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ネジクル IT活用による徹底的な省力化!

「チリツモ商法」でネジ通販サイトナンバー1!

◆取材:加藤俊 /文:北條 一浩

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ツルガ4株式会社ツルガ/代表取締役社長 敦賀伸吾氏

日本の製造業を底支えしているのが、ネジ産業であることに異論を挟む人はいないだろう。ひとくちにネジといっても、その種類は膨大だ。そんなネジの山から、目的のものをすぐに見つけられ、少量でも迅速に対応してくれるという、あるようでなかったネジ通販サイトを構築し、ネジ流通の世界に大変革を巻き起こした会社がある。株式会社ツルガだ。物づくりの町・東大阪で独自の発展を遂げるECサイト「ネジクル」とは……。

使い勝手のよさはまさにオリジナル!

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父親が東大阪で営んでいたネジ卸会社を、今日のネジ通販サイト運営会社に大転換したのが2代目社長である敦賀伸吾氏だ。

 

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「私はもともと建設のコンサルをやっていました。そして2代目としてこの会社に入ったんです。ただ、入ったはいいものの、既存のビジネスモデルに安住できるほど、簡単な時代ではありませんでした。自分で新たなビジネスモデルを考えることが求められました」

そこで、敦賀氏がまず行ったのがメール作戦だ。

 

「東証1部上場の会社に片っ端からメールを送ってみました。『ネジの相談ありませんか?』と。そうすると、興味を持ってくれる会社がちらほらと出てきて、社内の設計部につないでくれました。それでネジ設計のコンサルみたいなことを請け負えるようになったんです。

その頃は、まだネットをそんな風に利用する会社は少なくて、どんどんレスポンスが増えていきました。1年目は百件程度だったのが5年目には5千件くらい問い合わせがありましたから」

そこで、業務の効率化を図る施策に打って出た。

 

「お客様のレスポンスがガバッと上がった時に『セールスフォース』(顧客管理のアプリケーション)を入れて、業務効率化に成功しました。これがIT化の成功事例として『クローズアップ現代』で取り上げられたんですよ」

ところがどっこい。NHKに取り上げられたと喜んでいたところ、翌日からメーカーが一斉にマネを始めてしまったそうだ。

 

「テレビで紹介されたら、逆に売上が落ちてしまいましてね(笑い)、ちょうどその頃、お客様の要望が変化の端境期にありましたから、ひとつここらでビジネスモデルを変えることにしたんです。 はじめの頃は、『こんなネジはできるか?』って注文による試作品作りが多かったんですが、それがだんだん『このネジが欲しい』という声に変わっていたんですよ。特殊なネジよりも、品揃えを重視した『ロングテール』のビジネスモデルに転換しようとなったわけです」

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これが、ネジ通販サイト『ネジクル』のスタートになった。   東大阪で30万点の在庫を持っている大きなネジ商社から仕入れるネジと、特殊なネジを並行して扱うことで、国内最大級の通販サイトを構築できた。

とはいえ、ネジクルをはじめたはいいものの、認知度を上げるために、じっとしていられるわけではなかった。

 

「パナソニックやシャープの工場の前でチラシを配ったりしましたね。ネットでの広告もいいんですが、これだとやっぱり上の世代には届きにくいんです。時には、紙の広告が有効な場合もありますから。私の考えでは、とにかく一度利用してもらえればという自信がありましたので」

もちろん、その自信には裏付けがあった。

「通販で一番難しいのは受付からデリバリーまでの流れでしょう。このノウハウはなかなかマネが出来ない。ネジクルのようなサイトではローコストで回さないと商売になりませんからね。受注から発送までを細分化して、如何にIT化できるか。ほとんど自動的に流れないと人件費がかさみますから」

こうして細かな注文を効率的にさばく、他の競合の追随を許さないECサイトが完成した。

 

ツルガ5「ネジクルは専門サイトですから、お客様にとって、どれほど使いやすいかが非常に大事なんです。商品点数が多いので、サイト上に来たお客様が欲しいネジを如何に迷わないで済むか、この点はとても気を使っています。ひとたび使いやすいと判断してもらえれば、『困った時に使えるネジクル』という位置づけを獲得できますから。 そして、今度は『いつも使えるネジクル』に、位置づけが変わるよう働きかけるわけです。

そのために、サイト内だけで完結できないお客様からの電話によるお問い合わせにも、他社以上の対応をすることが必要になってきます。わざわざ電話でご相談いただくお客様は、ご自身の中にある程度答えを持っている場合が多い。それを相談によって確信に変えて差し上げるんです。そうすれば『ネジクルは分かっている』という信頼を勝ち得ることができ、それによって『いつも使えるネジクル』に近づくわけです」

現在、ネジクルの顧客は小ロットが中心だ。1回あたりの発注は1万円以下が多い。このように、小ロットの顧客がメインの商売をするのは、中ロットになればボリュームディスカウントを求められるし、大ロットになれば直接海外メーカーなどに発注するようになるからだ。 他所はまだこの小ロットの取引に上手く対応できていないため、ネジクルに一日の長がある。

 

 

『ネジクル』が見据える未来とは?

ネジ 「私は、私たちが作り上げてきた市場を必要としてくださるお客様には、小ネジ1本のお客様だろうと、とにかく奉仕をしたいんです。何せ、『ネジ1本で困っている人のために!』が会社の理念ですから。実際、そういう取引を必要としているお客様が個人法人を問わず多いんですよ。まずはネジ探しに困っている個人、法人、あるいは学校などに、もっと入り込みたい。

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また、世界中の顧客を獲得したいですね。日本のネジの精緻さは世界に誇れるものです。世界中にいる日本人に知ってもらいたい。ご利用いただきたい。ネジ1本でも海外に持ち出すのは様々な問題をはらんでいますが、我々には独自のノウハウがあります。さすがに北朝鮮は無理ですが、たいがいのところには送れますよ(笑い)」

日本で一番のネジ通販サイトになる。そして次は、世界に散らばる日本人に重宝されるサイトになる。実現への道のりは決して平坦ではないだろう。だが、そのための工夫こそが面白い。孤高のネジ屋、敦賀氏の挑戦は終わらない。

 

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ツルガ2 ●プロフィール つるが・しんご氏…昭和48年大阪生まれ。大学卒業後、アジア航測株式会社入社。平成11年株式会社ツルガ入社。平成15年「ネジ革命事業」を開始。平成17年株式会社ツルガ代表取締役社長就任。経済産業省「IT経営力大賞」審査委員会奨励賞、「関西IT百撰」最優秀賞受賞。

 

●株式会社ツルガ 〒577-0056 大阪府東大阪市長堂3-2-22あすなろビル9階

TEL 06-6785-5551

http://www.tsurugacorp.co.jp

 

 

2013年9月号の記事より

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