人類に新しい歴史が刻まれようとしている。海中が新しいプライベート空間となる時代がやってくるのだ。

プロデュースは、OCEAN SPIRAL株式会社(オーシャンスパイラル)。海中を自由に動く気球の中で、ぬれることなく陸上と同じ空間を体験出来るという「海中バルーン」は世界初。

この新しい海洋ビジネスは既に多くの人から注目されており、日本でもいくつかの観光都市とのコラボレーションの話が進められている。

 

人類初のビジネスを立ち上げたのは、同社代表取締役・米澤徹哉氏。彼はこのビジネスを「人類のセカンドステージへの挑戦」とする。

 

人類の夢は、神秘の「宇宙」から生物のふるさと「海」へ。最後のロマンへと挑む米澤氏に、プラットフォーマーとしての理念を伺った。

 

人類は海を手にいれる 海中エンターテイメント始動

2017年3月8日にOCEAN SPIRAL(オーシャンスパイラル)株式会社が発表したビジネスは、「人類の2ndステージ」。海中にプライベート空間を実現する「海中バルーン(海の気球)」の開発計画だ。

既に米国潜水艇メーカーシーマジン社(SEAmagine Hydrospace Corporation)、及びトライトン社(Triton Submarines LLC)と全世界独占で業務提携契約を結んでおり、初号機の完成に向け、最終設計も始まっている。

 

シーマジン社との契約合意時の集合写真

 

気球を思わせる球体で、且つ透明の潜水艇を作る技術を持つ企業は、現在は世界に3社しか存在しないが、そのうち3社と交渉し、コンセプトを実現できる2社のみ。事実上の独占だ。

「海中バルーンを提供できるのは、世界で唯一オーシャンスパイラルだけということです」と、同社代表取締役・米澤徹哉氏はいう。海中を市場とした世界初のエンターテイメントビジネスだ。

 

「海中バルーン(海の気球)」は、海上の船舶部からワイヤーで吊るす球体のバルーン。球体は透明で、中の空間は陸上の部屋と同じように使うことができる。水平、上下運動と移動は自由。海中の球体ユニットは搭乗者と海の一体感にこだわり、視界を遮るものを最小にした透明アクリルを採用しており、海中都市で過ごすような未だかつて無い体験を得ることができる。

 

利用目的は、利用者のニーズやシーンに合わせ、海中遊覧をはじめ、結婚式やパーティー、イベント、ヨガなど様々。リゾート施設の海中を活用したエンターテイメント事業としても期待されている。

 

 

「海の謎はまだ3%しか解明されていないと言います。人類の最後のロマンが海なのです」。これまで誰も考えつかなかった「海中バルーン(海の気球)」。発想と実現化の影には、米澤氏の過去の学びと理念があった。

 

泡と消えるビジネスより生きた証を

「高校時代には、手帳に”2014年起業”って書いていたんです」。

米澤徹哉 氏

 

米澤氏の人生の目標は「起業」。就職の際も「独立前提ですが必ず結果を出すので入社させて欲しい」と宣言し、IT系広告代理店(マザーズ上場)に入社した。

部署は新規開拓営業。入社1年後に早くも宣言通りに営業売上高トップを達成させ、2010年には独立。教育企画のコンサルティング企業を設立し、高校時代の手帳に記したミッションを実現する。

 

営業時代のクライアントとの共同起業で、社長であるもうひとりは大阪、副社長である米澤氏は東京で展開を始めた。しかし、副社長の米澤氏の方が数字を上げていく。「パワーバランスが逆になっていました」。焦ったであろう社長は、売上金を別の事業投資に回してしまう。

 

「業務提携先に契約金を払う段階になって、お金がないことが判明しました。社長は飛んでしまって行方知らず。黒字倒産です」。売り上げを全て支払いに回すことで破産は免れたが、業界から撤退をせざるを得なかった。「人生最悪の時期でしたね」と振り返る。

 

そんな時にサイバーエージェントグループの役員から「事業作るの得意でしょ?」と声がかかった。2013年、サイバーエージェントグループの経営戦略室に配属となり、モバイルサービスやアプリ事業の戦略立案、社内新規事業立ち上げを担うこととなる。

 

