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江洋商事株式会社 宇宙に衝撃を与える!IT☓流☓モノづくりで、まったく新しいタイプの商社をつくる!

◆取材:加藤俊 /文:佐藤さとる

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DSC_1144一時の学生ベンチャーブームは去ったとは言え、学生時代から業を起こす若者は確実にいる。一橋大学で政治学を専攻する海江田翼氏もその1人。昨年「江洋商事」という貿易商社を立ち上げた。学生ベンチャーの場合ITや社会貢献活動などをベースにした起業は多いが、貿易業は珍しい。

なぜ貿易業を起こしたのか。貿易商社の未来に何を見ているか。社長の海江田氏に伺った。

 

人間は身体体験から逃れられない。

だからリアルなモノを扱う貿易は、プレゼンスを持ち続ける

「江洋商事」は海江田翼氏が同じ一橋の留学生の劉洋氏と2013年に立ち上げた。業務の軸は商材の輸出入、いわゆる貿易商社だ。すでに中国に合弁法人があり、カンボジアのプノンペンにも年内に支店を出す予定だ。ITや社会貢献活動などをベースにした学生ベンチャーが多いなか、なぜ商社なのか。

実は海江田氏はインターネット事業の経験がすでにあった。

 

 

「大学1年の頃から先輩起業家の手伝いをしたり、友人とWEB広告の会社を立ち上げ、ネット広告事業や家庭教師のオンラインサービスなどをやっていました。ただ就活の時期となって将来を考えた時、就職はせず、起業しようと考えた。それもITではなく商社を立ち上げようと考えたんです。

ITは確かにいまあるサービスの利便性を劇的に高めたり、既得権益を変えるようなインパクトを持っていますが、あくまで実業の補助にしかならない。たとえば、中国でつくった米を長崎の人がIT技術で食べられるようになるかというと、そうはならない。生産や流通のコストパフォーマンスは上がるでしょうが…。

人間は身体のある生き物なので、身体体験から逃れられない。だから手に触れたり、匂いを嗅いだりという体験に関わること、リアルなモノを扱う貿易はプレゼンスを持ち続けると思う。それに貿易ってエキゾチックに思えたんです。

ITと貿易業が組み合わさることで、いままでにないインパクトのある事業ができるのではと思っています。たとえば、月額1000円を払うと、毎月世界各地からいままで見たことや食べたことがない商品や食材が届く。ちょっとワクワクしませんか? それにはしっかり在庫を持つことがポイントで、いまその仕組みの構築を急いでいます」

 

 

プロも絶賛、新しいレファレンススピーカーも開発

もう一つ、同社がこだわっているのが、プロダクト開発だ。価値ある商材を輸入し、あるいは輸出して提供するだけでなく、そこから新たな価値ある商品を創り出す。

 

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「いま、プロのスタジオミュージシャン向けのレファレンススピーカーを開発中です。先日、最終段階の試作品を有名ミュージシャンのレコーディングマネジャーのお宅に届けて、鳴らしたんですが、『凄い、イイね』って絶賛されました」

レファレンススピーカーとは、もっともナチュラルな形で音を再現するいわゆるプロ向けのスタジオスピーカー。

 

「一般にCDなどによる音楽は、録音、圧縮、再生の3つの工程を経るもの。その中でも、録音、圧縮技術はデジタル化で進化しているんですが、音の再生は変わっていない。日本ではヤマハの『NS10M』という機種がレファレンススピーカーとして四半世紀にわたって使われてきた。コストパフォーマンスの高い名機ですが、さすがにもっといいものが出てきてもいいんじゃないかと、取り組んだらいいのができたんです。

ポイントはスピーカーユニットを同軸にして、エンクロージャを丸型にしたこと。従来型のように音がぶつかって歪まないので、原音に近い音が再現できるんです」

ほかにもカーボンをフレームにしたスポーツバイク(自転車)や、感染症対策用の殺菌消臭剤なども手がける。

 

「自転車は、安く高性能なカーボンフレームを入手できるようになったので、これに既存パーツを組みあわせたところ、相当いいものができた。今名称を含めたブランドを考えています」

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2020年のオリンピックには……

同社のフィールドはモノだけにとどまらず、技術開発そのもの、その技術開発のための人材育成をも手がける。

 

DSC_1143「スタッフに優れたCGクリエイターがいるので、彼の技術を存分に活かしたキャラクターモデルの制作や開発、さらに彼の技術をカンボジアに移転してオフショア開発をする予定です。すでに1人カンボジアに派遣しています。2020年の東京オリンピックには、オフショア開発でできたCGモデルを会場に送り込みたい」

事業軸を物と物との貿易に置くものの、決して海江田氏はITの未来を悟ったわけではない。ITでやりたいことやれることはまだあるという。

 

「ぜひ取り組んでみたいのは、ピア・ツー・ピアの個人間決済。モバイル化が進んですでにメールや写真のやり取りはできていますが、決済だけはまだ個人間ではできていない。セキュリティの問題もありますが、アナログで遅れている。競合はいろいろあるでしょうが、うちの人材リソースで充分実現できます」

 

 

事業は宇宙に衝撃を与えるつもりでやらないと、成功しない

次々と繰り出されるビジネスアイデアとビジネスモデル。海江田氏の全身から横溢な起業家マインドが吹き出している。典型的な起業家タイプとも思えるが、

「起業したのは、いろいろないい話がタイミング的に重なったから」。本当は「大学に残って学者になりたかった」という。

経営者としてこだわっているのは、『一流であること』だ。取材中、一流という言葉が何度も出てきた。

 

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僕は社会というのは学問をしっかり修めた人でしか変わっていかないと思う。だから学者のような何かを研究して極めた人を尊敬します。真摯に向き合った先に、その人だけにしか見えてこないものがあるはずだから。それは学者に限らず、高い専門性をもった技術者や職人も同じ。そういう人って一流だと思う。何かを成す人は一流じゃないとダメなんです。でも一流の人って頭がいいから、どこか楽をしようとする。手を抜くことが簡単にできる。

本当は誰が見ていなくても、自分の基準で何かをやり遂げる。その基準はその人の良心かもしれない。僕はそういう一流でありたい。スチーブ・ジョブスのような。彼のように宇宙に衝撃を与える仕事がしたい。

『何言ってるのか』と笑われそうですが、でもそのくらい思わないと事業って成功しないし、会社も大きくなれない。『宇宙に衝撃…』はジョブスの言葉です。僕も最初聞いた時には、『何言ってるんだろ』って思った。でもいま実際起業してみて思う。『日本でも世界でもダメだ。宇宙に衝撃を与えるくらいじゃないと』って。  でもまだまだ現状、足りていないところがあります。とくに人材。とりわけ営業、販路拡大の高いスキルを持った人ですね。資金もまだまだ必要です。ベンチャーキャピタルさんなどと組めるなら、積極的に組んでいきたいですね。

20代のうちにマザーズに上場したいと思っています。でもそれだけが目標ではありません。若い時は視野が狭いので、ちょっとした成功体験でたちまち自我が肥大して崩壊してしまう。そうならないように宇宙の視点で物事を見ながら、足元は謙虚に進めていきたいと思ってます」

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●江洋商事株式会社

東京都千代田区神田神保町3-6能楽書林ビル6F

電話03‐3757‐7642

代表取締役 海江田 翼

http://koyotrade.com/index.html

 

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2014年5月号の記事より

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