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日本ラインファースト株式会社の新工場が落成。日本の「おもてなし」を支える使い捨て不織布おしぼり専業メーカーの新たな挑戦

 

レストランに喫茶店、コンビニエンスストア……と、どこへ行っても差し出される「おしぼり」は、今や日本の「おもてなし」には欠かせないものだ。

そんな日本の文化の一端を支える使い捨て不織布おしぼりメーカー・日本ラインファースト株式会社の新工場が、2017年5月12日、埼玉県加須市の同社北関東第1工場の隣に完成した。

同月27日に現地で開かれた落成式には、招待客として同社の主要な取引先の代表取締役らが出席。同社の新たな門出を祝った。

 

日本ラインファースト株式会社は、1991年に東京都板橋区で創業。以来四半世紀に渡って、不織布・紙おしぼりの製造、販売を行ってきた企業だ。

近年、東京オリンピック・パラリンピックの開催決定や訪日外国人観光客の増加などで「おもてなし」への注目が高まる中、顧客へのサービスに欠かせないアイテムとして、全国の飲食・サービス業の間で「おしぼり」の評価が上昇。

その分増えた需要に応えるため、同社では2011年に26の製造ラインを備えた北関東第1工場を新設し、製造拠点を移転して生産を行ってきた。

しかし注文は増えるばかりで、恒常的に生産が間に合わなくなる状態が続いたことから、同社代表取締役・成毛義光氏は更なる工場の建設を決意。

5年後、10年後を見据え、「新しい日本ラインファーストのスタートを切ろう」という思いで、新たに「北関東新棟第1工場」を建設するに至った。

新工場は天井を高く取った2階建てで、1階部分に30、2階部分に39の製造ラインが設置可能。6月12日から本格稼動が始まっている。

 

事業が好調なのは、同社の母体であり同じく成毛氏が代表取締役を務める日本エンドレス株式会社及びグループ会社であるリース東京株式会社も同様だ。

1971年創業、モップやマットのレンタルを中心としたダストコントロール業を主力とする日本エンドレス株式会社では、2017年4月からスーパーマーケット大手のサミットストアへのマットレンタルが開始。関東地区のローソン一千数百店舗へのマットレンタルが決定するなど、大口契約が大幅に伸びている。

一方、2014年にM&Aによりグループとなった株式会社リース東京でも、病院に対して病棟用の冷蔵庫やテレビなどをリースする本事業のみで、グループ参入1年目にして赤字からの建て直しに成功。続く2、3年目でも順調に利益を出し続けている。

 

成毛氏は落成式冒頭のあいさつでこのことに触れ、グループ全体で業績が上がっている理由として、従業員の考え方・行動と創業以来掲げてきた経営理念である「選択と集中」が大きな影響を与えていると話した。以下にその要旨を紹介する。

 

 

日本ラインファースト株式会社/代表取締役・成毛義光氏 挨拶

日本ラインファースト株式会社 代表取締役 成毛義光氏

近年、大変ありがたいことに私たちの仕事ぶりが巷で高く評価され、あちこちから「日本エンドレスさん、やってくれ」「日本ラインファーストさん、やってもらえないか」との要望をいただいております。

それは私どものスタッフが普段やっていることが、お客様から評価いただいたということなのだと思います。

というのも、お客様の話を聞いていると、評価されているのは建物でも設備でもなく、「人」なんですね。社員1人ひとりの働きこそが、お客様にすばらしい印象を残しているのです。

 

私は日本エンドレスの創業当時より、経営理念の中に「選択と集中」という考え方をもってきました。何でも屋になるのではなく、1つの柱をしっかり作りあげていこうということです。

この考えに基づき、日本エンドレスでは創業時からマットとモップのレンタルを専門として、それ以外の主力商品には手を出しませんでしたし、日本ラインファーストにおいては、使い捨て不織布おしぼりの生産・販売に徹底して集中し、ライバル会社にないような商品を研究、市場に出してきました。

それが増益・増収を続けてこられた一因であるのは間違いありません。

 

これらの事業を通して私どもが提供しているのは、日本エンドレスなら衛生管理の行き届いた爽やかさ、日本ラインファーストなら心地よいおもてなし、東京リースなら患者さんへの安らぎのひと時です。

これからも、これらの価値ある仕事にプライドを持ち、社員1人ひとりにもその一翼を担う誇りと自信を持ってもらって、前へ進んでいかなくてはいけません。そんなすばらしい社員が今後も働き続けてくれるなら、我々の会社は間違いなく繁栄を続けてゆけると確信しています。

 

今から2年前、私は「5年後に、日本ラインファーストを使い捨て不織布おしぼりの分野で日本一にする」という目標を立てました。現在、残すところ後3年です。売り上げだけでなく、商品の質、働く人々の優秀さ、お客様へのサービスにおいても日本一となれるように、しっかりやっていきたいと思います。

実際、目標は既に射程距離に入っていると感じています。これからも「同業他社にないオンリーワンのビジネスを作り上げていく」との思いで仕事を進め、多くのお客様に愛されながら、日本ラインファーストは更なる飛躍を遂げていきたいと思っております。

本日お集まりの皆様にはぜひご鞭撻いただきながら、また応援していただけましたら幸いです。本日は本当にありがとうございました。

 

 

成毛氏のあいさつに続き、招待者からも次々と祝辞が述べられた。

先頭を切って東京中小企業育成株式会社の取締役・瀬口敬三氏が「100年企業を目指してほしい」と同社と成毛氏にエールを送ると、続く工場の建設を担った丸和工業株式会社の代表取締役・矢部利人氏は、無事故無災害で工事が終わったことへの感謝を述べた。

