株式会社オーエス/代表取締役 織田光一氏

「自分たちのビジネスを創ろう」。新たな飛躍を目指した矢先、盟友は逝った。

13年前、何もわからないまま、友が目指す光をただ信じて、二人で立ち上げた株式会社オーエス。カリスマ社長であった友の死は、支え続けた黒衣を一転、表舞台へと進ませるのだった。

進む道の先にあるのは闇か光か。友の遺志を継ぎ代表取締役となった織田光一氏が、自身の決意と果たすべき使命を語った。

 

 

美容サロンポータルサイト登録数は日本一

株式会社オーエスは、インターネットサービス総合会社である。情報通信機器のアウトソーシング、LED関連事業のほか、ウェブ制作事業、インターネット広告事業を行う。メインの事業は、美容サロンポータルサイト「ビューティーパーク」の運営だ。このポータルサイトは、登録サロンの集客を目的としており、オーエスは登録サロンに向けた送客サービスを行っている。サイトを通して新規客が登録サロンへ訪れると、成果報酬が発生するビジネスモデルだ。

国内の美容サロンの集客ポータルサイトは、リクルートが運営する「ホットペッパービューティー」がほぼ独占している。そのような状態でも、ビューティーパークの登録数は8万1千店舗。国内最大の登録数を誇る。

 

送客を独占しているホットペッパービューティーではあるが、このサイトに登録しているサロンの悩みは「リピーターが育たない」ことだという。クーポンを使って新規客は来るのだが、2回目は新規客向けクーポンを使うために別の店へと離れてしまうからだ。

「登録サロンさんたちに、何とかしてよと言われてきました。その声に応えるため、新規の取り組みを始めています」と語るのは織田光一氏。同社の2代目代表取締役だ。

ホットペッパービューティーの資金力で繰り広げられる広告を真似することはできない。しかし、登録サロンからの信頼と期待に応えなければならない。「差別化として何が出来るのか考えました。それがインバウンドによる送客です」。

 

訪日中国人を美容サロンへインバウンド

2016年の訪日外国人は2400万人。日本政府は2020年に向けて外国人観光客を呼び込もうとしている。2020年の訪日外国人数の目標は4000万人としているが、このままいけば5000万人に達するのではないかと見られている。今や、集客のターゲットは日本人ではない。日本の品質や高度な技術を求めにやってくる外国人なのだ。中でも特に多いのは、やはり中国人だという。

同社が新たに始めたインバウンド事業のターゲットは、この訪日中国人。集客は、中国特有の口コミ力を利用している。中国は、Facebookが使えない代わりに独自のSNS「Weibo(ウェイボー)」や「We Chat(ウィチャット)」を持つ。

これらSNSは絶大な口コミ力を発揮し、すぐさま数字に反映される。中国では検索よりも、SNSでの口コミが信用され、人を動かしているのだ。

 

さらに、中国のマーケティングに詳しい人材を採用し、中国版ビューティーパークを作成。日本の美容サロンのブランディングを行っている。中国や国内の旅行会社とタイアップし、旅行と美容をパッケージ化し、シェアを順調に伸ばしている最中だ。「買い物や体験に落とすお金は、中国人の方が多いのです。したがって、サロン側は新規の来店人数が少なくてもペイできます。登録サロンの人たちには喜ばれていますし、我々のビジネスの結果が出てきたと感じています」と同氏は感慨深げに語る。

この独創性のある「我々のビジネス」。友であり前社長でもある、関口氏と始めた事業であった。

 

成功が約束された友と創業 訪れた突然の死

オーエスの創業は2003年。友人の関口俊徳氏と共に、21歳の時に立ち上げた。16歳の頃から知っている関口氏のことを、織田氏は「カリスマ性のある、成功が約束されている男」と評する。「若い頃から女性にもてて、しかもマメで、こいつは他の奴とは違うと感じていました」。

 

創業当初の事業は通信アウトソーシングだ。代表取締役は関口氏。「お金持ちになりたいとか、早いうちにリタイアしたいとか、そんな適当なことを考えていました」と当時を振り返る。創業にあたり、織田氏は親から大反対を受けた。

同氏はすでに就職しており、収入も安定していた。創業を決意した2カ月前には父親を亡くしていた。それでも起業しようと決めたのは「関口とだったらうまくいく」と信じていたからだ。

 

何よりも関口氏にはカリスマ性があった。盲目的でワンマンであったが、エネルギッシュであり、「ついていきたい」と思わせる人物であった。織田氏は、そんな関口氏を黒衣となり支えた。

