレーニングのことを書いてますよ。格闘技で検索して、ウチのホームページに辿りついた人もいます(笑い)。

K1全盛期を見ていた世代ですから、まず習ったのは空手。極真の道場が家の近くにあったので、入門しました。その後、仕事が忙しくなったのでしばらく離れていたのですが、28歳くらいで再開した時には、総合格闘技ブームだったので、そっちにいって、今はボクシングもしています。

やるからには一生懸命やろう、と思って打ち込んでいたら、いつの間にかギャラを貰ってリングに上がるようになっていました(笑い)。先日も中国に行って試合をしてきましたよ」

 

「マァ、趣味の延長です」、と話す川村代表。

「ただ、自分のように趣味を仕事に活かしたい、と思っている人には是非『SOMEATT』を使ってもらいたいです。使い方はユーザーが自由に生み出す。『何かが起こるかもしれない』。そんな期待を込めて我々も作っていますし、ユーザーにも使っていただきたい、と思っています」

「SOMEATT」を使って、ユーザーからどんな新しい「何か」を生み出されるのか。川村代表とのお話しから、そんな可能性の高まっていくのが感じられた。

 

オビ ヒューマンドキュメント

川村

神奈川県 横須賀市出身 37

2001年度新卒でIT業界に入る。NWエンジニアとして3程ソフトバンクで業務。
・その後、雇われ社長をするも1年ほどで本社の社長に嫌われ解任
・同業界で営業・採用を統括するプレイングマネージャーとして働く
29歳で会社設立、現在に至る

【趣味】ビジネス、食べる事、旅行、ネットゲーム(FPS)、映画、将棋、格闘技、音楽(DTM