オビ 企業物語1 (2)

唯一無二の存在であれ!  現代を生きる若きカリスマ社長の新たな挑戦

社是は「無双」。塗装業の職人集団

◆取材:加藤俊 /撮影:桜屋敷知直

オビ ヒューマンドキュメント

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ダイユウエンタープライズ株式会社/代表取締役社長 早水大輔

 

ダイユウエンタープライズ看板国道125号バイパスにある看板。HPより

関東平野を貫く国道125号線が埼玉県加須市付近に差し掛かると、ヘルメットを被った若い職人が四人立ち並ぶ看板が見えてくる。

「仕事じゃない生き甲斐だから本気になれる……」イケメン職人たちが発するメッセージは強烈で何の業者かは分からないが、一際目を引き印象に残る。まるで山田孝之扮する某缶コーヒーCMの職人シリーズのようだ。

 

「それがいいんです。塗装業界に似合わぬ若さとカッコよさ。それが当社の最大の魅力ですから」。そう言って笑う看板の広告主。ダイユウエンタープライズ株式会社早水大輔社長だ。今この会社に注目が集まっている。

 

 

社会問題と化した「空き家問題」

埼玉県加須市を拠点にする塗装業の職人集団、それがダイユウエンタープライズだ。建物の内外装から防水処理、解体やリフォームまで幅広く業務を行うことで県有数の注目企業として近年著しい成長を遂げている。

このダイユウエンタープライズが新たに「空き家管理サイト」の運営にのり出すという。

 

「今は空き家が当たり前の時代です。埼玉県でも外装が剥げ落ち誰も住んでいない家がいたるところにあります。オーナーの方は皆さん困っているのですが、地方の人口流出の問題とも相まって不動産屋さんとしてもなかなか対処のしようがない課題となっています。

その点当社は内外装のリフォームや解体工事を生業としている企業です。この空き家問題を解決していける可能性を当社は持ち合わせているのです」(早水大輔社長、以下同)

 

早水社長が語るように、空き家の増大は深刻な社会問題となっている。5年ごとに発表される住宅・土地統計調査(総務省調べ)では、日本国内の住宅総数の増加に連れて空き家率も上昇し、直近では13.5%と過去最高の数字を示している。

ようは住宅の7~8軒に1軒が人の住んでいない状態になっているとのこと。そしてこの空き家率は、数年後には高齢化社会の強烈な煽りをうけて20%を超えると試算されているのだ。

 

人の住まない家は空気の循環がなくなり老朽化の足が早まる。ひいては倒壊を引き起こしかねないし、それでなくても防犯や景観上多大な問題を孕むことから国としても喫緊の課題と位置づけている。

事実平成27年2月26日に「空き家対策特別措置法」が施行された。この法律によって建物の劣化が激しい「特定空き家」に指定されると、固定資産税の軽減を受けることができなくなるというものだ。

そもそも建物がある土地は、土地の固定資産税が最大で1/6まで優遇されている。この特例が効かなくなると多くのオーナーが困る事態になる。かといって高齢などの止むに止まれぬ事情により自分で住居を管理することはできない。そういった方を対象にしたサポートとして「空き家管理」に今注目が集まっているのだ。

 

 

問題解決を ワンストップで対応

早水社長の狙いもここにある。

 

「当社で建物の解体事業をやっていて、放置されている空き家の解体依頼をお請けすることが多かったのです。空き家と言っても一軒一軒にドラマがあるんです。当たり前ですよね。誰かがずっと住んできたんですから。もしかしたら泣く泣く手放すことになってしまったものなのかもしれない。

そういった仕事を請け負ううちに、ただ解体するだけでなく、空き家を活用するお手伝いができるんじゃないだろうかと考えるようになりました。

空き家を管理するにあたって、通常は不動産屋さん等にお願いするケースが多いと思います。しかし、当社であれば管理だけでなく、外装や内装を修繕することもできますし、平たく言えばリフォームから解体まで何事もワンストップで行える。

オーナーの方に対して我々建物のプロフェッショナルが、空き家に対してどういった対処法があるのかを幅広い見地からアドバイスすることで、良い相談相手になれることもあるかもしれません。

それに費用面でも外注に出さない分当社では安くなります。空き家問題を救うのは、当社だと思ってこの問題に取り組んでいきます」

 

ダイユウエンタープライズの「空き家管理サイト」の運営は、本業と連動している分、今後化ける可能性は非常に高いと言える。

ところで、ダイユウエンタープライズとはどういった過程で成長してきた企業なのだろうか。聞いてみると辿ってきた変遷には様々な物語があった。

 

 

EXILEの歌に 励まされて

「私は父の塗装会社の職人として見習いからスタートしたのですが、その頃は地元企業の下請け・孫請けの仕事が多かったのです。父と私と幼なじみの3人でコツコツやっていたのですが、その後暫くして私が営業を行うようになりました。

実は塗装業は職人が2、3年程度の経験で独立していく業界なので、加須市内だけでも同業が個人事業主を含めて10社ほどもあるのです。だからきちんと事業を営んでいくにはそれなりに営業努力もしなければならない。

といっても営業を始めた最初の頃は、確か22、23歳くらいでしたが、世間の常識も何もわかっていない有様でしたから、随分と色々な経験をさせてもらいました。でも、意外と『若いのが来た』と取引先に可愛がってもらえましたね(笑い)」

 

やはり立ち上げ当初は苦労も多かったという。

 

daiyu_enter01「立ち上げ2年目の時でしたけど、創業支援という形で金融機関から700万円借りることができると聞いて取引実績を作るためにそれを借りたのです。ところがある取引先が代金を支払ってくれないまま夜逃げしてしまい(苦笑)。700万円が借りてすぐに将来の事業投資などに回ることなくそのまま借金に回ってしまった。