「関口は派手にガンガンやるタイプ、私は影で支えるタイプ。汚れ役も私がやりました。とてもバランスがよかったんです」

やがて時代が変わり、通信事業に陰りが出始めた。市場が飽和状態となり、先細りが予想されてきた。

「自分たちの新しいビジネスを創ろう」そう声をあげたのは、関口氏だ。皆が関口氏を信じ、付いてきた。新しく始めた美容ポータルサイトは順調に登録数を増やし、目指す先は明るい。全てうまくいくはずだった。

しかし、関口氏は突然いなくなった。2016年6月、不慮の死であった。

 

「自分たちのビジネス」を継げるのは自分だけだ

「関口がやめるんだったら、自分もやめる。最初からそのつもりでした。関口と一緒じゃなかったら、起業するつもりもなかったんです」。しかし、既に会社は二人だけのものではなくなっていた。インバウンドをはじめとした新たな事業も走り始めている。何より300人の従業員と家族がいた。

「遺志を継げるのは、自分だけだ」。織田氏は代表取締役に就任。すぐに事業再建に取り掛かった。「本当に、本当に、いろいろありましたよ。突然で、ショックで」と、無念は未だ言葉にならない。

 

カリスマ経営者の死により、多くの取引先や銀行が、オーエスの存続は不可能と見ていた。同氏は、この世間の評価をチャンスと捉えた。「これから、未来永劫続いていく会社にしよう。残された人間で会社を存続させることが、ブランディングになるだろうと考えたのです」。

その想いは、従業員行動指針(クレド)12カ条の第1条に掲げられている。「私たちは、100年、200年続く、〝永続企業〟を目指します」。社員全員の胸に、関口氏の遺志は深く刻まれているのだ。

 

他業種と連携して可能性を創造

「絶対に事業を成功させる」。そう決意した織田氏は、通信アウトソーシング事業を切り離した。先が見えない事業を抱えていても良い結果は生まれない。そのエネルギーを「自分たちのビジネス」に注力すべきだと判断したからだ。

次に行ったことは、他業種との連携だ。これは、創業以来、初めての試みだという。「関口は超がつくワンマン。他の会社との連携は絶対にせず、全て自分たちでやることが基本でした」。自分の思うようにやらねば気が済まないという、関口氏の性格がビジネスにも表れていたのだ。しかし織田氏は、大きな事業を成功させるためには、他業種や企業との連携が不可欠であると考えている。

「特にインバウンド事業は、パッケージ化して集客するために多数の企業との連携が必要です」。

 

現在、中国の民間1位の旅行会社や世界第3位のネット旅行会社の他、国内の旅行会社、広告代理店など、それぞれの得意分野を融合し、新たな価値と創造を生みだす戦略を進めている。関口氏が描いていた方向性も問題点も、全て理解していた盟友だからこそ、できた決断だ。

「まだ、関口に憧れている部分はあります。でも、私なりの方法で必ず会社を飛躍させます」と、力を込めて語った。

 

市場を牽引する企業へ

未来永劫継続する企業にするために織田氏が目指すのは、インバウンド事業の更なる拡大だ。「他社がやっていない、我々のビジネスをやっていきたい」と語る。

「課題は資金力です。そのためには上場することも1つの方法だと思いますし、上場は安定した企業という評価にもなります。とにかく早く、美容業界のインバウンドならオーエスと言われるようになることが目標です」という。

「美容サロンへのインバウンド事業で、これだけ体制を整えているところは我々以外にはありません。今何が必要で、何に危機感を感じているのか、サロンの声に寄り添い、共に成長していきたいと考えています」。

 

また、同社の自慢は人材の優秀さだ。関口氏は従業員一人一人に声がけをし、従業員が自らやる気を持って動く基盤を作っていたという。関口氏が育てた人材達が、「全従業員全員経営」の理念を以って織田氏と共に歩んでいる。「経験と人材は他社に負けません」と誇らしげだ。

インバウンドは2020年にピークを迎えると言われている。しかし、そのピークを継続させるのは、チャンスをつかんだ企業の牽引力にかかっている。市場を牽引するオーエスの経営者として、織田氏の名前が業界に刻まれる日は、あと3年後に迫っている。

 

「ほんと、あまちゃんですよね。運が良かったんだって思います。みんなのおかげです。本当に」と綻ばせる織田氏の笑顔を、遠くて近くなった盟友が見守っているに違いない。

 

織田光一(おだ・こういち)氏

東京都練馬区出身。高校卒業後、一般企業へ就職。2003年、関口俊徳氏と有限会社OS・コーポレーション(現・株式会社オーエス)創業設立、2016年株式会社オーエス代表取締役就任。現在に至る。

株式会社オーエス

〒171-0014 東京都豊島区池袋3-1-2 光文社ビル8F

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従業員数:100名

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