obi (2)東立電機株式会社 BigLife21

◆インタビュアー:加藤 俊/文:野村美穂

オビ インタビュー

東立電機

 

今回のゲストは、本誌2013年12月号に「モノづくり立国の復活を旗印に、目黒の地から飛躍を誓う若き3代目の挑戦!」という記事で登場頂いた、東京都目黒区に本社を置き、神奈川県秦野市の工場で工業用・産業用ヒーターを製造する東立電機株式会社。スタジオに登壇頂くのは、加藤氏(代表取締役・写真左)、杉山氏(営業部・写真右)、関野氏(製造一課・写真後列左)、白井氏(秦野工場管理課・写真後列右)の4人。

(本稿は動画を再編集し、一部を紹介するものです)

 

コンビニエンスストアなどを支える東立電機のヒーター

-まずは御社の製品について教えてください。

 

杉山:弊社の製造品目は、工業用・産業用に特化した電気ヒーターです。1、2名の企業から100名以上規模の企業まで電気ヒーターメーカーは多くあるのですが、弊社は特に電化厨房機器や空調機器に特化しています。

一般の方の身近にあるものでは、コンビニエンスストアのレジ横にあるホットスナック用保温器や、ファミリーレストランの厨房にあるオーブンなどがあります。コンビニエンスストアなどに行くとついついホットスナック用保温器などのメーカー名を確認してしまいます。

お取引させて頂いているメーカーだとわかると、間違いなくうちのヒーターが使われていますので、見つけると嬉しくなりますね。

 

加藤:あと、電車の座席下にあるヒーターも弊社製品の1つです。

 

 

手作業によるモノづくりへのこだわりとやりがい

関野:製造業界は機械化が進んでおり、弊社も機械化している部分はあるのですが、細かい部分は手作業なんです。経験をつんでいくことによって完成度が高い製品ができると嬉しく思いますし、もっともっと完成度の高い製品を作ろうと思いますね。

僕はハンマーで1日2000回くらい叩く工程を担当しているんですが、最初は思いっきり手を叩いてしまい、赤く膨れ上がって血が出るなどの失敗がありました。

 

加藤:機械化を進めるという選択は出来ますが、弊社は「少数多品種」を売りにしていますので、機械の導入を進めるよりも人が動いた方が早く仕上がるのかなと思います。

また、個人的な見解ではあるんですが、手を動かして作る喜びを感じて欲しいとも思っています。機械を導入してコンピュータ操作をするのではなく、実際に手に触れるモノづくりをして貰える現場にしようと意図していますね。僕も以前、一通りの工程を経験しました。

 

杉山:僕は営業職ですが、入社後の1カ月くらいは一通りの製造工程を体験しました。わずか1カ月ですけれども、全ての工程を体験することによって、モノができるまでの仕組みを知ることができました。製造工程の記憶や印象があると納期調整などがしやすくなり、役立っています。営業と製造の部門を超えた助け合いがあることにやりがいを感じます。

 

白井:私の業務は不良品の原因解明をして次の製造に役立てることですが、手を尽くして調べて行く中で不具合の原因を突き止めることで、不良発生の削減になっていることにやりがいを感じます。

 

 

東立電機の人材採用

杉野:僕は以前、電子制御機器などを扱う商社に勤めていました。お客様からヒーターの要望があり、何社か問い合わせた中に東立電機があったんです。いろいろ相談にのってくれるなどよく対応してくれたことをきっかけに入社しました。現在、入社5年目です。

 

白井:私は最初、派遣で入社しました。当時はまっすぐのヒーターを曲げる部署に配属され、ヒーターを曲げたり修正したりする製造工程を担当しました。その後、現在の生産管理に配属され、入社3年目です。

 

関野:僕の前職は珍しいんですが、花屋なんです。転職を考えていた時に東立電機の「細かい作業があります」という求人を見かけて、手先の器用さに自信があったことからチャレンジしたいなと応募しました。体調不良による休職などブランクはあるんですが、入社13年目です。ずっとハンマー一筋です。

 

加藤:彼はハンマーが大好きなのでハンマー一筋なんですが、他の人は部署移動をして多能工化していることが多いです。何が合うかはわからないのでまずは現場を体験して貰い、より適正のある部署がある場合には異動しています。若い社員の中には10代の頃に入社して以来溶接一筋で、溶接をさせたら右に出る者はいないという匠もいますよ。

 

-皆さん様々な経歴をお持ちですね。今はどのような人を求められていますか?

 

加藤:弊社はほとんどのメンバーが現場あがりなので、現場に連れて行かれたら力を発揮できるんですが、データ化するなど学術的な作業には弱いんですね。データをまとめ上げてくれるとか、学術的な視点から見解を聞かせてくれるような若い人がいたら、ちょっと膨らみが出るんじゃないかなと考えていますね。

また、現場の作業員は常に募集しています。僕の持論に「誰一人として能力の差はない。24時間をどのように使うかによって差が出るのだ」というのがあるんですが、「自分の24時間をいかに有効に使えるか」という意識を持っている若い人と働きたいですね。

 

関野:昨今は工具の名前も使い方も知らずに入社してくる方が多く、教える側として戸惑いを感じています。しかし、僕は一からわかるまで教えるのが良いと思っているので、きちんと指導するようにしています。

 

白井:工具や部品について興味が薄いんですよね。手に取ったこともなければ、名前もわからないということで、なかなか次に入って行けないというのが難しい部分だなと思っています。何でも揃っている環境の中で育ってきたことにより、自分で何かを考えたり作ったりするチャンスが少なかったのかなと思いますね。

また、失敗をする前に止めてもらえる環境にあったことから、失敗例をあまり味わっていないというのもあるのかなとも思います。現場ではあえて失敗を体験して貰って、失敗から一緒に考えることを意識しています。

 

 

製造業にかける想い

加藤:日本がここまで来られたのは、製造業あってこそだと思うんですよね。そして、その製造業を支えているのは大企業ではなく、私たち中小企業だと思います。中小企業に製造力の強さを日本人として取り戻して貰い、若い人たちが感性を養いながら「工業立国・製造立国 日本」としての力を世界に知らしめて行けたらと思います。

弊社は今後、ヒーター以外に参入しようとも、モノづくりをしていられる会社でいたいと思います。

 

-本日はありがとうございました。

 

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