代表 本宮正人氏

 

多くの人が嫌がる面倒な書類手続き。行政機関や税務署、司法機関など、ペーパーレスが叫ばれるようになって久しい日本だが、まだまだ書類の山は無くなりそうにない。

そういった手続きを代行・補助してくれる資格の種類もまた数多い。司法書士、税理士、社会労務士……これら様々な士業の内、いったい何をダレに聞けばいいのか、途方に暮れてしまう。

「そういった様々な手続きを、全てワンストップで行うことができるのが、FCCグループの大きな特徴です」と話すのは、同グループ代表の本宮正人氏。今回は本宮代表の考える士業と顧客双方に有益な関係について伺った。

 

ワンストップで全てに対応

FCCグループは、平成18年に発足した司法書士・行政書士・海事代理士などの各種事務所を結んだ組織だ。

「様々な業界で実務経験を積んだスペシャリストたちが、その知識を持ち寄ってスタートしたのがFCCグループです。私は『結婚から墓場まで』と言っていますが、結婚証明書の作成から遺言書作成サポートや葬儀後の手続きまで全てをお任せいただけます」

 

実際、死亡後の手続きは非常に煩雑で、遺族を苦しめることが多い。

相続が確定するまで銀行口座が凍結されるのは勿論のこと、在職中であれば死亡退職金を会社に、生命保険金は保険会社に申請。口座名義の変更を金融機関に、各種の免許や届出を管轄官庁に提出。他にも土地の名義変更、各種会員権、自動車の名義変更、クレジットカード等等……。長い患いの末に亡くなろうが不慮の事故であろうが、悲しみにくれる遺族にはこういった大量の書類手続きが襲いかかってくる。

 

「その中には専門的な知識が必要なものもたくさんある。例えば土地に関することでしたら、登記関係には司法書士・土地家屋調査士。船舶に関することは海事代理士。税務に関わることには税理士に聞かなければなりませんし、裁判になってしまったら、それは弁護士の出番です。このように、『アレにはこの人、ソレにはあの人』と葬儀後の手続き一つとっても様々な職業が関わってくることになる」

 

それはあまりに煩わしいので、と本宮代表は言う。

「それをワンストップで解決できるのが私たちです。弊グループに相談いただければグループ内に様々な資格と知識・経験を持つ部門・部署があるので、そこから最適なアドバイスをお客様にご案内・ご提示することができる」

士業で働く者は今、 苦境にある

「実は私たちのやっている業務は『士業』の人たちにとっても大きな利点があるのです」と本宮代表は続ける。

「弁護士に代表される士業は今、苦境に立たされています。今までは弁護士・司法書士・海事代理士・行政書士・税理士などがそれぞれに独立して事務所を構え営業できていましたが、それが近年立ち行かなくなってきている」

 

2000年前後より、日本では司法制度改革が進められてきた。特に弁護士は法科大学院が設置、量的拡大が推進され、02年に約25000人だった弁護士は、僅か10年で約32000人にまで増大した。この施策には「日本もアメリカ並みに身近に相談できる弁護士がいたほうがいい」という考えの下で行われたものだったが、そもそもアメリカは訴訟大国であり(訴訟件数は、日本は10万人あたり651件であるのに対し、アメリカは3095件(『法社会学(第二版)』村山眞維・濱野亮)と、5倍近くも多い)、また弁護士資格を得るのも容易という事情がある。

この両国の訴訟事情の差を鑑みることなく弁護士が増産された結果、弁護士の所得の低下・失業を招き、小さな弁護士事務所は倒産するか大きな弁護士事務所に吸収合併せざるを得なくなってしまった。

 

「弁護士に限らず、他の『士業』も似た状態です。個人経営では苦しい。そこで、皆で集まって力を合わせていかなければ、と考えたのです。グループに加わることで、クライアント様に安心感を持っていただけたことや私たち自らの福利厚生を充実させることができたと両方の面から喜んでもらえました」

 

たくさんの要望を聞いているうちに

本宮代表の最初の仕事は千葉県警察官である。動機は父を含め、兄弟及び親類に公務員、特に警察官が多く、それで自分も自然に公務員になりたいと思ったとのこと。それなのに、なぜ安定した公務員の職を離れ独立しようと思い立ったのだろうか。

 

「義兄が県庁に勤務していたのですが、退職して建築事務所をスタートするというので、彼が辞めるなら自分も、と思ったのが動機です。警官は様々に縛られることが多い仕事なので、自由に仕事がしたいな、と思っていた時期でもありました」