 

東京中小企業育成株式会社 取締役・瀬口敬三氏

成毛社長とは私も個人的にもう20年ぐらいお付合いさせていただいておりますが、その行動力と慎重さの絶妙のバランスには驚かされるばかりです。3年前、リース東京株式会社さんがグループに入られた時も驚きましたが、今回こういう工場を作られたことに心から敬意を表します。

日本エンドレスはあと約4年で創業50周年ですが、50年と言わずぜひ100年を目指していただきたい。ここにいらっしゃる皆様がその礎を築き、次の世代に自慢できるグループへと引き継がれることを期待いたします。

 

丸和工業株式会社 代表取締役・矢部利人氏

私ども丸和工業は、以前にも倉庫の新築をやらせていただきました。引き続き新棟のお話をいただいたこと、誠にありがたく感謝申し上げます。

昨年の11月14日に地鎮祭を執り行い着工、2017年2月25日に上棟、5月14日に完成ということで、成毛社長をはじめ多くの方にお世話になり、おかげさまで無事故無災害で完成することができました。

本日は丁重なる感謝状までいただき、建設業者として大変光栄に存じます。私どもの経営理念であります「お客様の感動と感激を追求する」の実現のために、さらに努力してまいりますので引き続きよろしくお願いいたします。

 

 

続いては、使い捨ておしぼりの代表素材である不織布のサプライヤー、ジェイソフト株式会社の代表取締役社長・坂井田浩氏が登壇。さらに、同社の創業時から取引のあるフィルムメーカー、淀川加工印刷株式会社の代表取締役会長・田中邦彦氏も軽快な関西弁で成毛社長にエールを送った。

 

ジェイソフト株式会社 代表取締役社長・坂井田浩氏

本日新工場を拝見しまして誠に驚きました。我々もいろいろな工場を見ますが、このような工場は見たことがありません。本当にすばらしいの一言に尽きると思います。

近年外食産業は大きく変化しており、コンビニエンスストアやファミレスが大きく店舗を増やした一方、使い捨ておしぼりのかつてのフィールドであった居酒屋やパブ、レストランなどは縮小傾向にあります。おしぼり業界共々二極化が進んでいる状態です。

こういう状況の中で、日本ラインファーストさんの生産力増強は市場に大きなインパクトを与える出来事です。ここ2~3年のうちに市場が大きく変化するのではないかと予想しております。

先日、ある会社のホームページを見ていたところ「熱意を込めてやろう。やれば熱意が湧いてくる」とのスローガンが目に留まりました。

ぜひこの新工場にも社員の皆さんの熱意をがっちりと注いでいただいて、この工場が北関東地区だけでなく、日本において存在感のある工場となられることを祈願いたします。

 

淀川加工印刷株式会社 代表取締役会長 田中邦彦氏

成毛社長は私と同じぐらいのお歳ですが、今社長の言葉を聞いて「私もまだまだやるで!」という気持ちが湧いてきました。

本日出席されている方々の中には、サミュエル・ウルマンの『青春の詩』を読まれた方もおられるでしょう。成毛社長のお話を聞いて、私はこの詩を思い出しました。

コクヨ株式会社の創業者・黒田善太郎さんは「人は無一文で生を受け、父母の恵み・恩師の導き・社会のお蔭によって心身ともに成長し、やがて社会に出て一つの仕事を与えられる。それは天から授けられた天職である。天職を全うするには人の信を得ることが最も大切である」と言いましたが、その信を得る最善の道はやはりいい製品を作ること。これに尽きます。

私ももうちょっと頑張っていきたいと思います。

 

 

最後に壇上に上がった、日本エンドレス株式会社の取引先である業務用洗剤メーカー、ラクナ油脂株式会社の営業統括本部長・奥野英樹氏は、同社代表取締役社長・小林章氏からのメッセージを代読して、各社からの祝いの言葉の締めくくりとした。

 

ラクナ油脂株式会社 代表取締役社長・小林章氏

実は先日、私どもの会社も新社屋に引っ越しました。それだけで仕事の能率や社員のやる気が見違えるほど変わり、企業組織にとっていかに環境が大切かを痛感しているところであります。

かつての日本企業では外見よりも中身という質実剛健主義が定説でした。それはそれで間違いはないのでしょうが、しかし今は器が企業を活性化する時代となったこともまた明らかです。この度ご竣工を迎えられた新工場も、これまで成毛社長が培われてこられた経営哲学と、工場で働かれる皆様を大切にされる愛情とに溢れた工場であることは間違いないと確信しております。

日本エンドレス様、リース東京様、そして日本ラインファースト様3社のますますのご発展と、本日ご臨席の皆様のご健勝とご多幸を祈念し、お祝いのあいさつとさせていただきます。本日はまことにおめでとうございました。

 

 

厳かに執り行われた竣工式の様子

多くの招待者で埋め尽くされた落成式会場。懇親会ではビンゴゲームなども行われた

 

 

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●日本ラインファースト株式会社(本社)

〒175-0081 東京都板橋区新河岸2-7-7 エンドレスビル

TEL 03-5997-7200

http://www.nlf-oshibori.co.jp/

 

●日本エンドレス株式会社(本社)

〒175-0081 東京都板橋区新河岸2-7-7 エンドレスビル

TEL 03-5383-6777

http://www.endress.co.jp/

 

●株式会社リース東京

〒175-0082 東京都板橋区高島平9-28-4 エンドレスビル

TEL 03-5398-6231

http://www.leasetokyo.co.jp/

 

 

◆2017年7月号の記事より◆

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