「当時、サイバーエージェントグループの事業は多岐に渡っていました。同じような事業を統合してシナジーを生む、または社内ベンチャーを立てるなど、とても楽しく勉強させてもらいました」

 

しかし、IT事業が持つビジネス形態に、米澤氏は物足りなさを感じ始める。

「すべてがそうではないですが、ITビジネスの多くは、トレンドに合わせたサービス展開、競合する業界のニッチを狙う、タイムマシン戦略としてアメリカで流行っているサービスを真似するなどして儲けるのがセオリーという特色を持っています。

こうした事業を考えることは確かに刺激的で面白いものなのですが、自分が手掛けている事業が、激変する環境下数年先にさえ残らないというものに取り組むことに、自分としてはより後世に残るものに挑戦したいという想いが、いつしか芽生えるようになったのです」。

 

未来に残る仕事がしたい。歴史に刻まれる市場を作りたい。「私がやりたいことは、1を2にするものではありません。ゼロから1を生み出すことだと気付きました」。

違和感を感じた米澤氏は、サーバーエージェントグループを退職。しかし、この時は起業する事は決めていたが、まだ次に何をやるか、何一つ考えていなかったという。

 

世界に勝てるビジネスを日本から

「私は、二足のわらじは履かない主義なんです」。サイバーエージェントを退職した米澤氏は、何で起業するかの当てもなく「放浪しながらぼーっとしていました」。

放浪とは裏腹に、米澤氏の胸にはひとつの目標「世界に勝てるビジネスを作る」があった。「誰もやったことがないものを日本から発信したいと思うようになっていました」。

 

米澤氏は大阪生まれ。兵庫県の明石で育ち、趣味は海釣り。サーフィンやダイビングなどのマリンスポーツも行う。海が好きだという同氏の視点は、自然と海へ向かっていった。「宇宙開発はアメリカにかなわない。でも海はどこも手をつけていないのではないか」。

宇宙ステーションは聞いたことがあるが、海中にプライベート空間はまだ見たことがない。宇宙に行くにはエネルギーが必要だが、海なら沈めるだけだ。同氏は、すぐさま喫茶店で球体の潜水艇のラフを描きあげる。放浪から半年。「海中バルーン」の誕生の瞬間だった。

 

海は人類最後のロマン 海洋市場が熱い

シーマジン社の潜水艇搭乗

世界初の海中プライベート空間を作る。海洋ビジネスは注目こそされているが、海中を市場にしたサービスや取り組みはこれまでにない。

目下の課題は、世界初のビジネスを投資家達に理解してもらい、資金を調達することだった。

 

世界初ということは、言い換えれば市場に前例がないということ。事業計画を起こして投資家たちに説明しようにも、想像が追いつかずなかなか理解してもらえない。

 

「一番悔しかったのは、とある上場企業の社長に売り上げ目標を話したら、”アホか”と一蹴されたことですね」と同氏は振り返る。

 

「”俺はその売り上げをあげるまでに20年かかった”と言うんです。私にしてみれば、5億6億の営業利益を上げるのに20年なんて長すぎる。志を持ち、バンチャー起業として0から創業し、上場まで成し遂げた立派な社長でも、このビジネスのポテンシャルがわからないのかと残念に思いました」。

 

日本では、夢を追う若者に投資するという思考が浸透していない。更に、イノベーションにとても保守的だ。

 

「投資家自体が、見極める目を持っていないんです。日本人の持つ貯蓄総額は1800兆円だと言います。彼らはあと30年生きているとは限らない。しかし、資産もそうですが、彼らは高いスキルと経験を持つ。だったら、その資産と経験を若い世代に託して欲しい、自分の子どもや孫の世代の社会を考えて支援してほしいと切に思います」

 

しかし、資金がなくては事業を始めることは不可能だ。あらゆる手段を駆使して人脈をたどり、会う人会う人に、海洋ビジネス市場の可能性と夢を語り続けた。まだ誰も足を踏み入れていない海中空間とその価値化事業。この市場には無限大の可能性が秘められている。

 

「さらに、海中バルーンは登録上船舶となり、節税でのメリットや、航空機リースや不動産の流動化スキームのような仕組みを構築し「海中を所有する」をコンセプトとした証券化など様々なビジネスへの展開も考えております。市場が回るようになれば、海中空間をハブとして、陸上の産業がつながり、新たな産業が生まれます」

