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就活支援ジャーナル ‐ 優秀な人材確保のため中小企業が実践すべきこと

◆取材:加藤俊 /文:橘夢人

 

ライセンスアカデミー (2)就職情報紙『就活支援ジャーナル

学生がむさぼり読む『就活支援ジャーナル』を発行している大学新聞社に、中小企業が優秀な人材を確保するために実践すべきことを聞いてみた!

学生の大手企業へのブランド志向が根強い中、中堅・中小企業はいかに優秀な人材を確保するか──。

その難題に一石を投じるのではと注目を集めているのが、『大學新聞』で知られる大学新聞社が発行する就職情報紙『就活支援ジャーナル』(2013年度創刊、15年度6回発行予定)だ。伸び盛りの企業など、申請・審査を経て「優良成長企業」に認定された企業の情報を掲載。形式的には各大学のキャリア支援部署主催の形は取るものの、実質的には実施を主導する「学内合同企業説明会」(以下、学内合説)において学生に直接手渡しを行うなど、約3万部を徹底配布している。年度間の学内合説実施330回以上を誇る業界のリーディングカンパニーとして、絶対的な信用を得ているのが大学新聞社の圧倒的な強みだ。

事業の狙いや優秀な人材を確保する上で重要なポイントなどを、東京本社編集局の編集局長・川窪達也さんと、キャリアコンサル課マネージャー内田琢二さんにうかがった。

 

大学・学生共に「安定して勤められる会社」を求めている

―『就活支援ジャーナル』の刊行と共に、「学内合説」開催にも携わっていますね。優秀な人材を確保するために、中小企業は大学・高校とどういう距離感でつき合うべきでしょうか。

kawakubo (1)大学新聞社 東京本社編集局編集局長 川窪達也さん

川窪:ひと口に就職といっても、高校と大学では仕組みが全く違います。高校の場合、県にもよりますが、1人の生徒は一度に1社しか応募できないのが基本であり、進路や就職指導の先生方が万全の体制でバックアップします。先生方の裁量が大きいのは言うまでもありません。ですから、優秀な高校新卒を確保したいのであれば、高校訪問を地道に繰り返すなど、そうした先生方に食い込んで良好な関係性を築いておく必要があります。対して大学は、基本的には学生個人任せですから、その分企業側のスタンスは難しい。

 

―高校新卒の場合は、先生方に対する自社の印象を良くすることが不可欠であると?

川窪:仮に非公開求人を出したからといって、必ずしも採用できるというわけではありませんが、姿勢は必ず伝わります。「人事の○○さんがいる会社だから、うちの生徒をぜひお願いしたい」という信頼関係が築けるか否かが分かれ目です。

 

―なるほど。一方、大学生に対してはどういうところがポイントになるのでしょうか。

ライセンスアカデミー キャリアコンサル課マネージャー 内田琢二同キャリアコンサル課マネージャー 内田琢二さん

内田:現代は情報が虚実紛れて飛び交う時代。そんな中、大学というフィルターを通すことが、学生本人や保護者が安心する要素になっています。そのため、大学のキャリア支援部署が主催する「就職イベント」に参加したいという企業は非常に多い。一方、キャリア支援部署も学生に良い会社に入ってほしいと思っているため、参加企業についてはその企業が学生の将来のために紹介したい企業であるかどうか、さまざまな角度からよく調べたうえで案内されていると思います。それゆえ参加される企業は「学生の将来のために紹介したい会社である」ところあたりがポイントでしょうか。

 

―キャリア支援部署へのアピールが必要になってくるわけですね。大学や個別学生にとって、「良い会社」とはどのような会社なのでしょうか。

内田:近年、大手・中小に関わりなく、企業では合理化が求められています。そのため、仮に大手企業であっても被雇用者にとっては安定的な企業とは言い切れません。長期的に見ると分業化が進む中では、かえって高リスクだとの見方もあります。個人の価値観にもよりますが、やはり仕事を通じて自己成長できる会社、自分の付加価値を高められる会社、雰囲気が自分に合っていて長く勤められる会社、そして社員を大切にする会社でしょうか。

 

―効果的なアピール方法を教えてください。

内田:まず、会社の雰囲気を良くすることが大切です。せっかく学内合説を通じて就活生と接する機会があってもマイナスの印象を持たれると逆効果です。社員の態度や様子を学生はよく見ていて、後ろ向きな意見など、仕事に対する姿勢・真摯さなどに敏感なようです。また雰囲気ももちろん明るいほうが良い。自己を成長させることができる環境か否かについては、社員一人ひとりが会社を代表する意見が言えるなどで権限が委譲されており、自由で風通しが良いかの判断がなされるようです。それら参加学生の意見やOB・OGからの意見も結果的にキャリア支援部署に集約されることになります。

川窪:OB・OGの活躍も一つのキーになっています。例えば5年前の卒業生が若くして部長になっているとか、実際に入社した先輩がイキイキと働いている様子はかなり大きく響くでしょう。もちろん、就活生のみならずその保護者や友人などからも「その会社だったらいいね!」と好印象を抱かれる努力も欠かせません。

 

経営者が送るメッセージは学生のイメージを変える鍵

―人材獲得のために経営者が理解しておくべきこと、実践できることを挙げてください。

内田:学内合説にご参画いただく企業経営者の中で、若者の心をわしづかみにするのは、将来の展望が明確で言葉に力がある方です。そういう方が送るメッセージは厳しい反面、就活で参考になるような示唆に富んでいることが多く、学生の印象もおおむね良好です。

