オビ インタビュー

総務省 × ネジクル(株式会社ツルガ)

「ICTソリューション導入」検討会

◆取材:加藤俊 /文:野村美穂

総務省会場ツルガプレゼン

総務省内の会場(開始前の様子) 副大臣をはじめ官僚、大学教授、有名企業の経営者達が識者として30名近く参加していた

2015年1月26日、総務省において「クラウド等を活用した地域ICT投資の促進に関する検討会」が開催された。その際、株式会社ツルガの敦賀代表がICTユーザーの立場から、ICTソリューション導入の成功事例としてプレゼンテーションを行った。

50万点以上ものネジやボルトを専門的に取り扱う通販サイト「ネジクル」の運営をはじめとする株式会社ツルガの発展に、クラウドサービスがどのように役立っているのか。FAXで注文書を待つばかりのビジネスを脱却した株式会社ツルガの取り組みと歴史がわかる、プレゼンテーションの内容をお届けする。

 

敦賀伸吾氏 株式会社ツルガ株式会社ツルガ(「ネジクル」運営会社) 代表取締役社長 敦賀伸吾

-株式会社ツルガはどんな会社?

株式会社ツルガは、ネジ、ボルト、ナットなどを取り扱う商社です。東大阪から、インターネット通販で国内外へ販売しています。社員数は、パートさんを含め20人くらいです。

 

-「注文書を待つだけのビジネスを脱却したい」と悩む

2000年頃は、自動車関係の部品の下請けを事業としていました。「FAXの前で注文書を待っているだけのビジネスをいかに脱却するか」と悩み、インターネットを使ってネジのコンサルティングサービスを始めました。具体的には、日本経済新聞の株価面をもとに上場企業のHPを開き、各社の問い合わせセンターへ「ネジでお困りだったら何でもご相談ください」と営業したのです。予想以上にお問い合わせの反響をいただき、「足で稼がずに電子データを使うという新しい営業手法」に出会えた思いがしました。

2003年に113件だったお問い合わせは、2006年には3,261件まで増えます。「こんなにネジのことで困っている人がいたのか。ネジ屋っていうのは知られていないんだ」と驚きましたね。ただ、残念なことに当時は3人くらいで運営していた会社でしたので、15~20件の問い合わせがあっても処理が追いつかなかったのです。20時くらいまで残業をしてもらっても間に合わず、パートさんの旦那さんたちを怒らせてしまいました。

 

-「ビジネスの成功サイクルを“見える化”したい」

私は株式会社ツルガへ入る前に、3年ほどの営業経験があります。そこから学んだ「資料を送る→見積もりを出す→電話をする→商談をする」という商談パターンを、株式会社ツルガのお問い合わせ対応にも導入したいと思いました。しかし、営業経験のないパートさんには商談パターンをわかって貰えないのです。

そこで、各種戦略論やオペレーションの本を読み漁り、「Goodサイクルの見える化」について書いた本に出会いました。これだ! と思いましたね。この流れをずっと続けて行けば良いという成功サイクルのイメージを作り、共有しなければいけないと確信しました。必要な戦力の分別や案件撤退条件の決定などを行うにあたり、現状把握をどのようにしたら良いか。今まで通りの紙でのオペレーションを続けるか、ITで商談の入口から出口までの全てを見えるようにするシステムの導入や構築をするか、「紙 vs IT」の選択肢に悩んだのが2006年頃です。ただITを入れるかどうかではなく、戦略を立てることを紙でやるかITでやるかという問題です。

 

―Salesforceとの出会い

「紙 vs IT」の選択肢に悩み、インターネット検索をする中で、Salesforce.com(セールスフォース・ドットコム)のWebサイトと出会いました。Salesforce.comは、クラウドベースのCRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)を世界的に提供している会社です。見積もりから商談まで具体的にフェーズがあがって行くSalesforceのシステムを見て、「紙ではない。ITだ」という結論を出しました。他社のシステムもいろいろ調べましたが、具体的にフェーズがあがって行くのはSalesforceだけでした。すぐにSalesforceへ連絡をして、導入しました。

 

―Salesforceの導入効果

ネジクル グッドサイクル図

Salesforceを導入し、どの商談がどのフェーズなのか、金額はどのくらいなのかが一目でわかるようになりました。一定の成約率があれば、どのくらいの商談数で幾らの売り上げになるかが、パートさんを含む全従業員にわかります。自分がどの案件に行くかなどをコミットするようになり、会社の中が自然に回り始めました。社員がやる気を出してお客様のために自分で商談をする、まさしく「Goodサイクル」です。

 

-NHK「クローズアップ現代」の影響

リーマンショックの直後に、NHK「クローズアップ現代」のクラウドの商品という回で株式会社ツルガを取り上げて頂きました。その結果、お問い合わせがどんどん来るようになりました。リーマンショックの影響から、相見積もりをとり、一円でも安いところで注文を取るという風潮が出ていたのです。価格が一目でわかり、お客様と同じ画面を見ながら商談ができる通販サイト「ネジクル」を始めるきっかけとなりました。

 

-ICTソリューションの導入効果

1本のネジから販売できる通販サイト「ネジクル」のおかげで、「売上が6か月連続アップ」し、「国内外の新規顧客が10倍以上増加」しています。また、業務効率化により「売上総利益率も飛躍的にアップ」しました。また、問い合わせ対応時間の短縮により「残業時間が0」にもなりました。

何よりの効果は、“見える化”により各従業員の長所が見え、パートさんの中からリーダーを抜擢できるようになったことですね。経済産業省の「IT経営力大賞」を受賞したり、「関西IT百撰」に選出いただいたりしたことも全従業員のモチベーションアップにつながりました。

 

-今後の目標

地方では人口減少や経営者の代替わりなどにより、地元に資材を供給していた問屋さんが撤退するなどの深刻な問題が指摘されています。例えば、地元の問屋さんなどから安定的に調達できていたネジが、問屋さんがなくなったことによって調達できなくなり、更には、近くにホームセンターなどもないため、お困りになる方達が、年々増えてきているのです。

ネジクルを通して、そういったネジにお困りの「ネジ難民」の方達を助けていきたい。私達は全国どこへでもネジをお送り致します。そうやって、お困り事を解決してお役に立つことで、お客様に成功頂けること、これは同時に私達の喜びでもありますから、ネジクルを通して、微力ながらも日本の産業に貢献していきたいです。

 

オビ インタビュー

株式会社ツルガ

〒577-0056 大阪府東大阪市長堂3-2-22あすなろビル9階

TEL06-6785-5551

http://www.tsurugacorp.co.jp

2015年3月号の記事より
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