 

『クソ、やられた』と思いましたけど、クヨクヨしていても仕方ないので次の日には通常通り仕事をしていましたよ。EXILEの『Everything』歌いながら(笑い)。今、新しいドアを開けて〜♪って。ああいった時って歌詞が染みこむんですよね。

でも本当に新しいドアを開けてやるんだ、こんなところで負けてたまるかって自分に言い聞かせて。ここから駆け上がっていこうと奮起させることができました」

 

そんなトラブルに遭いながらも、やがて早水社長の同級生や後輩が集まり人数は増えていく。仕事に対するスタンスも徹底していった。まずどんな仕事も断らない。そして、どんなに些細なことにも笑顔で対応する。これを根幹に据えたそうだ。

そういった仕事に対する姿勢が良い循環を生み出し、好成績を招いていったことで成長していけたという。

 

「例えば、ある解体現場の話なんですが、工事が終わりに近づいてきた頃に、オーナーの方が当社の仕事ぶりを評価してくれたのでしょう。『HPを見たけど塗装の仕事もしているのだったら、別の建物の塗装をお願いできない?』と持ち掛けて頂いたんです。ありがたいお話ですから勿論引き受けさせて頂きました。そうしたらその次は外構も頼めないか、と。

最初は、解体工事だけの仕事でしたが塗装・外構の仕事までご依頼頂けました。この循環を経るうちに、『自分たちは建物のプロフェッショナル集団なんだ!』という自覚を社員一人ひとりが持つことができた。そうすると仕事との向き合い方にも尚一層の真剣さがでて、それがまた自信につながっていったように思います」

 

そうやって仕事を繰り返していくうちに創立から10年が経った。気づくと従業員も成長しチームとしての結束力も強くなっていた。

 

「最近は、みんなそれぞれ現場が分かれているので朝夕しか顔を合わせない。だから、集まれる場所を作って意図的に話ができるようにはしています。

例えば、月に一度はみんなで食事をするイベントを開いています。その時には従業員の家族も呼んでいます。奥さんとか子どもたちにも楽しんで仕事をしているお父さんの姿を見てもらいたい。

奥さんから『あんな会社辞めて、もっと良い会社を探したら?』と言われるより『この会社に入社して良かったね』と言われるほうが当社としてもありがたいし、それ以上に働くダンナとしてもやる気が出ますよね。子供からも『パパみたいになりたい』って言われる職人に育ってほしいですし」

 

 

カッコいい男であれ

付近の同業にライバルはいますか?と尋ねると「無いですね」と早水社長はキッパリ。

 

「当社は後発なので、他と差別化をするために色々考えました。例えば、作業の進捗を写真に撮り作業報告書としてアルバムを作ったり。見積提出時には調査報告書アルバムを添えることで、クライアントに見せると営業がしやすいよ、と工務店さんからも好評です。

仕事は勿論のこと、『お客様の為にプラスアルファを考えていける集団であろう』ということを常に意識しています。後は他の会社にはない『若さとカッコよさ』をもった仲間たちが集まっていますから、当社はそれだけで他社との差別化はできています(笑い)。

ぼくは従業員には『一人ひとりがカッコいい男であれ』というのを常に話しているんです。このカッコよさというのは、仕事と向き合う姿勢だったり、自分たちの仕事に対する誇りだったりそういったものを持つことで、男として醸し出せる魅力といいますか、良い顔つきになるんです。

そうしたカッコいい男たちが集まっている集団だったら、どんな仕事でもこなせるし、それだけで何でもやっていけるはずと思っています」

 

 

目指すはNo.1のみ!

最後に未来の構想を聞いた。

 

「とにかく、すべてにおいてNo.1を目指すだけです。私たちは企業様・エンドユーザー様から必要とされる企業・人でありたいと考えています。何かあれば『ダイユウエンタープライズ』に聞けば何とかなると思ってもらえるように。

そして地元にも恩返しをしたい。この地域に育てて頂いた。だからきちんとチカラをつけて貢献したいんです。地方の衰退が指摘されますが、なんとかこの流れに抗ってやろうと。負けたくないんです。

現在、エンドユーザー様を対象にしたリフォームショップの立ち上げを進行中です。お客様から空き家管理・リフォーム・リノベーション・売買などを気軽に相談できるお店にしたいと考えています」

 

 

社是は「無双」。集まった負けず嫌いの社員たちが、一人一人個性を活かしていけば、世界に二つとない、とてつもない会社になる。そう考えてつけたのだそうだ。若さと思いやりを持った「無双」のイケメン集団がどこまでいけるのか、楽しみでならない。

 

オビ ヒューマンドキュメント

daiyu_enter03プロフィール/早水大輔(はやみず・だいすけ)氏

1981年生まれ。埼玉県出身。高校中退後、家業を手伝う。平成17年11月、大優吹付塗装から有限会社ダイユウエンタープライズとして設立。専務取締役に就任。これを機に現場から営業・経営へ専念。平成25年11月、株式会社へ組織変更と共に代表取締役社長へ就任。気分転換には某アイドルのライブ参加。空いた時間には読書をし、常に新しい情報を求めている。青年会議所等の各種団体にも所属し、地域貢献に積極的に参加している。2017年度はその中でも加須青年会議所第44代目理事長予定者でもある。

●ダイユウエンタープライズ株式会社

〒347-0011 埼玉県加須市北小浜292番地

TEL 0480-63-0227

http://www.daiyu-ep.co.jp/

 

 

 

◆2016年9月号の記事より◆

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