退職後は都内の司法書士事務所に入り、丁稚奉公のような立場で一から勉強をスタートした。

 

「そこで仕事をしながら勉強していくうちに、士業という仕事の問題というのが見えてきた。細かく仕事の分野が分けられていて、それを知らない人にとっては非常に複雑なものになっている。そして互いが客を奪い合うような状態になっていた」

 

本宮代表の持つ資格の中に面白いものがある。

「海事代理士という資格を取得したのは、持っている人が少ない資格だったから(笑い)。これは海の司法書士・行政書士といったもので、船舶の登記や登録・検査、船員の労務・海難事故に関することなどの手続きや書類作成を行なえる資格です。元々海が好きだったので、海に関する資格を持っていてもいいと思って取得しました。ただ、最初から海に関する仕事をしようとは思っていなかった。お客様からの要望によるところが大きいです。

ですが色々な要望を聞いているうちに『お客様から求められるたくさんの相談や手続きを全て一人で見るのは不可能だ。だが士業のヨコのネットワークを使えば、それに応えていくことができるのではないだろうか』と考えた。それがFCCグループの発足に繋がっています」

 

グループの創業は平成18年。本宮代表の思いは多くの人々から好評を得て、今年で12年目を迎える。

 

知り合えてよかった、と言われる仕事になっていきたい

「どうしてもこういう仕事をしていると、法的にグレーなところに手をつけなくてはならないことがある。しかし私たちは法令順守を徹底しています。数字やお金のために仕事をすることはありません。その姿勢が最終的にはお客様のためになると考えています」と話す本宮代表に、今後の方針について伺った。

「多くのスタッフが集まってくれて、現在、人生のほとんどのライフステージに対応できる体制を整えることができています。これからは更にそれを全国に展開し、地方で困っている人々に手を差し伸べることができたらよいと思っています」

 

人口が減少し採算が取れなくなった地方から士業は姿を消しつつある。

事務所が数十キロ離れた場所にしかなく、やっと相談に行ったものの、そこでかなり高額の報酬を要求されたとしても、他に選択肢が無ければそれに従うしかない、というのが今の地方の現状なのだ。

 

「高いから断りたい、とは言いにくいのがこの種の仕事ですから、競争原理が働かないと金額は下がらない。弊グループのメンバーが地方で活動していれば、そこでお客様から相談を受けられるし、一人で対応ができなければそれを他のメンバーと協働して要望にお応えできる。そうすればお客様の経済的な負担を減らすことになり、地方経済の活性化にも繋がっていくでしょう。こういうメンバーのネットワークを全国展開していくことが今後の目標です」

 

今まで、特に広告宣伝に力を入れたことがない、という本宮代表。どうやって今まで顧客を得てきたのだろうか?

 

「ほぼ全て、お客様同士のクチコミです。故人の友人が、遺産相続や各種手続きなどで遺族のサポートをしている私たちの姿を見て、自分も相談したいことがある、とお客様になってくれる。私たちの仕事の丁寧さ、親身になって対応している姿が宣伝になっているのです」

 

「FCCと知り合って良かった」と言ってもらえるのが何よりの幸せだという本宮社長。平成27年に相続税法が改正・基礎控除が減額され、相続税を支払わなければならない対象者は倍増したといわれる。

減りゆく税源を確保するため、今後も増やされることが予想される相続税対象者。残された家族が苦しまないために、本宮代表率いるFCCグループの活動は重要性を増していく。

FCCとはFor Crew Corporationという意味だという。そのCrew(乗組員)という言葉には「士業で働くメンバーだけでなく、顧客も、そしてその家族も含まれているんです」と、本宮代表は微笑んだ。

 

お祭りにて

<プロフィール>

本宮正人

千葉県生まれ。千葉県警察官を拝命後、32歳の時に退職し都内でも規模の大きい司法書士事務所に秘書(所長付)として入る。その後2006年に不動産取得から財産活用、遺言書作成サポートや相続などのトータルサポートを行う関連専門家のネットワーク、FCCグループを発足。現在代表。及び特定非営利活動法人エンディングライフサポートセンター理事長。

 

<団体情報>

FCCグループ

〒130-0012東京都墨田区太平3-3-12 アドバンス善月ビル

TEL:03-5637-5877

FAX:03-5637-5880

URL:http://FCCgroup.net/