こんな時代だから知りたいM&A

(第7回)

◆文:秋尾星獅 (株式会社IPO・M&Aコンサルタントグループ)

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─ M&Aコラム応用編 ─ M&Aの疑問にお答えします!!

その③/基本合意書や株式譲渡契約書の内容交渉や文書作成にあたっては、会社の事情を理解してくれている顧問弁護士を活用するのがベストである!?

前回は、弁護士の選択について述べました。今回はその続きです。

 

M&Aの弁護士選択リスクとして、例えば将来発生するかもしれない税金問題をその一例として、M&A売却時には想定もしていなかった負担が事後発生するケースも多く、

売却金額など吹っ飛んでしまうような負担を強いられるケースもありえるということをここでは強調しておきたいと思います。

 

M&Aにおける契約交渉では、将来発生しうる負担やリスクに対する表明および保証が大きな論点になってきます。

 

交渉では、将来起こりうる事態を洗い出し、詳細に検証を行います。

実際にその問題が現実化した場合に備え、売り手と買い手のどちらがどの程度の負担を保証するかを協議し、きちんと文書化することが極めて重要になります。

 

御社が依頼しようとしている顧問弁護士は、M&Aの実務実績が十分にある方でしょうか?

 

MA_column07M&Aの知識を聞きかじりでしか知らないような弁護士に依頼して、下手な表明・保証をしてしまうと、不利益は全て売り手側にかぶせられてしまうことにもなりかねません。

会社売却を成功させたいなら、起こりうるあらゆる事態を想定し、将来の不利益に対応した契約書を作成し相談できる経験豊富な弁護士を選ぶべきです。

ことのほか、M&Aにおいては様々な立場における実務経験が多いほど、優秀な弁護士である可能性が高いといえます。

数多くの事例を目にしてきた実績は、M&Aの交渉において、何ものにも代えがたい強さを発揮します。

 

M&Aの実績が豊富な弁護士に依頼すれば、もちろん費用は高くなるでしょう。しかし、それをケチったばかりに後で大きなダメージを受けるよりは数倍も良いことは明らかです。

後で困らないためにも、最初に安心を買っておく。会社売却を成功させるには、それくらいの慎重さが求められます。

 

また、もしどうしても適切な弁護士が身近に見つからないといった場合は、当社にご相談ください。当社が自信を持って信頼できる弁護士をご紹介することも可能です。

 

 

その④/売却金額は高ければ高いに越したことはない!?

会社を売却する経営者の立場からすれば、売却価格は高ければ高いほど良い、これは疑いのない本音、事実だと思います。

会社が高く売れれば、それだけオーナーの懐に入るお金も大きくなります。経営者にとっては、会社売却後の人生設計の見通しも立てやすくなるというのが本音といったところでしょう。

また、会社が高く売れるということは、これまで経営者が心をこめて育ててきた事業の価値が世に認められるということでもあります。

経営者にとってこれほど嬉しいことはないと思います。

 

経営者は、自分の会社を高く売るために、多額の費用を払って弁護士やM&Aアドバイザーと契約します。

それゆえ、M&Aアドバイザーも、直接のクライアントである経営者の要望に沿えるよう、全力で売却交渉に挑みます。

 

さらに、一般的にM&Aアドバイザーにとって、売却価格が高ければ高いほど、対価としての報酬も高くなるという事情があります。

従って、できる限り売却価格が高くなるような努力をします。

会社売却サイドの経営者とM&Aアドバイザー双方のWIN─WINの関係が構築できるのです。

 

ただし、ここで注意しなければならないのは、M&Aアドバイザーもやはり質を見極めることが重要です。

 

売却価格を高くするためにはいくつかのノウハウやテクニックを駆使しできるだけ経験豊富なM&Aアドバイザーであるかということを見極めなければなりません。

そうはいってもM&Aアドバイザーの質など簡単に見極められないとの疑問もおありのことと思います。

 

例えば、そのための方法論としてM&Aアドバイザーをコンペ形式で競わせる選択肢もあります。

売却希望の会社の内容にもちろんよりますが、売却価格を売り手優位に売却するためには買い手を複数選択できる入札方式を導入して、その幹事M&Aアドバイザーをコンペで複数の中から選択するというやり方です。

この点は次週のM&Aコラムでお話します。

 

今回はここまで! 次回もM&Aコラム応用編【M&Aの疑問にお答えします】お楽しみに!

 

オビ コラム

◉プロフィール

秋尾星獅 (2)

秋尾星獅(あきお・せいじ)…1961年生まれ。55歳。独立系経営コンサルタント会社に在籍後、1991年仲間と現在の会社前身である経営・マーケティングコンサルティング会社を起業。2000年からIPO(株式上場)支援コンサルティング。2004年からM&A支援コンサルティング業務をそれぞれ本格稼働させる。2007年には社名を株式会社IPO・M&Aコンサルタントグループに変更。現任IMグループ取締役会長。

 

◉問い合わせ先

株式会社IPO・M&Aコンサルタントグループ

TEL 03-5979-2349

E-mail:info@ipoma-c-group.com

http://www.ipoma-c-group.com

 

 

 

◆2016年11-12月合併号の記事より◆

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