川窪:いまの学生は、業種や業態よりも社風や環境、人間関係を第一に考える向きが多数派です。社内の風通しが良くて、オシャレな立地が歓迎されます。ですから、まずは自社のことを知ってもらう必要があります。その意味では発信力やセルフプロデュースが不可欠でしょう。心地良く記憶に残るフレーズだったり、あるいはシンボリックな身なりだったり。そういう部分の積み重ねでその企業に対するイメージが構築されていきます。

 

―学内合説は、実際に顔を付き合わせて話すイベントですね。そうだとすれば、学生の心に何を残せるかが重要になってくる。

内田:現在はネットを中心に就活を展開する学生が多いですが、そこはパソコンキー一つで100社へのエントリーが可能であり、全国から就活生が殺到する世界でもあります。ごく普通に考えれば、内定獲得は容易ではない。だからこそ、もう一つの就活方法として学生にはぜひ、フェイス・トゥー・フェイスの機会を活用する学内合説に興味を持ってもらいたいですね。参加企業はまず学生の採用を人物本位で考えるところが多い。それだけ多くの学生にとってチャンスがあります。

川窪:巨大メガサイトで採用ができなかった中堅企業が、学内合説における学生との直接面談で採用につながった例も少なくありません。サイトでは十分に伝わらない自社の強みやアピールポイントを、自分たちの言葉で直接学生に話をできるのは、大きな魅力だと思います。

 

―『就活支援ジャーナル』をはじめとする就活支援事業は現在3年目とのことですが、今後はどのような方向性での拡大を考えておられますか。

大学新聞社 東京本社編集局編集局長 川窪達也

川窪:学生はしばしば、マスコミで喧伝される「就職人気企業」に目を奪われがちですが、仮に人気上位100社まで広げても、採用数はおおむね2万人前後から多くても3万人には届きません。大手の就職サイトではそうした印象評価というか、人気が高い企業の情報が一面的に注目を集めていて、そこに大学新卒予定者55万人の、少なく見積もっても7割超を占める就職志望者42万人以上が殺到する図式になっています。すべての採用がネット上で行われたにしても、率にして5%程度。ほとんどは不採用になってしまう現状を何とかしたい。

第三局というか対立軸の視点から大手にはできないことを、私たちの手でやっていきたい気持ちがあります。95%が不採用になる就活システム、しかしそれがスタンダードであるとの考え方に他の見方を提示したいのです。

 

就活生が重視するのは、会社規模より風土、雰囲気、人

―『就活支援ジャーナル』を創刊された目的を教えてください。

川窪:近年、いくらエントリーしても内定が出ない就活生が激増し、大学生の就職難が社会問題化するまでになりました。なぜそうなのか。その一因として、大手・著名企業の情報が氾濫する一方、派手さに欠ける堅実・中堅・中小企業に学生は目を向けないという実態があることが分かってきました。新卒者の3分の2が中堅・中小に就職している現実からすればあまりにミスマッチだと言わざるを得ない。ところが、学生からすると、大手以外に目を向けろと言われても、そもそも情報が拾えないのだという指摘がありました。それならば、仮に知名度は高くなくても、私たちの目で見て、学生に勧めたい企業の情報を提供していこうというのが出発点になりました。

 

―学生はどのような情報を必要としているのでしょう?

内田:かつては大きな会社に入ること自体が目的だった印象がありましたが、現在は会社の規模より、むしろ入社後どういうセクションでどういう役割を果たせるのかが重視されています。これは中小企業にとってはチャンスで、「暖かい雰囲気」「社員がみんな親切」「目標やノルマが厳しくない」などがアピールポイントになる時代です。本紙を通して、学生はそういう部分に注目しています。

 

―『就活支援ジャーナル』に掲載される中小企業のメリットをお答えください。

川窪:経済紙の『フジサンケイビジネスアイ』や中小・ベンチャー企業支援の「イノベーションズアイ」、またその他多様な実務家などが参画している「優良成長企業認定委員会」に認定された、いわば“お墨付き企業”であるとのプレゼンスが第一点。学生が安心できる企業にフォーカスしていきます。同時に、新興・ベンチャーや新進気鋭の経営トップなど、いわゆるエッジの効いた企業であれば躊躇することなく紹介します。購読層は実際に就活に励む学生とキャリア支援部署の職員。企業が届けたいメッセージや人材育成、キャリアパスなどの情報を、ダイレクトに大学現場に打ち込むことができるものと自負しています。

もちろん、認定委員会で予め企業を選定し、学生が実際に就職するには問題があると思われる企業に関しては、紙面掲載をお断りさせていただいていますので、その意味では、安心してご活用いただける全く新しいメディアだと思います。ご期待ください。

オビ インタビュー

【取材協力】

株式会社ライセンスアカデミー

〒169-0073 東京都新宿区百人町2-17-24

TEL 03-5925-1641

http://licenseacademy.jp/

・代表取締役 白田康則

・資本金1,400万円

・従業員数370名

川窪達也(かわくぼ・たつや)氏…東京都出身。大学・専門学校・進学・就職・資格・法律等に関する編集プロデューサーとしての活動を経て、大学新聞社入社。現・編集局長。姉妹企業・ライセンスアカデミーの媒体編集にも携わる。

内田琢二(うちだ・たくじ)氏…三重県出身。大学卒業後、一貫して人材ビジネスに従事。現在、大学新聞社を舞台に、主として中小優良成長企業の経営者を対象に、採用に関するコンサルティング営業を精力的に展開。

 

2015年3月号の記事より
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