 

そんな中、当初実現できるかも分からない構想に対して、米澤氏の夢と可能性に惹かれたエンジェル投資家から、君を応援するよ、と2000万が投資された。

これを元手にして米澤氏は人材を集め、海洋バルーンの開発・製造へとこぎつけた。海洋バルーンの初号機は約7億円。2019年ハワイでの試運転、2020年にはハワイ、ドバイでの運営開始を目指し、その後世界中のロケーションへリースを行う予定。日本での展開もそう遠い未来ではないはずだ。

 

「海洋市場は、2030年には40兆円市場になると言われています。我々は、この新たな市場の担い手です。日本から市場に革命を起こすのです」

 

 

新たな文明の担い手に  歴史を変えるプラットフォーマー

オーシャンスパイラルの理念は「人類のセカンドステージを創造」、そしてミッションは「海中を日常の場に」だ。

市場そのものの創造と、未だかつて無い海中体験を通して、手付かずの海中の価値化(観光資源化)。これまでのマリンスポーツや観光とは全く異なる価値を提供し、市場を創造する。

 

ピーター・ドラッガー氏曰く、「エジプト文明では2つの大発明があった。ひとつは科学と哲学、数学の概念をもたらしたピラミッドで、もうひとつは生産と生活を生み出した農具の鋤です。そして、現代に於ける鋤として、人類のとって新たな進化を創造するのは海洋ビジネスだ」と。

 

宇宙開発が現代のピラミッドなら、海洋開発は鋤だ。

「海洋市場の革命は、エンターテイメントだけではありません。医学や科学、鉱物、資源、エネルギー、環境など、あらゆる部門が大きく動きます。未開も含めると地球上の生物の90%は海にいると言われており、未だ3%しか解明できていない海。

宇宙は数百光年先が見えるのに対し、海中は100M先が見えていない。宇宙と違い、人類が過ごした地球には歴史も詰まっている。まさに、海洋開発は、人類のロマンでありセカンドステージなのです」。

 

同社のビジネスは、「海中バルーン」だけではない。海中の魅了を発見・撮影する「海中ドローン」、メディア化して発信する「海中メディア」など、2020年に向けてのプロジェクトは進行中だ。

市場を拡大することで海洋開発を活発化させ、地球が抱える資源やエネルギー、環境問題の課題を、解決へとつなげることが狙いだ。

 

我々はものづくりではなくプラットフォーマー」と米澤氏はいう。

「海中の情報や空間をハブとして、すべてを巻き込み、繋ぎ、新しい市場を作り、心満たされる感動や価値を提供します。100年先、1000年先の未来の子ども達へ、海中を体験することが当たり前な新世界を届けることが目標です」。

 

生命の源である海に、体験したことのない感動を以って人類は回帰する。「人の心が豊かになるビジネスを続けること。それが私の理念です。」地球の歴史に、新たな文明「海中体験」が始まろうとしている。

 

 

米澤 徹哉 (よねざわ・てつや)

OCEAN SPIRAL(オーシャンスパイラル)株式会社・代表取締役CEO

1985年大阪府大阪市生まれ。高校時代に「2010年に起業」と手帳に記す。

IT系広告代理店(マザーズ上場)の新規開拓営業として入社。1年後に社内で営業売上高トップを達成。

2010年、高校時代のミッション通り、教育企画のコンサルティング企業を設立。

2013年、サイバーエージェントグループの経営戦略室にて、新規事業の立ち上げや経営を担う。2016年1月、オーシャンスパイラルを創業。

 

OCEAN SPIRAL株式会社(オーシャンスパイラル)

本社:東京都港区北青山3-6-7 青山パラシオタワー11階

アメリカ支社:108 West 13th St. Wilmington, Delaware 19801, USA

ハワイ支社: 1803 Hunnewell St. Honolulu, Hawaii 96822, USA

設立:2016年1月(米国法人)、2016年11月(日本法人設立)

資本金:5,100万円

【問い合わせ】

info@ocean-spiral.com

TEL:03-5778-5272

http://ocean-spiral.com/